○…原発依存体制からの脱却が必至となり、炭化水素燃料へ回帰するとなれば避けて通れないのがCO2温暖化論。最近刊行された深井有著「気候変動とエネルギー問題」を読んでみた。深井氏は物理学者で、まえがきで日進月歩の気候変動科学を伝えることで、CO2温暖化という俗論の悪夢を振り払うように力を尽くすとしている。
序章で、2009年に暴かれた「クライメートゲート」事件の経緯を明らかにする。CO2による地球温暖化を世界の政策レベルで認定させ、CO2削減を主導してきたIPCC(気候変動に関する政府間パネル)の報告書に基幹的なデータを提供した英国の研究所の内部データが流出、温暖化データが意図的に作られたことなどが発覚した。CO2による地球温暖化説の科学的根拠は失われたといって良い。この経緯とIPCCへの影響を論じた後、第1章で気候変動の科学を紹介する。気候変動の要因は、地球が宇宙につながっていることから=自然要因から生ずるものである。CO2による急激な温暖化説にたったIPCCなどの温暖化論者の種々の主張の多くを、最近の気候変動関連諸科学は否定している。
CO2温暖化説が科学的に誤りであることは間違いない。しかし世界政治に埋め込まれたCO2削減政策は容易には転換できない。それにより生み出された経済システムは無駄であっても解消は容易でないのだ。
○…12月の声を聞くと、我がマンションの自治会は大忙し。12月中旬に恒例の「餅つき大会」があるからだ。用具の準備、食材の買出し、薪割りなどの準備を経て、前日から約百kgのもち米をとぎ、水に浸す。当日朝はカマド3基で火をおこし、セイロでもち米を蒸す。二つの臼で餅をつくが、子どもにもサービスでチャレンジさせる。幼児用の杵まで用意してある。しかし、ご多分に漏れず我がマンションも高齢化が進み、何臼ついてもへばらない若手が激減している。翌日の腰痛を覚悟してよろよろと杵を持ち上げる。やっとつきあがった餅は集会所に運び入れ、伸し餅にする他は加工する。30年近くいろいろ試みたが、定番はあんころ餅、きな粉餅、からみ餅、ネギ餅(一番人気。特に酒飲みに)に落着いた。
問題はこのお餅を利用して作る「お雑煮」である。350世帯あるから、全国あらゆるところの出身者が居住する。毎年、お雑煮担当の女性に味付け等は任せるが、これが出身地によって全く違ってくる。まず大雑把にいえば、東日本は角餅、西日本は丸餅だ。味付けは昆布が主流で東はしょう油、西は白味噌など。具沢山もあれば餅と青菜だけというところもある。全国の味を経験できるのはいいが、「これは雑煮ではない」というぼやきもたまに聞く。しかし、この餅つき大会は、大規模災害時に備えた防災訓練に一番適している。 |