EnB16号 目次
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■EYE詳細へ
原発/脱原発のリスクマネジメント

■Report
原子力ビジネスは継続するか

潰えた中国民活導入構想の深層③

■GLOBAL Report
世界エンジニアリング企業、新興地域市場に焦点
2010年の世界のエンジニアリング企業の動向(1)

■TOPICS
ゼロベースでエネルギー議論を-高原資源エネ庁長官

日本能率協会、第1回Good Factory賞に5件選定

■NEWS Flash
・日揮、アルジェリアで原油処理プラント受注
・千代田化工、カタールガスとEPCm業務契約
・月島機械、印リライアンスからSTDを受注
・清水建設、アジアで環境対応PJのFSを相次ぎ受託
・丸紅、英国の洋上風力事業に参画
・双日・月島機械、インドネシア低品位炭火力改善で調査
・三菱重工、インドにエンジ会社設立
…三井造船、シンガポールでSBRプラントを起工
…日揮、米ガス田開発でガス層を発見
…川崎重工、九州電力とバイナリー発電を実証
…日立造船と京都市、廃棄物バイオエタノール技術開発
…三菱重工、タタと産業大動脈でFS

■Projects News
…Banagas向けコンプレッサーモジュール発注へ
…アゼルバイジャンで尿素プラント
…ブラジルで風力発電
…CB&I、中国でPDH技術供与
…大宇、洋上再気化設備を受注
…独Evonic、サウジでSAPプラント
…Gazprom、Salavatの石化プラントを拡張
…GS建設、クウェートで連続受注
…現代建設、ベトナムから発電所受注
…インドネシアでパーム油廃棄物からエタノール
…Jacobs、Ras Tanura計画でGES+を受注
…韓国電力、インド送電線近代化を受注
…韓国電力等、カザフスタンで石炭火力受注
…三星エンジ、ウズベキスタンのガス化学プラント受注
…Technip、Laffan第2期拡張でFEED
…ベトナム、10年間で488億ドルを電力セクターに投資
…米国でバイオリファイナリー計画
…KBR、豪州でCSGパイプライン受注
…Sohar製油所のアスファルト分離設備でUOP採用
…GE日立、Exxelonとサービス契約
…イクシズLNG、オフショアPMサービスを発注
…Eagle Ford原油パイプライン増設計画
…イラク石油省、第4次ビッドラウンドで41社をPQ
…三星建設、Habshanの窒素注入プラント商談で優先権
…UpperZakumで技術入札
…Qurayyah2IPPでAcwaと交渉
…印HPCL、新規製油所建設へ

■フォーラム

■海外・国内主要プロジェクトの動向

■エンジニアリングダイジェスト

■最近のプロジェクト受注・契約状況

■Editorial 詳細へ

EnB 16号 表紙

 

EYE
原発/脱原発のリスクマネジメント

原子力発電に対する日本国民の信頼は地に落ちている。絶対起きないといわれていたシビアアクシデントが発生し、放射船量を気にしながら生活を続けている国民にとって、東京電力の自己保身が見え隠れする対応や、規制当局であるはずの原子力安全・保安院までがグルとなった「やらせ」問題を見ていれば、それも仕方のない話だ。そもそも想定が低すぎたことや、事故を目の前にして、右往左往するばかりの政府、東京電力、資源エネルギー庁を見ていれば、この国が原発事故を想定した体制の構築を怠っていたことは明白だ。
 こうしたことを見せ付けられていれば、脱原発へ向かおうという国民の感情は痛いほど理解できる。原発のリスクがこれまでの予想よりはるかに大きいものであったということが明らかとなったのは紛れもない事実なのだ。
 その一方、これまで原子力を推進してきた側の言論には全く力がない。何しろ「安全だ」と言い張ってきたのが、粉々に砕け散ってしまったのだから、説得力があるわけが無い。今さら「安全だ」と言ってみても、実際に、その言葉が意味するものを、納得できる形で提示できていないのだ。
 実際、日本の原子力政策は、あまりに原子力に依存しすぎて来た。今後見直しとなるが、これまでのエネルギー基本計画では、将来的に電力の50%を原子力に依存する計画だった。これはあまりに非現実的だ。
 とはいえ、脱原発にもそれなりにリスクはある。顕著なのは電力料金の引き上げという経済リスク、化石資源への依存による資源枯渇リスク、およびそれに伴うCO2排出量の増加という環境上のリスクだ。
 勿論、原子力にも放射線汚染という環境リスクや、事故補償に伴う経済リスク、大規模集中型電源の喪失よるセキュリティ上のリスクなどがある。
 今回明らかになった原発のリスクとそのマネジメント策、脱原発のリスクとそのマネジメント策。それらをつき合わせ、回避しなければならないもの、マネジメントが可能なものを振り分けながら、最適な解を求めていくことが、今後開始される、エネルギー選択の見直しの上で重要な姿勢となるだろう。

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EDITORAL
編集後記

○…やっと内閣が交替した。思いつきで振り回されることから解放されたかと思ったら、増税内閣の出現だ。財務省の内閣ジャックと言われているが、他官庁も政治空白をいいことに勝手なことをやっており、電気料金値上げなど国民負担は増えるばかり。
 復興の財源を当面復興債とし、時期を見て、復興税を掛けるという。国債に頼るのは将来世代に負担を残すことは良くないと新財務相は述べる。この議論は福祉財源についてそのとおりだ。福祉は現役世代の利益であり、現役世代の処理すべきもの。税と福祉の一体改革、消費税増税は止むを得ない。しかし、未曾有の災害の復興は現役世代だけの利益ではない。将来世代に負担を求めることは過去の通例ではないか。
 公的債務問題は全世界の諸国が直面する問題だ。フランスの著名な経済学者ジャックアタリの「国家債務危機」は政府の諮問に根本問題から答えた書物だ。前首相も買ったそうだが、主権債務は将来ののためになる支出に限定する、本当の解決策は経済成長、競争力ある投資が必要で、そのための公的インフラは欠かせない。債務解消の前提として健全な債務の増加と述べている。
 現下の経済情勢で増税は不可だ。震災復興は間違いなく実需が生まれる。官(復興債)だけでなく、民(PFI・PPP)の資金も投じて速やかな景気回復につなげるべきだ。

○…あることを調べていたら、今回の東日本大震災で、世界最大の被害分野があったということを知った。過去に例のない最大の被害規模であったのは液状化現象だそうだ。この液状化現象が最初に注目されたのも日本のようだ。「1964年の新潟地震の際、信濃川河畔や新潟空港などでこの現象が発生したことから国内でも知られるところとなる」とある。同年のアラスカ地震でも液状化被害が発生、土質力学で液状化研究が本格化したという。
 3月11日の東日本大震災では浦安市、千葉市美浜区、潮来市などで液状化が発生した。さらに東京・お台場など東京湾埋立地の一部でもこの現象がおきた。なかでも浦安市の被害状況はテレビで生々しく報道された。実は、調べていたのは千葉県の面積である。そしたら、「浦安市の埋め立てが進み、県の面積は一時、愛知県を上回った。しかし、中部国際空港の建設によって再び愛知県が上位」になったと、シーソーゲームのようだ。国家間では領土問題は抜き差しならぬが、国内で埋立てを推進するにはそれほど問題にはならない。しかし、この液状化対策は必須であろう。阪神淡路、新潟中越、東日本の経験をここでも活かすべきだ。なによりも、都心部が河口に位置し、埋め立て地が多い東京は要注意だ。

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