EnB 11号 目次
詳細 のマークがついているものは記事の内容がご覧になれます。

 

■EYE詳細へ
実感得られないスマート化

■INTRERVIEW
コア事業を強化しつつ、多様化を追求
アートの感性で具現化力にチャレンジ
千代田化工建設代表取締役社長 澁谷省吾氏

■GLOBAL REPORT
米国コントラクター、回復されど不安材料多し
2013年の米国のエンジニアリング企業の動向(2)−コントラクター編−
・LNGの長期展望ほか

■REPORT
NSENGI、エネルギーソリューションを拡大
2015年までに売上倍増へ

■TOPICS
NEDO、スマート化実現へ取り組み拡大

世界の原子力発電、376.8万kW増加

■NEWS Flash
・三菱重工、米国向けGTCC受注
・TOYO、ブラジル関連会社が水素プラント受注
・双日〜川重、ロシアにGT5基供給
・双日、デリー〜ムンバイ貨物の軌道敷設工事受注
・リックマース、ウエストバウンドが好調 ・波方国家石油ガス備蓄基地が完成
…物産、南アで火力発電事業に参加
…タクマ、真庭バイオマス発電受注
…東芝、阪急電鉄新型車輌向け電気品受注
…東芝、米国向けに大型揚水発電設備を出荷
…日立GEニュークリア、アレバの技術を採用
…丸紅、洋上風力据付会社設立
…千代田化工、水素貯蔵・輸送システムを実証

■Projects News
…Axalta、上海に自動車用塗料生産設備建設へ
…BASF〜Sinopec、南京JV増強を検討
…BASF、如東で農業用製品
…BASF、アジア太平洋で100億ユーロを投資へ
…Cheniere、Sabine PassのLNGトレインを増設へ
…中国、海外PJに相次ぎ融資契約
…米Crostex、Uticaシェールで圧縮設備等建設
…DSME、UAEでオフショア設備受注
…Eastman、7年間で16億ドル投資
…GDF Suez〜Santos、FLNGでFEED発注
…印Hindustan、新製油所計画を検討
…出光と物産、DowのFreeportでアルファオレフィン
…Ineos、アクリロニトリルで天津渤海化学とJV
…クラレ、米PVAフィルム製造設備を増強
…Linde、米ガス化コンプレックスを建設
…Linde-KuibyshevAzot、アンモニアでJV
…Orpic、Soharで石化プロジェクト
…米原油パイプライン延長計画
…Sembcorp、ベトナムで1,200MW発電PJ
…Technip、UAEでコークス焼成プラント受注
…Technip、イラクKarbala製油所PMC業務受注
…Total、欧米で設備投資計画
…カタールAl-Karaana石化PJ、PQへ
…Rabigh2発電所、ガス焚に変更
…アブダビMirfaIWPPでGDFスエズが優勢に

■フォーラム

■海外・国内主要プロジェクトの動向

■エンジニアリングダイジェスト

■最近のプロジェクト受注・契約状況

■Editorial 詳細へ

EnB 11号 表紙

 

