EnB 15号 目次
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プロセス保証で信頼高めたMRJ

■GLOBAL Report
国際デザインファーム、新興地域が上昇
2012年の世界エンジニアリング企業の動向(1)‐デザインファーム編

■GLOBAL Business
中国恵生集団Wison Groupの最近の動向
・中国のプラント機器・エンジニアリング調達戦略
…FW・恵生・Clariant、中国でSNGプラントを計画
…恵生、天津大学と共同でR&Dセンター設立で合意
…現代・恵生JV、水素リフォーマーをTechnipに発注

■REPORT
今後の受注積み上げに期待‐プラント業界の第1四半期

■TOPICS
石油業界はグローバルな展開を‐経済産業省資源燃料部長 住田孝之氏

ドレーゲル、ガス検知器でTIIS防爆認証を取得

LNG価格、長期的に緩和へ‐エネ研

■NEWS Flash
・三菱重工、タイのIPP向けにGTCC受注
・JGCインドネシア、潤滑油ブレンディング装置受注
・日本海洋掘削、インドネシアで掘削工事受注
・JFEエンジ、都市環境プラント基幹改良工事連続受注
・新日鉄住金エンジ、原位置バイオ土壌浄化を確立
・IHI"Space Ball"に協賛‐豊洲IHIビルで開催
…Hitz、ベトナムでJCM実証案件組成調査を受託
…JFEエンジ、釧路でメガソーラー受注
…再エネ導入加速で、メガソーラーを調査
…千代化、エネ・シード吉志太陽光発電に着工
…三菱電機、スマート事業で300億増収目指す
…三菱重工、イラク・バスラに事務所開設
…月島、ジャワ島でバイオエタノールプラント完成

■Projects News
…三星エンジ、FujiarahLNGを受注
…オマーン、Suwaiqで発電プロジェクト
…ChevronPhillips、テキサスのエチレン計画で認可
…Kitimat LNG、2014年にFIDへ
…チリで水力発電計画
…中国初のFRSUが認可
…Sasol〜Ineos、米国でHDPE
…大宇建設、イラクのガス処理設備受注
…FW、Dowのエタンプラントを受注
…FW、PDHプラントを受注
…Wood Group、PNGLNGのエンジサービス受注
…Fluor、Dominionのガス火力を受注
…FPL、36億ドルでガスパイプライン計画
…Gazprom〜Toal、ビチューメン生産でJV
…INEOS、KBRにPEプラントのFEEDを発注
…Midstream、Uticaのプラントでエンジサービス発注
…シンガポールに潤滑油パーク
…Technip、BP珠海からPTAプラント
…Technip、中国でLNGプラント受注
…ウガンダで製油所計画
…Acron、ロシア国内にアンモニアプラント
…旭硝子、インドネシア拠点を拡張
…現代重工、Shuquaiq火力を獲得
…UPC、100万t/yエチレンプラントを計画
…Siemens、サウジのJazanガス化発電受注
…Yamal LNGの発電設備向け機器を受注
…タイ石油と物産、LABコンプレックスでJV

■海外・国内主要プロジェクトの動向

■データ・ファイル

■エンジニアリングダイジェスト

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EnB 15号 表紙

 

