EnB3号 目次
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■EYE詳細へ
「インフラ輸出1兆円」の微妙

■REPORT
「自己熱再生」で大幅省エネを可能に
新日鉄エンジが実証、産業変革に期待

■REPORT
実現するか?国内電力システム改革

■GLOBAL Report
世界エネルギー展望と北米エンジニアリング企業
海外志向を強めるエンジニアリング各社

■TOPICS
政府、サウジアラビアとの関係強化

2016年、米国がガス輸出国に

IHIMU、ユニバーサル造船が統合

■NEWS Flash
・川崎重工、ガスエンジンが好調
・日揮、イラクの発電所冷却装置再建PJ受注
・丸紅、アンゴラからバイオエタノール工場を受注
・東芝、メキシコ向けに蒸気タービン・発電機受注
・BWSC、英国でわら焚発電を受注
・三菱〜日立、スペインでスマコミュ
…東洋エンジ、インドネシアのエンジ会社に出資
…三菱重工、中国に環境装置営業会社
…新日鉄エンジ、橋梁から撤退
…JFEエンジ、温泉バイナリー発電のFSに着手
…日立プラント、LG電子と水事業会社発足
…三菱、若狭に原子力安全統括センターを設置

■Projects News
…クウェートのIWPPで住商Gが一番札
…クウェート、発電所拡張計画で入札へ
…ドーハの地下鉄PJで入札
…Ras Tanura製油所でPQ
…イラクSRC、Basraの新規FCCで入札へ
…Sabic-三菱レイヨン、FEEDを発注
…モロッコで風力発電
…Duqm石油・石化PJでFEED入札へ
…イラクでIPP入札へ
…サウジ電力、Jizan発電所で入札へ
…Laffan製油所第二期拡張でPQ
…FW、アルバニアで製油所のFS
…Areva、フィンランドの原発入札に参加
…B&W、インドで環境機器据付工事受注
…バングラとインド、石炭火力でJV
…Bechtel、Sabine PassLNG液化トレインを受注
…コロンビアとエクアドル、地熱発電を推進
…Indorama、PTA/PETコンプレックスを計画
…Jacobs、サウジのソーダ灰プロジェクトを受注
…マレーシアでガス火力発電
…P&W、中国で石炭ガス化実証プラント
…Progress Energy、Levy County原発をキャンセル
…SNC-Lavarin、ビチューメン関連設備受注
…中国・東海島コンプレックスでTotalがパートナー
…三星エンジ、アブダビで窒素注入設備受注
…Tecnip、KGOCからNGLプラントを受注
…印Ratle水力増強計画が認可

■フォーラム

■海外・国内主要プロジェクトの動向

■データ・ファイル
・2011年10〜12月期の重電機器受注実績

■エンジニアリングダイジェスト

■最近のプロジェクト受注・契約状況

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EnB 3号 表紙

 