EYE
実感得られないスマート化

 昨年に開始された固定価格買取制度(FIT)によって、日本でほぼ唯一の純国産エネルギーと言える再生可能エネルギーの導入が拡大されてきている。特に太陽光発電に関しては、設置や手続きの簡便さと、買取価格が高いことで、急速に拡大。わずか1年で、原子力発電10基分以上の計画が認可されている。ただ、北海道ではあまりに太陽光発電の計画が多いため、送電系統の不安定化を招くということで、北海道電力が太陽光発電の導入を制限しようとしている。しかし、買取の拒否に対する批判も多いようで、なかなか制限が実現していかない。風力発電は環境アセスメントで求められる調査内容が合理性を欠くほど煩雑となっていることが指摘されており、その改善にむけて動き出そうとしている。ただもう一つ、電気主任技術者の配置を巡って、一部で問題が起きているという。きちんとした対応が必要だ。ドイツでは再生可能エネルギーがグリッド・パリティに達した。FITの目的はFIT制度が不要になることであるから、その意味でドイツは大成功している。日本はまだ制度が発足して1年。そこまでに達するには、まだ多くの課題、ハードルを超えることが必要だろう。
 エネルギーインフラの構築もまだまだ、不充分である。発送電の分離と、送電事業の統合が進めば、グリッドがより拡大し、それによって再生可能エネルギーの変動が吸収されていく。同時に再生可能エネルギー最適活用のため、スマート化が進めば、より効率的なシステムの構築が可能だ。
 しかし、先般開催されたスマートコミュニティ展では、技術がより身近になっていく状況も感じられるが、システム提案としては、従来通りの説明で終わっており、あまり魅力を感じられなかった。スマートコミュニティでは国内外で実証事業が行われているが、いずれもEVと再生可能エネルギーと、エネルギーマネジメントシステムの組み合わせである。ユーザーにとって投資の大きさはわかるが、メリットは今一つ解かりにくい。これではスマート化の実現は遠そうだ。

最新号目次へ

 

EDITORAL
編集後記

○…産業学会の大会に出席した。テーマこそ「エネルギー政策と日本の産業競争力」であったが、現下の中核課題である電力産業の改革に取組んだのが学会外の専門家と若手研究者による2本あわせて2時間あまり、しかも司会を受け持った学会幹部研究者が自らコメントができない、発表者間の討議にゆだねると告白する体たらく。日本経済の命運を握るエネルギー産業の研究者がほとんど居ない、研究者が自動車産業など成長産業に偏った現状がうかがえた。
 この専門家の報告は時間に迫られ、内容が短縮され、十分な理解ができなかったが、氏は政府の政策にも関与し、2011年以降報告内容と似た内容の書籍を出版しているので、それらで補足するしかなさそうだ。
 報告の中で、廃炉ビジネスに注目していたことがある。安全規制の強化に伴い、廃炉が増加する。日本のコストは廃炉が進んでいる米国に比べた高い。これはこうしたノウハウをもった海外企業を参入させればコストが下がるということであった。
 確かに世界的に廃炉ビジネスが、今後とも成長するのは間違いない。世界のエンジニアリング産業・建設産業・ユーティリティサービス産業の成長分野だ。問題はクローズドな日本の電力市場が国内外にオープンにならなければ、こうした国際コストの恩恵は得られないということだ。

○…日本の人口減少を「人口崩壊」という言葉でマスメディアがその異様さを報じている。この半世紀という比較的短い期間に日本の人口が三分の一も失われる事態だという。これまでも人口崩壊の先例がなかったわけではないらしい。ヨーロッパの人口の三分の一が失われた14世紀のペスト大流行などがそれ。異常な事態が引き金となって起きたわけで、日本のように特別な異常要因がなく人口が減少し続けるというのは過去に例がないということらしい。
 このまま日本社会が有効な人口減少対策を講じず、勢のまま減少していく傾向を放置すれば人口崩壊は起きるという。今の日本が人口減少傾向に陥っている最大の要因は、若者が子どもを産まなくなったこと。子どもが生まれなければ人口が減少するのは自然の勢いだ。つまり今の日本の若者には、低賃金にあえいで、結婚生活のための基盤を作れないものが増える一方で、折角結婚して子供を産んでも、育てられる自信がない。社会が子育てを支援してくれないからだ。
 グローバル企業を目指している某企業の社長が新聞インタビューで「年収100万円も仕方がない。中間層がなくなるかもしれない」と話した。世界的な観点では当然のことというのだろうか。しかし、日本では年収100万円では子供を産めない。その企業は日本で存在価値はあるのか?

最新号目次へ

Copyright (C) 2002 ENGINEERING JOURNAL CO,.LTD. All Rights Reserved.