EnB12号 目次
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“戦わない”という戦略

■INTERVIEW
中期経営計画達成に向けて全員で努力を
拠点とインフラ関連の強化が課題
東洋エンジニアリング代表取締役社長 石橋克基氏

■GLOBAL Report
エンジニアリング建設業界、上昇トレンド
中東多様化と米国シェールガスが支える

■GLOBAL Business
エジプトのOrascom、建設部門分社計画進展
カナダGenivarと英国WSP、最近の国際M&A
M+W、電力プラント専業RPSを買収
Tetra Tech、M&Aでシェールオイル分野を強化
Aker Solutions、ロンドンにエンジニアリングハブ
韓国建設輸出、累計5000億ドルを突破

■REPORT
シェールガスはまだ不透明
SFA Pacific社長Ron Dickenson氏、語る

■TOPICS
ENAA、インドEEPCと協力協定-インド経済セミナーを開催

■NEWS Flash
・日立プラント、イラクSOCと排水処理の検討開始
・東芝プラント、副生ガスGTCC受注
・東芝、南相馬市で大規模太陽光&スマコミ導入
…千代田シンガポール、ShellとPM長期契約
…横河電機、インドの大型火力向け制御システム受注
…出光エンジ、ベトナムに現地法人
…川崎重工、小型GTL事業に出資
…日立パワー欧州、独サービス会社買収
…新日鉄エンジ、スタンパッケージを一新
…JFEエンジとコスモ石油、EV急速充電器をGSに導入
…マカオ新交通向け受注2件

■Projects News
…Rabighで再入札
…バーレーンSitra製油所拡張計画
…サウジLubrefコンプレックスで入札実施
…Aramco/Shellの米JV拡張計画
…BHEL、GTCC拡張工事受注
…エチレンXXI計画、BUDESから融資認可
…CB&I、米エチレン拡張計画受注
…Celanese、テキサスでメタノールプラント
…Chevron Phillips、世界最大の1-ヘキサンプラント
…カザフスタン、2013年に原発建設開始
…南京で樹脂プラント
…Dyno Nobel、アンモニアコンプレックス
…ERC、製油所計画でファイナンスクローズ
…Aramco/Total、SATORP第二期を計画
…ExxonMobil、Baytownのクラッカーで認可取得
…Gail発電所計画、州政府から認可取得
…GE、バーレーンSitra製油所の水処理受注
…ハンガリーの新規原発、2025年運転開始へ
…Jacobs、英原発でエンジサポート
…Jacobs、サウジでPEプラント
…KBR、Ineosのエチレン分解炉受注
…カザフAtyrau石化計画で入札実施
…米Vogle原子力、コスト上昇
…NATPET、サウジでPPコンパウンドプラント
…ペンシルバニア、Shellのクラッカーにインセンティブ
…Tecnicas Reunidas、ABSプラント受注
…Petronas、イラクで原油パイプライン入札
…Shell、フィリピンでLNG輸入ターミナル
…SiburとSinopec、中国で人工ゴムJV
…Socar、窒素肥料コンプレックスを計画
…米Taminco、メチルアミン設備を拡張
…現代建設、ベネズエラで製油所受注

■海外・国内主要プロジェクトの動向

■データ・ファイル

■エンジニアリングダイジェスト

■最近のプロジェクト受注・契約状況

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EnB 12号 表紙

 

