○…2010年ギリシャの巨額の財政赤字隠蔽が発覚して、ユーロ圏全体に亘るソブリン危機へと発展した。それから2年以上となるが、その火種は決して収まってはいない。ギリシャにしても数ヶ月前に財政赤字削減を約束して収束に向かったかに見えたが、財政再建の2年の延長を申し出、「労働改革」を条件にIMFなど国際支援機関は認めたらしい。しかし改革要求はギリシャ国内の紛争の種となっているという。
この国際支援による財政再建がギリシャの競争力再建につながり、経済が回復するならいいのだが、実はユーロ圏の競争力の弱いギリシャの回復には決して繋がらない。緊縮財政はただ経済が縮小するだけだ。共通通貨ユーロ圏にある限り、生産性の高いドイツなど中北欧諸国、中国など新興国からの輸入を防ぐ手段がない。とくに為替レートによる競争力回復ができない構造になっている。この本質的な問題を解決しない限り、ソブリン危機の解決はありえない。
あれほど財政破綻国の再建に緊縮財政一本やりで進めてきたIMFが先ごろ東京で開かれた会議で現在の経済情勢では財政と成長の両立を図るには、ひとまず財政再建は後回しにしようと述べている。
中国など新興国も含めて世界的に経済は悪化している。財政再建を第一と考えている日本は誤った道に向かっているのではないか。
○…いよいよ「秋冷え」が本格的にやってきた。秋という季節は、真冬よりも「冷える」季節だ。この時期、体はまだ夏の傾向が残っており、感覚面ではあまり「冷える」という実感がない。しかし、本格的に寒くなる真冬より、暖かいことになれていた体が急に冷たくなる時期の方が、かえって「冷え」の影響を大きく受ける。いわば、体が想定していない冷えについていけない状態であろう。この「想定外」は個人ベースの些細な出来事かもしれない。
しかし、「想定外」も国家を揺るがす大事件で発せられると、簡単にはうなずけない。東日本大震災の際、行政、学者などが津波、原発事故を「想定外の事態」と言い訳にしか聞こえない言葉を多発したのは記憶に新しい。大津波もしかりだが、原発メルトダウンも人類は経験している。なぜそれが「想定外」なのだろうか。
そして、また最近「想定外」という言葉を聞いた。次々に被害が明るみになったパソコンの遠隔操作による犯罪。警察・検察にとっては「想定外だった」ようである。「IPアドレスが判明すれば、捜査は半分終わったようなもの」という思い込みが冤罪を生んだ。さらに、沖縄での米兵による事件を、野田総理は「あってはならない」ことと発言した。「想定外」が「あった」のだから問題なのだ。まして過去同様の事件はいくつかある。秋冷えが昂進してきた。 |