EnB4号 目次
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技術で貢献しようにも

■REPORT
進まない?水インフラ輸出の課題

海外受注拡大も収益は厳しく
エンジニアリング業界の3Q決算

■GLOBAL Report
URS、M&Aで石油ガス上流部門に進出
M&Aの目標をオーストラリア・カナダ企業に置く

■GLOBAL Business
・Honeywell、インドに技術センターを新設
・Halliburton・Petronas、シェールガス開発で提携
・Aker Solutions、ノルウェーエンジニアリング企業買収
…Petrofac、英国パイプラインサービス企業を買収
・Siemens、米国水処理企業Cambride Waterを買収
・LG電子・大宇建設、環境事業で戦略提携
・AECOM、台湾の京華工程顧問を買収
<2011年下期の業界再編・事業再編(2)>
・Veolia、大型事業再編計画を実行
・Suez Environmentも事業売却
…英国上水事業
・SNC-Lavalin、カナダのMDHを買収(7月)
・GS建設、スペイン水処理企業を買収(11月)
・斗山重工、Lentjesを買収(11月)
…KKR、中国水処理企業を買収(8月)

■TOPICS
2011年産機受注、2年連続で増加

■NEWS Flash
・千代田化工建設、相次ぎプラント受注
・東芝、発電プラント連続受注
・Hitz、中国の環境関連で実績
・国内産業用GT発電、受注続く
・タンジュン・ジャティB火力発電所が完成
・IHI、エネルギー関連で技術開発
…東洋エンジ、新社長に石橋副社長
…IHI、新社長に斎藤副社長
…JFEエンジ、富山で環境プラント建設工事を受注
…Hitz、プロセス機器でインド合弁設立
…Hitzとアタカ大機、CO2のメタン転換技術を開発
…川崎重工、30MW級純国産GT「L30A」開発

■Projects News
…QP〜Qapco、Ras Laffan石化PJを推進
…Sabic-Exxon、JubailエラストマーでPMC入札
…サウジ初のポリシリコンプラント
…ドバイでゴミ焼却発電再入札へ
…BP、イラクでガソリン輸入ターミナルを計画
…Siam Cement、石化コンプレックスでJV設立へ
…Shawグループ、タイのFCCユニットにライセンス供与
…パキスタン製油所拡張でUOP選定
…PIC、クウェートでPET/PTAを計画
…住友商事、インドネシアで100億ドル投資へ
…GPIC、Sitra肥料プラント倍増計画
…世銀、レバノンの水プロジェクトに融資
…Petrobras、バイオディーゼルを増強
…Petrobras、リオ・グランデで肥料&再気化設備
…Sabic、トリニダッドでMTPプロジェクト
…FW、サウジでPOプラント受注
…Siemens、サウジでGTCC受注
…Alstom、ベトナムで水力発電設備受注
…米SIグループ、中国にフェノール樹脂プラント
…AlstomとRosatomのJVがバルチック原発向けに受注
…豪QGC、ガス処理設備を発注
…SK建設、トルコで石炭火力建設でMOU
…ブラジルとアルゼンチンがJVで発電PJ
…Freeport LNG、LNGプラントのFEED実施へ
…Duke Energyなど、CCS開発を加速
…GE、トルコでGTCC発電所受注
…現代建設、サウジで変電設備受注
…KGOC、輸出システムをTechnipに発注
…LyondellBasell、中国にHostalen HDPE技術を供与

■海外・国内主要プロジェクトの動向

■データ・ファイル

■エンジニアリングダイジェスト

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EnB 4号 表紙

 

