○…脱原発を進めているドイツが苦闘している。昨年メルケル首相が脱原発を宣言したとき、原子力の代替電源ををソーラー・風力など再生可能エネルギーに求めるとしていた。達成のためのシナリオも提示されたのだが、再生可能エネルギーの実情を考えれば現実的なプランとは思えなかった。
最近のドイツの状況を見ると、脱原発が現実路線で進められているようだ。ドイツの電気料金は、再生可能エネルギーが増大することで電気料金が高騰する。全量固定価格買取制度の改革が政治課題となっている。すでにソーラーへの助成は段階的に削減され、能力が200万KWに達すれば廃止される。メルケル首相は従来路線を堅持としているが、現実は異なるようだ。
ソーラーに代わってブームとなった風力も問題が多い。建設は北部、需要は南部、その間に送電線がなく、多くの送電プロジェクト計画があるが、その多くが遅延、現在は生産された電気は隣国に送られている。
結局、ドイツが依存できるのは火力発電、かつ自国資源である石炭である。ドイツ連邦水道エネルギー協会は、今後の電源計画として、70%が石炭としている。このためには低炭素路線の棚上げが必要となる。
自給資源のない我が国の脱原発も世界的に最も安価で量的に安定した資源である石炭の確保が必須条件でとなろう。
○…「またまたやったか」と最初は思った。
田中真紀子文科相が3大学の開学申請にノーを突きつけた件だ。文科省の指導や審議会の審査を経ての申請だから、テレビや新聞のほとんどは「暴挙」報道である。大学側は「唐突だ」、「納得できない」と訴訟も辞さない構えだった。「暴走おばさん」と評した人もいる。確かに、大学設置・学校法人審議会の答申を覆して、3大学の新設を不認可としたのは、従来の慣例から言えば異常な事態だそうである。結局、1週間ほどで「認可」という結論が出て騒ぎはおさまった。
だが、待てよと思う。この「暴挙」は正しかったのではなかろうか。大体、大手マスコミ、テレビが横並びで一斉に非難する事態、人はそれほど間違っているのだろうかと思うことがはなはだ多い。
4年生大学はいまや740校に及ぶという。私立大学の5割が少子高齢化などで定員割れだ言われている。それなのになぜ新たな大学をつくるのか。1つは「大学屋」と言われる「学校経営」を商売にしているプロのビジネス集団の「大学新設利権」である。大学設置審議会メンバーのほとんどは大学関係者であり、官僚の天下り先にもなっている。審議会というのは名目だけなのだ。第一、設立が正式に認可されていないのになぜ教室を作り、オープンキャンパスを始めるのか。田中大臣は問題点に一石を投じたと思う。 |