○…わが国でも最近M&Aの動きが多発している。新日鉄・住金の統合が正式決定、JFE・IHI傘下造船企業の合併、LSI半導体3社の事業統合交渉などが挙げられよう。電機業界は統合再編の時期に入ったともいわれる。そういえばM重工とH社の事業統合の噂もあった。
これらM&Aのほとんどが統合による規模の拡大を謳っている。これは市場が拡大するときに有効な事業戦略だ。現在のような国内市場縮小、国際競争力低下の時期では、実態は異なる。事業の合理化・縮小によって生き残りを図るものにならざる得ない。
エンジニアリング産業など受注産業の場合、同業企業の合併は無意味とされる。合併によって顧客数(市場)が両社計にならないからだ。ところが、海外企業では受注産業含め、M&Aが多発している。これはなぜだろうか。M&Aのほとんどは、買収企業が、被買収企業の補完的役割を評価したものであることが大きい。つまり買収企業の目的が事業分野の多角化、地域の多角化、新機能の獲得などであるからである。このようにM&Aは成長のための事業戦略なのである。
東芝によるWestinghouse買収は典型的な戦略的成長戦略に基づくもの。しかし、最近の我が国M&Aの多くが防衛的なM&Aだ。日本の同業企業同士の統合より、M&Aで業種・機能の多角化・海外展開こそ図るべきなのに。
○…2月4日は暦の上では立春であった。立春には「春が近づき、少しずつ暖かくなり始める」とあるが、今年はことのほか寒い。4日朝も日本列島に寒気が居座り、全国各地で氷点下を記録した。その後も強い寒気が流れ込み、各地で大雪をもたらした。豪雪地帯で、雪下ろしをしていた人が雪に埋もれる事故のニュースが連日のように報じられた。特に高齢者が被害に遭われる。過疎化の影響がここにも及ぶ。
ちょうど百年前に作られた「早春賦」(そうしゅんふ)という唱歌がある。長野県の安曇野地方で作られたらしく、歌詞はちょうど今頃の季節の情景を歌っているようだ。「早春に賦す」という題名といい、「春は名のみの風の寒さや…」で始まる歌詞といい、文語調であり、今の若者には理解不能の個所が多いだろう。かくいう私にとっても意味不明の個所が随所にあるのだ。唱歌として学校で歌うには難解すぎるだろう。ただ、2番の歌詞のうち、「さては時ぞとおもうあやにく、今日も昨日も雪の空」は分かる。
かつての日本の田園風景や景色を歌った名曲は唱歌にいくつかある。だが、今や忘れられつつあり、その曲に郷愁を感じる人も今後さらに少なくなっていくだろう。
なにしろ、あいにくと人々がそこで暮らすには大変な労苦と忍耐が必要とされるのだから。 |