○…自動車各社の業績が円安下、急回復している。自動車など製造業の回復が日本の景気の回復そして雇用の拡大や賃金上昇につながるというのは幻想と多くのエコノミストが警告している。高橋乗宣は自動車メーカーが儲かったのは国内製品が海外で売れるようになったからでなく、海外での稼ぎが円換算で増えるからだ。2012年の統計によると、現地生産と輸出をみると、北米で425万台(以下省略):189、アジアで850:57、欧州で148:85となっており、円安では国内の雇用や賃金は増えない。大企業製造業に景気牽引力がなくなったとする。
自動車産業は関連産業を含めた、雇用への影響は巨大であるがゆえに、国内生産の数値は自動車企業の利害で済まず、政治的社会的にも大きな問題となる。国内生産=雇用維持、輸出は相手国の雇用を減らす効果を持つ。世界一の自動車メーカートヨタは国産300万台を掲げ、国内生産体制の更なる合理化を進めている。しかし現実には300万台維持は相当に困難な課題となっている。さらにトヨタの現地より日本から輸出重視の姿勢は軋轢のもととなり、更なる現地化が求められることになるのだが。
日産は軽自動車生産を計画、国内100万台維持につなげるという。軽は日本国内需要であり、合理的判断だが、軽のような低価格製品への日本での参入は相当な困難が伴う。
○…11月23日は勤労感謝の日である。言い方は古いが、いわゆる「旗日」だ。「はたび」と聞いても、若者たちは何のことか分らないかも知れない。国の定めた祭日なので玄関に日章旗をかかげることから「旗日」なのだ。しかし、祭日でも玄関に日章旗を掲げている家はあまり見かけない。そのせいか、何の祭日なのか理解せず、「取り敢えず祭日なので会社・学校を休める」としか思っていない人が増えているのではなかろうか。
まして、今年の勤労感謝の日は土曜日だ。最近は、土日休日が多いので、土曜日と重なった今年の祭日、勤労感謝の日を意識する人は少なくいかも知れない。これが日曜日と重なって振替休日にでもなっていれば、「はて、今日は何の旗日か?」と思う人も?
ところで、勤労感謝の日とはどういう趣旨で定められたのか?戦前は「新嘗祭」であったことを知る人は少なくなっているだろう。趣旨としては祭日にはなっていないが、5月のメーデーとも相通じるところがある。戦後、国家神道を排除したい占領軍が、米国の Labor Day と Thanksgiving Day を併せた Labor Thanksgiving Day という祝日を考案し、これを和訳したのが「勤労感謝の日」になったということらしい。
かつて江戸時代には年2回の「薮入り」が貴重な休日であった。大いに勤労の有り難みを感じたに違いない。 |