EYE
技術で貢献しようにも

 水インフラシステム輸出が注目を集めのは約2年前だった。欧米の水メジャーに続け、とばかりに、海外への水システム輸出に官民上げて取り組んでいこう、という気概が高かったのをよく覚えている。しかし、既にエンジニアリング会社は、上水事業のコンセッション・ビジネスは難しいと判断。主に工業排水のリサイクルにターゲットを絞りつつある。
 考えてみれば上水事業は、水源の確保から水処理施設の建設、管路の敷設、メータリングシステムの構築と料金収受、さらには漏水率低減のための定期的メンテナンスどが必要となり、しかも水質の維持も重要な課題となる。水源には大抵の場合、水利権が存在するので、現地政府との協力、明確なリスク分担が契約上、必要となるし、資金の乏しい国が多いので、ファイナンスも重要な課題となる。これらの課題をクリアしても、得られる料金収入は、相手国の経済水準にマッチした金額でなければならないため、これら全てを手掛けたとしても、利益を得るのは厳しい。
 2年前には、このような事業全体を請け負う事で高い利益を得られる、と官民上げて主張していたが、現実はそれほど簡単ではなかった。そのため最近ではやはり、日本で積み上げてきた技術をベースとした施設輸出へと、話は戻ってきている。
 実際、日本の水に関する技術は高く、そして幅広い。先般開催されたインターアクアは、水インフラ輸出が進まないせいか、シュリンクしたようだが、技術開発が多様に進んでいる。既に実用化されている技術に対しても、より低コストで水処理が可能なような新たな開発が行われてきた。水資源のなかで、最も綺麗である雨水の利用についても、システム提案がされていた。
 水インフラは人の健康、命に直結する重要なインフラである。世界には「安全な水」を得られない多くの人が残されている。海外からは日本への期待もまだ寄せられている。曰く「水事業に参加して欲しい」「資金面で支援して欲しい」「必要な施設を供給してほしい」。これらの声に応えるには、新たな低コスト技術・システムが不可欠だ。しかしそれを海外に適応するにも関係各省庁の連携が充分ではないようだ。

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EDITORAL
編集後記

○…「イラクに円借款1600億円、製油所を建設」、本日の経済紙の一面の見出しだ。内容はイラクの南部バスラ製油所プロジェクトに供与するもので、イラク案件過去最大、かつイラク向け初めての日本企業へのひも付き円借款。バスラ製油所内に新規石油精製プラントを建設するもので、2013年に本体工事実施企業の入札実施、14年に、決定・着工、18年運転開始という。
 なんとも違和感がぬぐえない。円借款が製油所のような商業ベースで可能なものに供与されるケースは通常考えられない。イラクは安全確保などのコストがかさむので民間の投融資ベースでは難しいとしてOECDの了解を得たという。イラクでは現在石油開発を初めとして多くの民間プロジェクトが動きはじめている。民間ベースでできないというのは納得しがたい。
 さらに問題は日本企業へのひも付きが中東ベースで高いコストになる可能性があることだ。中東の石油精製プラントにおいては圧倒的に韓国コントラクターのコスト競争力が高い。イラクが感謝できるリーズナブルなコストにするには、韓国コントラクターの参加なしには考えられない。
 高度なプロジェクト、また機器段階では日本企業に競争力がある。こう考えれば、ノンタイド案件の方が、イラク・日本とも満足する結果が得られるのではないか。

○…「老兵は死なず、ただ消え去るのみ」はダグラス・マッカーサーが退任する際、米議会の演説で発した言葉だそうである。ただし、この有名な言葉は、もともと「…おれたちゃ少しずつ消えていくんだ。老兵は死なず、ただ消え去るのみ。二等兵様は毎日ビールが飲める…、…俺たちはいつも訓練…」と続く兵士達の間で歌われた風刺歌のフレーズらしい。
 実は私は長い間この演説を「老兵は黙して語らず、ただ消え去るのみ」だと勝手に思い込んでいた。マッカーサーが一切弁明しないと言ったのだと思っていた。
 最近、約20年間就いているある地域の役職をこの3月で退任したいと考えている。その旨をつげた組織の仲間から引き止められたが、その際「老兵は黙して…」と恰好をつけて答えたのだ。とんだ恥をさらした。
 だが、私の立場から言うと「老兵は黙して…」の方がその場に相応しい言葉と考える。会社と違ってその組織はいわばボランティア組織。目的は、地域との融合である。長い間同じ役職についていると多くのことを経験し、若い人の経験不足が目につく。つい、口出しをしてしまう。確かに、助言が役立つこともあろうが、余計なことだ。
 考えてみれば、経験不足大いに結構。新しい発想も生まれる。やはり、老兵は黙して語らず、ただ消え去るべきなのだ。

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