EnB15号 目次
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凡庸であることを評価したい

■GLOBAL REPORT
世界デザインファーム、上昇も課題も山積
2011年の世界エンジニアリング企業の動向(1)−デザインファーム編−

■GLOBAL Business
SNC-Lavalin、GES+契約のため事業買収
サウジ、AramcoのGES+Initiativeで現地調達率向上へ

■REPORT
電力、産業、環境は好調に推移
プラント業界の第1四半期決算

■TOPICS
石油・天然ガスで日露WG開催

伊藤忠エネクスのトータルライフ事業

■NEWS Flash
・日立プラント、シンガポールの合成ゴムプラント受注
・東芝、米国で火力発電改修工事受注
・双日、ベトナムで火力発電受注
・住商、アラムコ文化センターのITシステム受注
・JFEエンジ、ノイバイ空港航空機給油設備を受注
・三菱重工、中国の包頭鋼鉄向けGTCC2系列受注
・住商、アラムコ文化センターのITシステム受注
・日揮、カナダのシェールガス権益取得
・IHI、米でバイオマス発電参入
・MHIEC、大分市からごみ焼却炉延命化受注
・Hitz、民活インフラ案件形成調査受託
・タクマ、固定床型アナモックスプロセス実証開始
・横河電機、プラント操業省エネ実証を受託
・日立プラント/前川製作所、ブラジルで合弁
…JFEエンジ、ミャンマーで廃棄物発電事業化調査
…日立プラント、中国で空気圧縮機のJV設立
…三菱重工、南米/アジア・パシフィックで総代表設置
…千代田システムテクノロジーズ、発足へ

■Projects News
…Aramco、Midyanガス精製PJでテンダー
…アブダビ、フレアガス回収PJで入札実施
…Hanwha建設、オマーンの化学PJで1番札
…大宇建設、ナイジェリア火力発電に参画
…STX重工、イラクで原油処理プラント受注
…現代エンジ、カザフスタンで潤滑油設備
…三星エンジ、ボリビアの肥料プラント受注
…大林産業、ベトナムの火力発電受注
…CB&I、PDHプラント受注
…CB&I、Rapid計画でライセンス供与
…CB&I、ベルギーのブタジエン抽出プラント受注
…Aker、MEG回収プラント受注
…SNC Lavalin、サウジで地域冷房システム受注
…FW、タイで熱回収設備受注
…Siemens、上海Baosteelの熱延近代化受注
…BASF、上海に自動車塗装工場
…EastmanとSinopec、南京でJV
…SinopecとBASF、茂名のINAプラントでMOU
…チェコで新PEプラント建設計画
…アラムコ、Jizan製油所の入札を延期
…Petrofac、イラクBasraでO&M
…FW、タイのLPGターミナル拡張計画を受注
…Shell、ナイジェリアデルタでフレアガス削減PJ
…トランス・アナトリアパイプラインで合意
…Fluor、Dominionのガス火力受注
…Alstom、エジプトでSTG受注
…B&W〜FirstEnergy、小型原子炉のスタディ開始へ
…TotalとSonatrach、Arzew石化で協議再開
…Keystone XLパイプライン、認可取得

■海外・国内主要プロジェクトの動向

■データ・ファイル

■エンジニアリングダイジェスト

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EnB 15号 表紙

 

