○…2013年に開催される第3回ワールドベースボールクラシック(WBC)に日本の参加が正式に決ったようだ。2006年の第1回大会では10対6でキューバを破り、2009年の第2回大会で宿敵韓国に5対3で勝利、二連覇を飾っている日本が次の大会に参加しないわけがない、と思っていた。
ところが、参加に躊躇していたのは日本プロ野球機構とプロ野球選手会である。なぜなのかは、ある報道を読むまでは理解できなかった。
その報道によると、「スポンサー料や収益金の分配について日米間に大いなる不平等がある事」だという。米国の不当な要求に対して日本プロ野球機構と日本プロ野球選手会は一体となって正当な権利を求めて米側(WBCI)と交渉していたが、米国は一歩も引かない。
例えばWBC収益金の配分は2009年では優勝チーム日本が13%、準優勝チーム韓国が9%だ。これに対して米国のメジャーリーグ機構(MLB)が33%、MLB選手会が33%で計66%をとるという。そもそも、米国のメジャーリーガーはこの大会への参加にはそれほど力をおいてない。
けれど、WBCIの最後通牒に日本は屈した。日本の外交下手の典型のような図式だ。こうなるとTPPの行く末も心配になってくる。
○…「天皇陵の謎」という新書、古代天皇陵40の内被葬者に問題ないのは2基あるいは数基と広告していた。昔聞いたことのある言い分だな、今の考古学では、そんな事は無い筈だと買ってみた。この主張は考古学の老大家M先生の40年以上前の本の表のM先生による改訂をもととしたものだった。M先生は何々天皇陵はおかしい、地名古墳とすべし(仁徳陵→大仙陵)として教科書を変えさせるなどある時期の日本考古学・古代史のリーダーだった人だ。
つい最近までの古代史は、戦前・戦後10数年の年代設定に対し、やたら繰り下げてきた。M先生もそれを推進したリーダーの一人だ。しかし最近の考古学は絶対年代のわかる年輪年代法や放射性炭素年代法などの発達もあり、年代が元に戻り始めている。箸墓=卑弥呼=倭百襲姫が確実視され、応神陵・仁徳陵の大型陵墓もまず間違いがなさそうだ。M先生はこの新しい年代遡及の動きに全くついていけていない人に属する。
この本にもあるように継体陵・斉明陵が宮内庁管理の陵墓とは異なることが学問的に確定した。正しい陵が宮内庁管理でなかったから発掘調査可能だった。宮内庁は天皇家の祖先として200弱の陵墓を聖域としている。数十代前の陵墓は天皇家のものではなく、国民の文化財として、この本のいうように発掘など学術調査の対象であるべきなのだ。 |