○…世間は「アベノミクス」一色、政府や大手経済紙は、誇らしげにバラ色の希望を歌い上げている。株価は確かにブームになっているが、いまのところめだった成果が見えるわけではない。円安は輸出製品の競争力を回復させ、一部大手企業にはメリットだが、もはや国内にその成果が還流する構造にはなっていない。むしろエネルギーなど輸入製品高となって、貿易赤字の拡大が懸念される。
アベノミクスは3本の矢−金融政策、財政政策、成長戦略から成るが、金融緩和は所詮一次的なもので、引き時を誤るとハイパーインフレに繋がる。財政拡大は金利高騰の懸念を孕んでいる。ようやくインフラ投資に民間資金を投入する、PFI・PPP・コンッセッションが有望な選択肢と考えられるようになったのは喜ばしい。
持続的な経済成長のためには成長戦略こそ本来の政策だ。現在報道されている成長戦略の内容は、医療など新産業育成、女性活用などだが、あいかわらず、官庁の予算確保の手段でしかない。経済学者野口悠紀雄は現在必要な成長戦略の目的は「雇用確保・拡大と所得引上げ」であり、そのために「製造の位置づけとエネルギー戦略」の検討が必須であるという。製造業をとりまく環境が基本的に変化したことを認識し、どう対処するかがが基本的論点なのだが。
○…先日、「久し振りに飲まないか」と友人に誘われた。このところ飲む機会はめっきりと減っている。たまに飲むにしても、カウンターのある焼き鳥屋くらいがせきのやまだ。高級料理店はいざ知らず、軒並み増えている居酒屋チェーン店にさえ、覚えている限りでは足を踏み入れたことはない。
ところが、その友人とたまたま行ったのが全国チェーンの居酒屋。そこで驚いたことが一つある。料理の値段の安さ、美味しさなどでは決してない。店員の妙な言葉遣いに驚いたのである。どうもその店員だけがその言葉を使っているのではないらしい。お客から注文を受けた時、そのと言葉を発するようにマニュアル化しているようだ。
その店では料理・酒の注文を受けた時、「喜んで!」と叫ぶのだ。注文を受けた「喜び」から思わず発したのかと思ったくらいだ。こういう時は、「承りました」「承知しました」が普通だろう。このチェーン店、全国で「喜んで!」を発しているのだろうか。
最近はあまり聞かないが、以前はコンビニのレジなどで「100円からお預かりしました」というマニュアル用語を何度か聞いた。「○○円から預かる」はないだろう。「お客様から○○円を預かりました」ならわかる。
こういことを気にするのは歳のせいなのか。時代とともに言葉の使い方も変わっていくのだとあきらめよう。 |