○…タイの騒乱が収まらない。最大25万人という反政府デモが首都バンコックで、政府機関を包囲・占拠して、現インラック政権の退陣を求めて混乱状態になっている。それに対して、インラック首相は下院を解散して総選挙で民意を問うことにしたのに反政府側はこれを拒否して、選挙によらない改革を主張している。そもそもインラック政権は11年7月の総選挙で圧勝して成立したもので、野党側は選挙しても勝てないということから、選挙という「民主的」ルールに反対という立場をとっている。
この混乱の根本原因はインラック首相の兄タクシン元首相にある。タクシンは2000年代初頭、経済が分かる首相、CEO的発想、貧困層の救済・農村部の振興を約束したポピュリズムで栄光を得たが、旧勢力・軍・王室・財界人の反発、都市部の不満から没落、亡命生活を送っている。しかし農村部・貧困層の圧倒的支持を得ており、タクシン派は選挙では圧勝する。11年の総選挙でもタクシン派が勝利、インラック政権が成立したのだが、反タクシン派はタクシン元首相の影響力排除を訴えているのだ。
このように民主主義の最大手段である選挙の結果が対立の解決手段として機能しなかった最近の例にエジプトもある。選挙で成立したモルシ政権が発足1年で軍事クーデターで崩壊した。
○…これまで、学校の音楽授業で耳にした以外では、クラシック音楽をそれほど熱心に聞いた覚えはない。だが最近は必要に迫られ度々クラシック音楽を聞いている。
というのも、今年の暮れに地元の同好会で「アマデウス」という映画を見ることになったからだ。有志による映画会は月に1、2度開催している。それぞれ順番で推薦した映画を大画面(映画館ほど大きくはない)で鑑賞するのだ。今年の年末の映画会は、私の推薦順番である。「アマデウス」を推薦し、その映画の内容と、映画の背景などを記した開催案内を書かねばならない。まだ未見なので、いろいろ調べている。曲を聴くのもその一環だ。
知っている方は多いであろうし、映画を既に見た方も多いであろうが、1984年制作の「アマデウス」は、若くして世を去った天才「ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト」の生涯を描いている。私は知らなかった。モーツァルト作曲で知っていたのはトルコ行進曲、アイネ・クライネ・ナハトムジークくらいだ。ところが、驚いた。彼の作曲した音楽が今もテレビドラマ・バラエティー等で多く流れている。たまたま題名を知らなかっただけだった。
映画は謎に包まれたモーツァルトの死亡原因としてアントニオサリエリによる毒殺説を匂わせているらしい。今から楽しみだ。モーツァルトの音楽を聞いて年を越したい。 |