○…「ソニー、年内に従業員1万人を削減」、「シャープ堺工場、台湾・鴻海が筆頭株主」、ここ一両日の経済紙1面を飾った記事だ。2011年度の決算で日本の電機業界の多くが大幅な赤字に落込むこむという。上記2社はテレビ事業の不振が大きいが、パナソニックもグループ従業員削減目標を明らかにしている。テレビ以外の家電分野も不振を極める。昨年は三洋電機の白物家電事業を中国のハイアールに売却した。倒産したエルピーダの支援企業は米国マイクロン、韓国ハイニクス・東芝、中国レノボ関連投資グループの争奪戦になったという。
崖っぷちに立たされた電機業界、これは日本の製造業のおかれている立場を象徴している。韓国に代表されるNIES諸国に続いて、中国などBRICS諸国、東南アジア諸国の工業化は、安価な労働力を鍵に日本など先進国の製造業を急激に代替している。日本は特に21世紀初頭以来、「モノつくり」に絶大な自信をもって、製造業生き残りを図り、産業構造・ビジネスモデルの転換を回避してきた。それが2009年以降の世界経済危機で、問題が明らかになってきている。
エンジニアリング・プラント分野でも、通常のEPCプロジェクトでの競争力は韓国企業に及ばない。プラント分野でのコア機器供給はどこまで続くか。大きなビジネスモデルの変革が必要だ。
○…将来の姿が予測されている事象はいろいろだ。だが、それが現実となりあらためて愕然とするということもある。その一つが日本の少子高齢化社会の到来である。先月半ば東京都は、統計開始以来最少の1世帯当りの平均人数が1.99人となったことを公表した。実に1世帯の構成人数が2人を割ってしまったのだ。その理由について東京都は、「一人暮らしの高齢者や独身の若者が都市部で増えている」と分析している。
少子高齢化の波は全国に及んでいる。確か全国平均についても1世帯当りの平均人数も2.36人という数字をみたことがある。いずれ、全国平均でも2人を割る時代がくるのであろうか。
私の近辺を見回しても、一人住まいの高齢者が珍しくなくなった。我が近隣でも、何日間も気づかれない孤独死を防ぐ方策を検討せざるを得ない状況になった。また親との同居が益々減少している。一方、一人っ子の家庭も増えている。上記のような結果かどうかわからないが、人とのつながりが希薄になり、社会性を喪失した若者が増えているような気がしてならない。わがまま、家庭内暴力、ひきこもり、ニートなどがはびこるのは社会性の欠如の現われではなかろうか。そして、モンスターペアレントをも生み出す。社会性を喪失した人間だらけになった世の中をあまり見たくない。 |