○…恒例のENR誌の2011年売上高に基づく米国エンジニアリング建設企業ランキングの発表が始まった。今月発表されたのはTop 500 Design Firms。「経済的苦境を乗り越え、上昇開始」と題する。2011年の500社の総売上高が前年6.6%増、3年ぶりの上昇という。ただし、米国国内は6.6増にすぎず、一方海外は20.4%増となっている。具体的内容は次号以降で紹介する。先行して景気の回復するデザインファームに比べ遅行するコントラクターとくに米国国内の景況はまだ厳しそうだ。
同じく恒例のドイツの2011年プラント受注統計も発表された。「プラント建設、新たな課題に取組む」と題する。合計では前年11%増。海外は73%のシェアを占めるも4%増、市場が欧州からアジアへと構造変化した。国内はオフショア風力でブームなど。同じく詳細は次号以降で紹介する。
韓国の2011年海外プラント・建設受注、中国の2011年海外プロジェクト受注は年初に既報した。韓国はプラント微増・建設減少であったが、特殊事情を除けば過去最高。中国は5.9%増となった。いずれも1-3月期が発表され減少だが、3月以降上昇している。
2010年に見えた市場構造の変化、西側先進国市場から中東・アジアの新興市場への移行が2011年はより鮮明な姿となっていることが見える統計だ。
○…公共施設の運営権を民間が取得する制度がいよいよ具体化しそうだ。いわゆる「コンセッション」と呼ばれる方式だ。ヨーロッパでは有料道路などにこの方式が取り入れられ民間運営が行われている。日本でもこの方式が普及するかもしれない。まず、空港で具体化するのではないかと思われる。
3月末に政府が公共施設等運営権制度の新設などを定めた改正PFI法に基づく基本方針を閣議決定した。今後、具体的な運用規定などを示すガイドラインの改定を経て、改正内容を反映した個別プロジェクトが具体化していく。空港では関西国際、大阪国際の両空港での適用が可能としている。他の空港については今国会に提出した民間空港運営法案を根拠法令とすることになっている。国土交通省は、2014年度にまず仙台、広島空港など、比較的利用者の多い空港を手始めに、順次全国27空港について国が管理する空港施設の超長期の運営権を民間に売却するという。
だが、利用者の少ない空港の運営権には民間企業は魅力を感じないかも知れない。なぜ、こんなところに空港を造ったのか疑問を感じるところが全国にある。いつも感じるのだが、国がお荷物になっている施設をいくら開放するといっても魅力はない。収益のあがっているおいしいところを対象にしてこそ制度は根づく。 |