EYE
凡庸であることを評価したい

 プロジェクトの評価というのは案外、難しいものである。世間一般で称えられるようなプロジェクトは、「歴史的な工事だった」とか「日本(世界)初のプロジェクト」というだけで評価が高くなっているものも多い。しかし、そうした案件でも大勢の作業員の命が失われていたり、大幅に工期が延びてたり、全くの赤字案件だったりする。そうした危険なプロジェクトを、何時までも高く評価してて良いのだろうか?
 これまで、何回もプロジェクトの紹介記事を書いてきているが、実は、成功したプロジェクトというのは、話としてはあまり面白くはない。
 問題が発生し、それをいかに乗り越えたか、という所を書き手も書きたがるし、読み手も読みたがる。だが工期も予算も予定通りに納めて、なおかつ災害ゼロという、ある意味凡庸な案件こそ、本来は褒め称えられるものだ、とは思う。だがそれをどう評価していけるだろうか。
 そもそも成功したプロジェクトの要素とは何か。契約どおり納期を納めることを優先して、コストオーバーランとなる場合もある。コストを重視するあまり、調達した機器が不良品が続出し、契約納期を守れなくなる場合もある。コントラクター側に責任が無く、オーナー側の都合で設計変更が相次ぐこともある。あまり治安の良くない場所では資材が盗まれる事もある。こうした様々な失敗要因を、事前に予測し、対処しておく事が智恵であり、それを実現させるのが努力。顧客やサブコン、ベンダーとのコミュニケーションも重要な要素だ。
 もちろん、大規模な案件であればあるほど、より多くの智恵と努力とコミュニケーションが必要だ。プロジェクトを凡庸に終わらせることはそれだけ難しくなっていく。しかしプロジェクトの評価とは、決してその大きさではなく、案件を凡庸なものに纏め上げた智恵と努力だ。このような智恵や努力、プロジェクトのメンバーの努力、コミュニケーション、コスト対策などの地味な要素。そうしたものが評価され、表彰の内容に反映され、次の案件に繋がっていくことが、本当の業界の利益となるだろう。

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EDITORAL
編集後記

○…猛暑は続いているが、昼間はツクツクホウシが、夜は秋の虫が鳴くようになった。秋近しである。イソップ寓話のアリとキリギリスは働き者と怠け者の例えとして、最近は工業輸出国と消費輸入国の例えとしても使われている。イソップの原話ではキリギリスでなく、セミだそうでセミのいない中欧以北でキリギリスに変身したものが日本に入ったそうだ。どちらも日本ではよく鳴くのでどちらでも可なのだが。
 しかしこの例え、人間の勝手で、昆虫の実態は全く異なるようだ。アリは実は「7割は休んでいて、1割は一生働かない」のだそうだ。社会的動物であるアリの社会の労働の調整には個々のアリの労働に対する感度(閾値)によっており、働かないアリがいないとアリ社会(巣)は崩壊してしまうそうだ。
 キリギリス・セミは繁殖のため鳴いているので種の保存にために必須の行動、冬を成虫として越すことはないので、怠け者呼ばわりされる理由はない。
 セミは羽化して1週間の命、はかないものと捉えられるこが多い。しかしこれも見当ちがいだ。セミは羽化してからも1週間でなく1ヶ月近い寿命はあるようだ。セミは卵を木に生みつけ、孵化して土にもぐり数年、地上にでて羽化して交尾、卵を生むというライフサイクルで、ミンミンゼミで7年ほどと昆虫としてはかなりの長命だ。

○…若い友人と携帯メールなどをやりとりするとき、気になったことが数回ある。通常は「こんにちは」という挨拶ではじまるが、そこに「こんにちわ」と書く人がいたのだ。「こんにちわ」はないだろうと、当初は思っていた。しかし、聞いてみると若い人の間では「こんにちわ」も違和感なく使われているらしい。
 いうまでもなく「今日はお元気ですか」とか、「今日はお日柄もよく」などが省略されて「今日は」になっている。「こんばんは」も同じだ。「こんにちわ」は誤表記であろう。ところが、インターネットで検索してみると「こんにちわ」が氾濫しているのである。
 当然のことながら、こういう誤表記は許せないと主張する人もいる。お遊びだとは思うが、「『こんにちわ』撲滅委員会」なるサイトも存在する。一方「今のところ、『こんにちは』が正しいとされると思うが、将来『こんにちわ』を使う人が多数になれば、その時『こんにちは』が正しいと言ってみたところで虚しいだけ」という人もいる。
 考えてみれば、我々も江戸時代の言葉をそのまま使っているわけではない。時代と共に言葉遣いは変遷する。かといって日本語の乱れを受け入れているわけではないし、若者に迎合している訳ではないが、最近、「こんにちわ!」に違和感をあまり感じなくなってしまった。自分は進歩したのだろうか、あきらめたのか?

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