EYE
プロセス保証で信頼高めたMRJ

 三菱リージョナルジェット(MRJ)で3回目のスケジュール延期が発表された。この遅れの要因は装備品の製造開始・納入時期が遅れたこと。延期に対する批判もあるが、この遅れは、新たな安全保証プロセスの構築によるものであり、必ずしも後ろ向きのものではない。
 新型航空機の開発における安全性の証明は、以前のように製造した航空機による試験での証明ではなく、設計・製造全てのプロセスを明確化・文書化し、これを遵守することで証明する形になっている。三菱航空機では、MRJ開発を開始するに当たって、この安全性証明法について知識はあったものの、これまで民間航空機の製造を行ってこなかった日本では、ノウハウの蓄積がない。製造プロセスでの安全性保証を確立すべく、手探りで検討を進めていったものの、パートナー各社と共同で、プロセス保証体制を構築するのに、1年以上の時間を費やしたという。
 無論、最初からリクワイヤメントは明らかであるのだから、その困難さを想定できずに、MRJ導入を決めているエアライン各社に迷惑をかけた、という批判はある。しかし、新型航空機の開発の最初から、このプロセス保証の形で安全性の証明の体制を構築しているのは「世界的にもMRJが初めてではないか」(三菱航空機・川井社長)という。
 考えてみれば、海外調達比率7割にもなる、95万点とも言われる全てのパーツについて、数十社のパートナーそれぞれと、製造プロセスにおける安全性をタンプするための手順を決め、それを文書化し、実際の製造時においてそれを遵守するための体制を、一から構築するのは、それだけで実に大きなプロジェクトと言える。そうしたハードルがあるからこそ、世界の各航空機メーカーの開発も遅れているし、このようなプロジェクトをマネジメントできる会社でなければ、新規参入もままならない。その意味では、スケジュール遅れの問題よりも、プロセス保証のノウハウを構築したことで、MRJの信頼性はより高まったといえる。

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EDITORAL
編集後記

○…映画館にでも行って涼もうと、今年の夏の流行の映画を探がしたところ、とんでもなく出鱈目な内容の映画を2本見つけて、映画を観る気が失せてしまった。
 その1が「少年H」、妹尾河童という舞台美術家の書いた「自伝」小説を映画化したもの。第2次大戦中の少年時代を描いたもので、10年ほど前発表され、ベストセラーとなった。神戸に住む庶民である少年H一家は早い段階から戦争に批判的な一家。妹尾と同世代の亡き先輩が神戸は開明的と感動していたのが思い出される。
 発表まもなく、「少国民」シリーズの作家山中が、これが自伝などではなく、戦後の価値観により、年表や縮刷版で膨らませたものに過ぎないことを喝破している。妹尾や山中の世代は「少国民」として一般庶民以上に国家にはとりこまれていたのである。原爆にいたる米軍の空爆以降敗戦の過程のなかで、庶民の呪縛は解けるの方向に向かうのだ。
 その2が宮崎駿雄のアニメ映画「風立ちぬ」これはゼロ戦の設計者堀越二郎を主人公として、昭和初期の小説家堀辰雄の自身を題材としたサナトリウム(結核療養所)小説「風立ちぬ」と弟子の立原道造をモデルとした「菜穂子」を筋履きとするという無茶苦茶なもの。宮崎は反戦を訴えたというがゼロ戦で反戦というのは無理がある。宮崎は戦闘機マニアで氏のアニメに頻発する。

○…帰る故郷を持たず、もはや子供をどこかに連れて行く必要もなくなった身としては、夏季休暇に何をするかは少々悩むところだ。そこで、今年の夏は古い映画、新しい映画等々を取り混ぜてDVDを大量に鑑賞した。
 期待外れのもの、まあまあのもの、ある程度感動した等々。2002年に公開されたロマン・ポランスキーの「戦場のピアニスト」は、個人的には満足できる映画だった。ナチス占領下のポーランドを生き抜いた実在のユダヤ人ピアニスト、ウワディスワフ・シュピルマンの回想録を映画化したものだ。ワルシャワ・ゲットーには30万人が収容されていたが、生存したのはたった20人だったとか。シュピルマンはそこを生き抜いた。
 ピアノに惹かれているものとしては演奏場面が沢山あると期待したが、最初の場面と、助けられたドイツ人将校に聞かせる場面、そして最後の協奏曲だけ。ポランスキーは廃墟を逃げる場面を延々と映す。彼がスピルバーグから「シンドラーのリスト」の監督依頼を断ったのは、映画の舞台が自身が体験したクラクフのゲットーであり、そこからかろうじて生延びた記憶が余りにつらかったからだという。
 法律改正の問題とはいえ、「ナチス政権の手口に学んだらどうか」という政治家の発言は如何に言い訳しようとあきれるしかない。特に欧州人には理解できはずがないだろう。

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