○…「ガス業界は、個人宅の中の部屋のガス管まで管理責任を問われる。しかし電力会社は個人宅の配線までは責任を問われない形になってる。日本では毎年、漏電による火災が多く発生しているが、電力会社はその責任を問われないことになっている」と、ガス業界の人に指摘された。この話の内容の事実関係を確認してはいないのだが、確かに、ガス会社がガス漏洩に関しては一定の責任を問われているのに対して、漏電火災で電力会社の責任が問われたというのは聞いたことがない。漏電遮断機が配電盤についているので問題ないということかとも思うが、火災が多く発生しているのであれば、漏電遮断機は普及してないか、あまり役に立っていないということになる。
電力会社がリスクを外部に押し付けて、できるだけノーリスクで経営しようとしているのは既に知られている。
例えば、メンテナンスや調査を受託した企業が、設備の問題を指摘しようものなら、指摘した会社の方がその責任を問われるような状況では、誰も問題を電力会社に報告しようとは思わない。それが原子力発電所における「データ隠し」の背景でありながら、電力会社は外注先企業だけに責任を押し付けてしまった。
こうした電力会社のノーリスク志向は、原発事故でも遺憾なく発揮されているのも、既に目の当たりにしている。
○…10月半ばにスポーツ選手・指導者を主人公とする二つの話題があった。危機管理という面から正反対の対応であったように思われる。
一つはプロ野球千葉ロッテマリーンズの選手が、三鷹ストーカー殺人事件の被害者をツイッター上で揶揄したとされる問題。球団も事態を重く見て、本人を自宅謹慎処分にして事情聴取を行っていた。しかし本人は「友人に管理を任せていた」と発表した。まず第一に、第三者に自分の名をつかわせるなど論外だ。ツイッターの内容をみたが、被害者を貶める内容なのは間違いない。だが、素直に謝罪して身を慎むことですんだ問題だと思う。最悪なのは第三者に責任を転嫁したことで、別の問題を起こしてしまった。
もう一つは、元サッカー日本代表の前園選手が起こした事件だ。酒に酔った上でタクシー運転手に暴行したという。少年サッカーチームの指導を行っている前園氏は、初めから素直に謝罪し、タクシー会社が出した声明も、殊更相手を非難するものではなかった。双方が危機がおきたときにどう対応するかということをわきまえていたといえよう。その後、前園選手は指導している少年、保護者を前に反省、謝罪の弁を述べて、受け入れられたという。
危機のとき、人と組織がどのように対応するかで問題は全く違ってくるようだ。 |