EYE
“戦わない”という戦略

政府のインフラ・システム輸出部会で、日韓のプラント価格差は、プラント全体で20%程度とされた。さらに韓国が本気で受注しに来る場合は、利益を削ってきているので、さらに数%の差がつく、としている。これをEPCの各ステージ別に見ると、設計では日本が70$/hであるのに対して韓国は65$/h。しかも設計作業の価格は、全体の2割程度しかないため、日韓でさほど大きな差はないという。
 調達では、韓国は大型案件を獲得しているため、その分調達力があるものの、主要機器の供給はサプライヤーが存在する日米欧からとなるため、ここでも大きな価格差はない。しかし汎用品に関しては、韓国企業は国内のサプライヤーから安値で調達するので、日本に対して20%程度安くなっているという。またリスクコンティンジェンシーで数%程度の差がついていることもあり、設計に比べて若干、価格差は出やすい。
 決定的な差がつくのが建設である。韓国は現地に土木下請け部隊を抱えており、工事を細かく分割発注。細かくコントロールすることでコスト削減しているという。日本が大手ゼネコンを活用しているのとは大きく異なる点だ。
 こうした現状認識から、現地工事に関してはローカルとのJVなどで外部化していくことが重要となる。実際、既にそういう形になっており、EPCからEPCmへの転換が進んでいる。
 このような、直接戦わない、というのも重要な戦略である。かつて日本のエンジニアリング会社同士が過当競争の渦に入り込んで、収益性を悪化させ、会社存続の危機にまで陥ったこともある。そうした過当競争から脱却したことで、現在のエンジニアリング会社は10数%の粗利を出せるまでになってきた。現在の韓国企業も、利益を削る受注競争の渦の中にある。「韓国の下請けもおかしくなってきた」との指摘もある。エグゼキューションの失敗も危ぶまれる。過当競争から脱却したいのは韓国も同じだろう。そうした競争状態にわざわざ入っていく必要はない。
 …とはいえ、韓国の行っている「細かいコントロール」の中味には、関心もある。

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EDITORAL
編集後記

○…日本の電機産業の敗北、特にその代表としてつい最近まで価格はともかく高品質を誇った日本のテレビの敗北が明確となった。失敗の転換時点は種々あるが、2000年代初頭が重要な時点だ。日経の「テレビはなぜ負けたか4」が当時の日韓企業の状況を伝え、日本の敗北の原点の一つを示している。
 この記事の内容を示すと、2002年シャープはパネルからテレビまでの一貫生産の亀山工場の建設を開始する。最先端技術をブラックボックスにして、韓台勢の追随を阻む戦略だった。しかしサムスンが恐れいたのはシャープが海外に液晶テレビの海外生産に乗り出すことだった。シャープだけでなく、日本を代表する製造業が国内で大型投資に踏み切った。藤本隆宏の「摺合せ型ものづくり論」が脚光を浴びた。日本のものづくりは強いというナショナリズムが蔓延していた。グローバル化の中で、内にこもる日本のテレビの未来は衰退であった。
 日本の生産現場、エンジニアの能力が自負するように極めて優秀だとしても、ものづくりは最終的にはコストが決め手だ。ものづくり日本という神話が2000年代の企業戦略そして産業政策を誤らせたのは間違いない。アップルのような先進国ビジネスモデルを日本の電機産業は依然として確立できていない。製造業全般に言えることであり、エンジニアリング産業にも通ずる。

○…大手の新聞、テレビなどはほとんど報じないが、今後の政治の行方をも左右する大きなうねりの萌芽が起きているような気がしてならない。
 たまたまインターネットで知りえたことだが、大飯原発の再稼働に対する反対運動のことである。6月初め首相官邸前の道路を、呼びかけで集まった数十名が再稼働反対の行進(歩行?)を行ったらしいが、1週間おきに行われるにつれ、飛躍的に人数が増えているようだ。当初は30人、次に2000人、次の週の6月22日には何と4万5千人になったらしい。この分で行くと1週間ごとにどれくらい増えていくのか全く予測がつかない。これらの人々は、組織的に集まったわけではないらしい。ツイッター・フェイスブックやインターネットなどの呼びかけで集まったとのことだ。
 その反対運動の是非はさておく。注目すべきはこれら携帯電話やパソコンを利用した情報の伝播力とその影響力の大きさだ。驚くべきスピードで情報が拡散する。その典型的な例がチュニジアで起きたいわゆる「ジャスミン革命」だ。その余波は中東全体に伝播し、いまもその影響は及んでいる。そして、中国でも若者を中心にこれら情報機器を利用したニュースが飛び交っているらしい。日本でも為政者はその影響力を無視できなくなってきた。

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