EnB18号 目次
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■EYE詳細へ
広がるインフラシステム輸出

■Report
転換期の太陽エネルギービジネス(上)

潰えた中国民活導入構想の深層⑤

■GLOBAL Report
世界エンジニアリング、新興国・天然資源国がリード
2010年の世界エンジニアリング企業の動向(2)

■TOPICS
活発化するカタールプロジェクト

重量物輸送サービスを拡大へ

国内の復興と、世界への貢献を

■NEWS Flash
・三菱重工、マレーシアから肥料プラント受注
・月島機械、中国で下水汚泥乾燥機受注
・商事/日揮の豪州法人、上水事業を一括受注
・三菱重工、中国最大級のごみ焼却設備受注
…新日鉄エンジ、釜石市のガレキを溶融処理
…伊藤忠/電発等、インドネシアIPPで売電契約
…川崎重工、国内初の11万kWガスエンジン発電所を受注
…MHIEC、海洋生物付着防止装置(MGPS)を連続受注
…IUK、アフリカ最大級のジブクレーンを受注
…IHI、米最大級のLNG受入ターミナルを完成
…東芝と明電舎、中小型水力発電システムを強化
…IHI、世界最大規模の石炭燃焼試験設備を完成

■Projects News
…Alstom、AEPの石炭火力発電増強を受注
…中国大唐集団、CCSでAlstomとMOU
…Saudi Aramco、Jazan製油所でAxens採用
…Chevron、Wheatstone LNGを推進
…福建Meide石化、PDH建設
…Essar Oil、CBM採掘で認可取得
…GE、イラクIPPとサービス契約
…GE、ブラジルで8億ドル超の発電設備受注
…イラン、原子力発電の追加をロシアに要請
…ヨルダン、原子力発電で優先交渉権者を近く公表
…Petron、プロピレン増産でAxensを選定
…ロシア、サハリン第2LNGプラントを検討
…三星エンジ、サウジで3件のプロジェクトを受注
…Sasol、米Calcasieu ParishでGTL
…陜西延長楡林能化公司、IneosのPPプロセスを導入
…Technip、肥料プラントのFEEDなど受注
…WH、スイスから原発機器受注
…Alstom、南米で水力発電2件受注
…サウジJazan製油所でAxens技術採用
…Axens、イラクのMaissan製油所を受注
…ExxonMobil、潤滑油ベースプラント建設
…GE、イラクでリインジェクション設備受注
…現代建設〜大宇国際、バングラデシュから火力発電所
…Jacobs、モロッコの肥料プロジェクトでEPCM
…サウジアラビア、原子力に1000億ドル投資の意向
…Sipchem、フェーズ3の建設を開始
…三星物産、サウジの複合火力受注
…サウジKJOで入札実施
…Sadara、タンクファームで入札実施

■フォーラム

■海外・国内主要プロジェクトの動向

■最近のプロジェクト受注・契約状況

■Editorial 詳細へ

EnB 18号 表紙

 

