○…「日本経済が何をやってもダメな本当の理由」を読んでいる(櫨浩一著日経新聞6月発行)。刺激的な題名だが、言っていることは極めてまともなことだ。先進工業国となったのに、生産優先の考え方から脱することができない日本。供給力でなく消費の不足こそ、長期低迷の原因だと喝破する。
日本はエネルギー・資源・食糧の自給は難しく、輸入せざるを得ず、そのための輸出により稼がざる得ない。国際貿易は不可欠だが、外需に頼って経済を維持することは似て非なる話だという。輸出は必要な資源・製品を輸入する手段でなくなり、とくに80年代以降は国内需要の不足を補う手段となった。一方では輸入は構造的・政策的に拡大しない。日本の黒字は海外の赤字であり、最終的には世界の保護貿易主義を助長する。また円高が進み、外需依存の成長が不可能になるという。
日本のGDPに占める消費(家計消費+政府消費)の割合が他の先進工業国に比べて小さい。欧州諸国は一般に高福祉高負担で医療福祉サービスを政府消費として提供している。米国は低福祉低負担で個人の可処分所得が大きく、個人が多くの消費支出をしている。日本には医療・介護・福祉という満たされないかつ今後も拡大する内需がある。これを政府・民間消費のミックスで対応すべきという。
○…最近、さる大学附属病院に約1ヵ月入院した。こんなに長期の入院経験は初めてである。そこで驚いたことがいくつかある。まず、病院施設、医療機器が進んでいることに驚かされたが、最初にビックリしたのは、病院施設内で携帯電話が使用可能であったことである。もちろん、私の入った4人部屋の中ではほかの患者さんに遠慮して使用はできなかったが、廊下、供用施設などでは使用可能であった。
これまでの知識だと、医療機器に携帯電話の電波が影響を及ぼすために病院内では使用禁止と思っていた。早速、入院当日からあちらこちらに電話した。部屋に電話がかかってきても、即座に廊下に出て受け答えが可能であった。突然の入院であったのでこれは助かった。携帯電話が使用可能ということは、医療機器への影響はないということだろうと思う。それほど現在の医療機器は優れているのかも知れない。
そしてもう一つ驚いたのが、看護師の対応だ。当然の事ながらローテーションで毎日、毎夜、看護師さんは変わる。けれどその対応は一律だ。患者の情報は一元化されているのだ。一日に何度も様子を聞きに来るが、すべて情報はパソコン持参で入力していくのだ。医療機器も含めてITの進展によって病院も大きく変貌しているのを実感させられた。 |