EnB8号 目次
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取り残される低採算モデル

■INTERVIEW
ナノ粒子技術でニーズに対応
顧客とのタイアップで海外展開も
日揮触媒化成且謦役社長 山根和郎氏

■GLOBAL Business
・中国海外プロジェクト受注、1-3月期4%減
・創立100年FluorのCEO、成功を回顧、今後の挑戦を語る
・Shaw Group、Totalとポリスチレンで提携

■TOPICS
R&Dと製造がシームレスに融合
日揮触媒化成北九州事業所

■TOPICS
GWRA、水インフラPJの案件創出目指す

新日鉄エンジ、NSSOL第5DC完工

■NEWS Flash
・日立、インドで超臨界圧ボイラ2基を受注
・東芝、シンガポールと排水処理技術開発でMOU
・日立製作、ロシア送電公社と包括協定
・Hitz、御殿場市のごみ焼却施設整備・運営を受注
・IHIなど、国内最大の太陽光発電事業
・荏原製作所、インフラサーブを引き渡しへ
…JFEエンジ、インドネシア地熱関連設備受注
…SMS Meerが日本法人を設立
…Hitz、ソウル支店開設
…東芝、石巻のスマコミュのMP受託
…JFEエンジ、ネオホワイト蓄冷パックを発売
…川崎重工、アブダビ下水道向けシールドを納入
…JFEエンジ、建築鉄構事業から撤退

■Projects News
…ABB、Jaipur地下鉄向け電力設備受注
…Alfa Laval、モロッコの肥料プラント向け熱交受注
…AMEC、ADGASから環境対応PJのFEEDを受注
…Areva、インドで太陽熱発電
…Rabigh2、発注遅れ
…Badger、三井-SinopecJVにキュメン技術供与
…BASF、印Dahejに製造拠点
…Bharat石油、Kochi製油所を拡張
…BHEL、300MW火力発電所を受注
…Jacobs、BPからFCCシャットダウンを受注
…Eletrobras、モザンビークに水力発電
…CB&I、Williamsからエチレン拡張を受注
…Chevron Phillips、テキサスのNGLを拡張
…Chevron Phillips、1-Hexeneプラントを建設
…FW、Cilacap製油所近代化を受注
…Dow Chemical、Freeportでエチレンプラント
…EDF〜三井、モロッコの風力で優先権
…印FACT、肥料プラント拡張計画
…Fluor、マレーシアのLNGターミナルでFEED
…Formosa Plastics、米でオレフィン投資
…GE、トルコに風力タービン
…UAEでFCC触媒工場計画
…Huntsman、テキサスのEOを増強
…Sabic、Jacobsにオレフィン4プラント発注
…KBR、ロシアからVCCを受注
…中国Liansu、西シベリアにPPプラント
…Petrobras、70億ドルで8基の洋上生産設備
…PetrobrasとValeが共同で各種スタディを推進
…Qapco、CTCIにエチレンリバンプを発注
…Badger、Proper Year石化にBPAをライセンス
…FERC、SabinePassのLNG液化プラントを認可

■海外・国内主要プロジェクトの動向

■データ・ファイル

■エンジニアリングダイジェスト

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EnB 8号 表紙

 