EYE
広がるインフラシステム輸出

 三菱商事と日揮が資本参加する豪州のTRILITY Groupが、新規上水道事業を受注した。単なるプラントビジネスではなく、プラント建設後、35年間に亘って上水を供給する事業を建設から一括で受注したものだ。しかも西豪州における初のPPP(官民連係インフラ事業)による水事業案件だ。また、カタールでは2020年のFIFAワールドカップに向けたインフラ整備が急ピッチで進められており、水関連設備や交通システム部門で日本企業の受注が期待されるようになってきている。「インフラシステム輸出」はこれまで掛け声は大きかったものの、具体的な案件はあまりなく、それもFS段階でとどまっていたが、水面下では着実にプロジェクトは進展してきた。
 一つには、欧米経済が混迷を増しているなかで、新興国はいち早くリーマンショック後の停滞を抜け出し、活発な投資が繰り広げられるようになってきたことがある。中東産油国は原油価格の高止まりと、天然ガスへの需要拡大で資金的には潤うなか、国内経済の急速な発展に伴うインフラ不足が大きな課題となっている。東南アジアでも生活水準の向上からエネルギー関連投資は活発化してきたが、中国などは既に中核となる石油・ガス、大規模石化への投資から、より下流のスペシャリティな設備へと投資の中心が移行してきた。
 そうした中で、環境や衛生に関する意識はより高まっていく。ここのところ、海外向けごみ処理施設の受注が増えてきているのも、環境・衛生面で焼却処理の必要性が高まっており、この面では世界で最も進んでいる日本の技術が求められていると考えられる。
 エネルギーに関しても、単なる発電所の増強、ではなく、ガスタービンコンバインドサイクルや、超々臨界圧(USC)発電などよりクリーンな電源の需要がでてきた。特にUSCに関しては「良い技術だが高過ぎる」と言われていた10年前とは隔世の感がある。そして今後、サンベルト地域では太陽エネルギーに大きな期待が寄せられて。今後はさらに農業とエネルギーを融合したシステムなど、知恵を使った「インフラシステム輸出」が本格的に始まるなかで、将来に向けた種まきを官民で作り上げていくことも重要だろう。

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EDITORAL
編集後記

○…原子力発電コストが実は相当に高く、事故処理コストも含めれば巨大なものとなることはこの欄でも既述した。福島事故は原発のリスクが地元だけで負担できるものでないこと、被害額は社会全体として膨大なものとなること、原発を運営する電力会社の操業能力・経営体質が原発運営にふさわしくないことなどが明らかになった。従来の原発ありきの電力体制は崩壊せざるを得ない。原発体制は経済・社会にしっかり組み込まれており、単に原発を止めればすむものではない。例えば原発代替エネルギーにしても単純な問題ではない。
 自然エネルギーが原子力を代替することは非現実的だ。ことに日本では量的に期待できるものはほぼ皆無だ。薄くて不安定なのが、自然エネルギーの本質。また水力を考えれば一目瞭然だが、大型自然エネルギー利用は自然を破壊する。
 原子力代替には、原子力同様、現在の地球の太陽エネルギー循環外からエネルギーを得る、炭化水素利用しかありえない。大量に石油を買い増すのは不可能である。天然ガス火力・石炭火力が解決策だ。天然ガスは日本ではLNGとなるが、量的にはともかく、コスト的に高く、原発同様のベースロード電源とはなりにくい。ベースロードは石炭火力の役目だ。高効率化・排出量削減を実現する超臨界圧など環境技術もある。

○…Macユーザーではないのだが、スティーブ・ジョブズの偉大さぐらいは理解できる。パソコンを作り上げた一人であり、その功績は大きいと言わざるを得ない。そして彼のAppleが生み出した製品はどれもこれも魅力的なデザインを有している。とにかく一度は触ってみたくなるようなデザイン。それがApple製品の魅力である。
 スティーブ・ジョブズがそのデザインについて語った言葉が興味深い。「デザインというのは奇妙な言葉で、どう見えるかということだと考える人がいる。しかし、もっと深く考えると、実際にはどう機能するかだ。マックのデザインはどう見えるかではなかった。それも一部ではあったが、そもそも、どう動くかだった。何かを本当にうまくデザインするには、理解する必要がある。すべてに共感する必要がある。何かを徹底的に理解し、素早く飲み込むのではなく噛み砕く情熱に満ちた取り組みが必要だ」。既にコンピュータという世界を超え、ものづくり全体、さらには牽強付会気味ではあるが、プラントエンジニアリングにも通じる何かを含んでいるように思う。
 ところが今回のiPhone4sはこの言葉を裏切っている。中味の機能は大きく変わっているのにデザインは変わっていない。「4S」とは「For Steave」の意味だ、という話をうっかり信じたくなってしまう。

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