EYE
「インフラ輸出一兆円」の微妙

 政府はインフラ輸出で、10の事業を支援するという。その総額が1兆円規模にのぼるという。ここで金額にあまり拘るべきではないのかも知れない。政府がインフラ輸出の本格的支援に乗り出した、ということを素直に喜んでおくべきかも知れない。しかし1兆円、という金額が「ビミョー」なのである。インフラストラクチャー案件を10件も集めて、1兆円にしかならないのか、と感じてしまう。1件あたり1,000億円だから、十分に大きい話なのだが、インフラ案件が複数年続くことを考えると、あまり大きな金額とは思えないのだ。海外のインフラプロジェクトといえば、かなり大きな規模のものも多い。特に中東などでは数千億円規模の案件も多い。10件も集めれば2兆円は軽く超えるのではないか、と思える。
 財務省の貿易統計によれば、2012年1〜12月の日本の輸出額は総額65兆5,547億円であった。前年同期に対して2.7%の減少となっている。これに1兆円が加わっても、前年比プラスどころか、イーブンにもならない。そして日本のGDPにおける輸出の占める割合は4分の1以下でしかない。
 韓国では、GDPの輸出依存度は約半分。2011年の総輸出額は1兆ドルを超えたという。つまりプラント輸出だけでなく、輸出総額でも日本は韓国を下回っているのだ。ここに1兆円が上乗せされて、多少は差を詰められるかもしれないが、さほど大きな力ではない。もっとも、韓国のような輸出依存度が望ましいかどうかは別問題だが。
 インフラ輸出は始まったばかりだから、とりあえずの規模として、これは十分な額である、との見方も確かにできるだろう。今後、さらに制度が充実し、支援も効率化され、柔軟な対応ができるようになれば、さらにインフラ輸出は拡大していく。と前向きに考えることもできる。
 だが、大規模なインフラプロジェクトの輸出を実現していくためには、民間の技術力だけではなく、公的機関のより積極的な人的リソースの投入と、より長期的な交渉への関与、交渉力強化などがより重要となっていく。そうした対応は可能なのだろうか。

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EDITORAL
編集後記

○…わが国でも最近M&Aの動きが多発している。新日鉄・住金の統合が正式決定、JFE・IHI傘下造船企業の合併、LSI半導体3社の事業統合交渉などが挙げられよう。電機業界は統合再編の時期に入ったともいわれる。そういえばM重工とH社の事業統合の噂もあった。
 これらM&Aのほとんどが統合による規模の拡大を謳っている。これは市場が拡大するときに有効な事業戦略だ。現在のような国内市場縮小、国際競争力低下の時期では、実態は異なる。事業の合理化・縮小によって生き残りを図るものにならざる得ない。
 エンジニアリング産業など受注産業の場合、同業企業の合併は無意味とされる。合併によって顧客数(市場)が両社計にならないからだ。ところが、海外企業では受注産業含め、M&Aが多発している。これはなぜだろうか。M&Aのほとんどは、買収企業が、被買収企業の補完的役割を評価したものであることが大きい。つまり買収企業の目的が事業分野の多角化、地域の多角化、新機能の獲得などであるからである。このようにM&Aは成長のための事業戦略なのである。
 東芝によるWestinghouse買収は典型的な戦略的成長戦略に基づくもの。しかし、最近の我が国M&Aの多くが防衛的なM&Aだ。日本の同業企業同士の統合より、M&Aで業種・機能の多角化・海外展開こそ図るべきなのに。

○…2月4日は暦の上では立春であった。立春には「春が近づき、少しずつ暖かくなり始める」とあるが、今年はことのほか寒い。4日朝も日本列島に寒気が居座り、全国各地で氷点下を記録した。その後も強い寒気が流れ込み、各地で大雪をもたらした。豪雪地帯で、雪下ろしをしていた人が雪に埋もれる事故のニュースが連日のように報じられた。特に高齢者が被害に遭われる。過疎化の影響がここにも及ぶ。
 ちょうど百年前に作られた「早春賦」(そうしゅんふ)という唱歌がある。長野県の安曇野地方で作られたらしく、歌詞はちょうど今頃の季節の情景を歌っているようだ。「早春に賦す」という題名といい、「春は名のみの風の寒さや…」で始まる歌詞といい、文語調であり、今の若者には理解不能の個所が多いだろう。かくいう私にとっても意味不明の個所が随所にあるのだ。唱歌として学校で歌うには難解すぎるだろう。ただ、2番の歌詞のうち、「さては時ぞとおもうあやにく、今日も昨日も雪の空」は分かる。
 かつての日本の田園風景や景色を歌った名曲は唱歌にいくつかある。だが、今や忘れられつつあり、その曲に郷愁を感じる人も今後さらに少なくなっていくだろう。
 なにしろ、あいにくと人々がそこで暮らすには大変な労苦と忍耐が必要とされるのだから。

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