EYE
取り残される低採算モデル

 水インフラシステム輸出とともに、アグリビジネスもまた、業界にとって注目される分野である。直接的には肥料プラントで農業振興のベースを構築してきたわけだが、その一方で、農業の工業化に関する仕事も以前から手掛けられてきた。
 農業が抱える大きなリスクの一つが、気象リスクである。日照時間や降水量、気温が、農産物の育成に大きな影響を与えているだけでなく、台風や集中豪雨による風害、水害で農作物が全滅することもある。季節はずれの冷害などの被害にも直面しなければならない。地球温暖化に伴って、気候変動が大きくなっていくと、そうしたリスクはさらに大きくなる。
 こうしたリスクを軽減する手法がいわゆる農業工場だ。ハウス内で栽培することで、農産物の生育に適した温度管理や養分管理、日照管理を行うことができ、さらに自然災害のリスクも低減する。これによって育成は短期化され、収穫が確実となり、1年間でより多くの作物を得ることができるのだ。
 だが、それが必ずしも成功するとは限らない。基本的に農産物はあまり収益性は高くない。エンジニア的に理想環境を追求してしまうと、設備コストおよび運用コストで採算が取れなくなってしまう。そのため、工業化は採算性の高い一部の作物でしか利用されることはない。よく、LED照明でレタス栽培を行う例が紹介されるが、コストは合わず、見世物に終わってしまうことになる。高採算の作物をある程度大規模で栽培できれば、無論コストは合う。しかし競合することも多く、収穫した全ての作物の販売先を確保するというマーケティングリスクが横たわってしまう。
 一方で低採算性の作物はおざなりとなる。実際、価格が低く、大量に必要な米や麦など重要作物は海外との競争が出来ていない。また仮想水の問題もあるので、国内で全てを生産することは不可能だ。コメだけは例外的だが、最近では中国製に押されているという。
 水インフラ輸出と農業工場。いずれにも共通した問題は、低採算性のモデルに対応できていないということだ。ところが、実際にニーズが大きいのは低採算性モデルの分野。ここにこそ、政策支援が必要だ。

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EDITORAL
編集後記

○…恒例のENR誌の2011年売上高に基づく米国エンジニアリング建設企業ランキングの発表が始まった。今月発表されたのはTop 500 Design Firms。「経済的苦境を乗り越え、上昇開始」と題する。2011年の500社の総売上高が前年6.6%増、3年ぶりの上昇という。ただし、米国国内は6.6増にすぎず、一方海外は20.4%増となっている。具体的内容は次号以降で紹介する。先行して景気の回復するデザインファームに比べ遅行するコントラクターとくに米国国内の景況はまだ厳しそうだ。
 同じく恒例のドイツの2011年プラント受注統計も発表された。「プラント建設、新たな課題に取組む」と題する。合計では前年11%増。海外は73%のシェアを占めるも4%増、市場が欧州からアジアへと構造変化した。国内はオフショア風力でブームなど。同じく詳細は次号以降で紹介する。
 韓国の2011年海外プラント・建設受注、中国の2011年海外プロジェクト受注は年初に既報した。韓国はプラント微増・建設減少であったが、特殊事情を除けば過去最高。中国は5.9%増となった。いずれも1-3月期が発表され減少だが、3月以降上昇している。
 2010年に見えた市場構造の変化、西側先進国市場から中東・アジアの新興市場への移行が2011年はより鮮明な姿となっていることが見える統計だ。

○…公共施設の運営権を民間が取得する制度がいよいよ具体化しそうだ。いわゆる「コンセッション」と呼ばれる方式だ。ヨーロッパでは有料道路などにこの方式が取り入れられ民間運営が行われている。日本でもこの方式が普及するかもしれない。まず、空港で具体化するのではないかと思われる。
 3月末に政府が公共施設等運営権制度の新設などを定めた改正PFI法に基づく基本方針を閣議決定した。今後、具体的な運用規定などを示すガイドラインの改定を経て、改正内容を反映した個別プロジェクトが具体化していく。空港では関西国際、大阪国際の両空港での適用が可能としている。他の空港については今国会に提出した民間空港運営法案を根拠法令とすることになっている。国土交通省は、2014年度にまず仙台、広島空港など、比較的利用者の多い空港を手始めに、順次全国27空港について国が管理する空港施設の超長期の運営権を民間に売却するという。
 だが、利用者の少ない空港の運営権には民間企業は魅力を感じないかも知れない。なぜ、こんなところに空港を造ったのか疑問を感じるところが全国にある。いつも感じるのだが、国がお荷物になっている施設をいくら開放するといっても魅力はない。収益のあがっているおいしいところを対象にしてこそ制度は根づく。

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