○…日本唯一のDRAMメーカーエルピーダメモリ(世界3位)がついに破綻、会社更生法を申請した。これに先立ってもう一つの分野システムLSIについて、日本企業の事業統合案が取沙汰されている。半導体不況の結果でもあるが、日本の半導体産業終焉の最後の局面であり、日本の電機産業の再編淘汰の一環といえる。問題はこれら企業の再建に政策投資銀行や産業革新機構といった政府関連機関が関わることだ。これら事業は政府が救済すべきなのだろうか。
エルピーダは不振にあえぐDRAM事業をNECと日立が99年分離して設立、そこに三菱電機の事業も統合したものだ。親会社から独立して綱渡り経営を続けてきたが、ついに会社更生法申請となった。一方LSIは同じ3社の部門を統合したルネサスエレクトニクスと他の電機会社部門との統合問題だ。
これらの中核にある構想は不振部門を統合すれば生き残れる、そのため銀行・政府が支援ということだ。DRAMであれば、現時点では韓国企業に、統合時点では台湾企業も含めて、日本企業は敗北したのであり。今後も競争力の回復は考えられない。日本での製造は早い段階で撤退すべきだったのだ。もはや政府は救済すべきものではない。
LSIは顧客産業との関係では部品であり、統合したからといって、収益力が向上するものではない。これも政府の救済は不要だ。
○…私はある歌の会に所属しているが、不真面目な会員であり週一度の例会にも欠席しがちだ。何しろ、楽譜は読めない、音痴ときている。この歌の会は、唱歌・わらべ歌からはじまって、内外の民謡、名曲などジャンルは広いが、年齢構成は高い。実は、この会は5年前に私が地域の人たちに呼びかけて作った会だ。ところが、人数も増え、合唱を本格的にやってきた人たちも増え、いまや私の出番はない。隅っこで目立たないように口パクをしている昨今だ。
ただ、歌声では負けるが、負けていないことが一つある。薀蓄である。その歌のできた背景、何を言わんとしているか等々、調べまくって薀蓄を披露する。おかげで評判は悪い。だから益々足が遠のく。仕方なく、今度は映画研究会をつくった。映画の薀蓄を語り合うのだ。月2回、地域の集会所の大型画面でDVDを鑑賞する。
そこで最近知った。台湾の名監督・侯孝賢の「冬冬(トントン)の夏休み」をみた時だ。台湾では夏休み前に卒業式。そこで歌われる歌が「仰げば尊し」だった。日本の楽譜には作詞・作曲者不詳となっていた。実は最近判明したのだが、1871年に米国で作られていた。原曲の題名もずばり「Song for the Close of School」。最早日本の卒業式では歌われないが名曲だ。この3月、どこかの卒業式で歌われてもいいのでは。 |