○…日常的に海外エンジニアリング企業のM&Aを追いかけている視点から日本のM&Aも見ている。先号で、M&A案件を報ずる大手報道機関の報道内容、報道姿勢に感ずる疑問を提示した。その後もKJ-MZ案件について、特集・座談会と大手N紙の報道はとめどがない。株式会社としての説明責任は果しているのに、当該案件の内密を暴かれ、ガバナンスに問題があるかの如き報道されている当事者に同情を禁ぜざるをえない。
欧米のM&Aは規模の大小に関わらず、シナジー効果が明確である。自社にない事業分野、技術、地域をカバーする企業と統合する。最近の大型エンジニアリング企業統合であるCB&IのShaw Group統合では、競合するSW部門を事前に売却、エネルギー部門などのシナジーを目指している。また、近未来での効果を見ているのも特徴である。したがって株主の了解も得やすい。
これに対し近年の日本の大型M&Aを見ると、この2つが明確でない。KJ-MZ案件はその典型、破談とともに、KJ株上昇、MZ株下落に如実に現れている。日本の同業者同士の統合で、国際競争力が得られるとの神話が重工業業界でいぜんとして存在しているようだ。しかしこれが通ずるのは10年前の話だ。
同業者間の統合は合理化の基盤として機能する。近年のSN社SK社も世界的な設備過剰の中で、合理化止むなしだろう。
○…最近、コンビニ等のパンに針を混入させるという事件が立て続けに起こった。そして、犯人が捕まり一件落着かと思ったら、今度は模倣するものが出て同様の事件が発生した。これを伝えるテレビのワイドショーでは、「困った若者ですね…」と言いながら、事件発生の原因がどこにあるのかを突き詰めようとはしない。正しいかどうかは別にして、この事件に言及している意見をみつけた。少し長いが紹介する。
「無責任な大人の利己主義的な教育の陰の成果が出現してきたと言って過言ではない。ついに社会を崩壊させ若い稚拙な人間を生み出した政治の責任は大きい。もう打つ手は少ない。旧態依然とした復古調の教育制度を掲げ、教育利権を食い物にする政治家と日教組が対立しながら『妥協』し共存共栄を謀っていった結果がこれだ。『軽薄な若者、社会不安と落ちこぼれの不満の表れだ困ったもんですね…』といえば済むと思っている大半の大人に、責任がある。ホームレス狩りをする中学生も、いくら禁じても河川ゴルフをする老人もただの軽薄な馬鹿者というだけではなく『ここまでならいいだろう』と細かく計算してやっている。そこには卑劣な安心感が漂っている。ダメなものはダメとか、違反は違反という断固たる姿勢が欠落している。この堕落がいつかは社会を次第に破滅させていくのだ」と主張している。 |