○…ここ数日雨もようが続いていた。まさに立秋の前の七十二候にいう「大雨時行」、夏の暑さのピークの時期だ。8月7日の立秋、「涼風至」、暑中見舞いから残暑見舞いに変える時期だ。四季二十四節気七十二候というのは日本・東アジアの季節感を見事に象徴している。
話題とするのは涼風至の次の8月中旬「寒蝉鳴」この寒蝉ヒグラシとされ、ヒグラシは秋の季語とされる。しかしヒグラシの鳴き始めは7月。元祖の中国の七十二候でも「寒蝉鳴」も若干の前後はあれ8月に置かれている。中国の七十二候の「蜩始鳴」(蜩はヒグラシ)があるが、夏至の候だ。寒蝉鳴に適しているのは中国でも日本でもツクツクホウシだ。最近はそう解説する書籍も多くなった。夕暮れ、遠くの山から聞こえるカナカナをものの哀れとうけとり、秋にふさわしい蝉と誤解したのだろう。
夕暮れ、単独が多いことから、子供の頃ヒグラシは捕まえるどころか姿をみることさえなかった。ところがあるとき容易に多数を捕まえることができた。息子の蝉採集を手伝っていた20数年前の夏、箱根芦ノ湖畔の杉林、群生し昼間から鳴き競っていた。杉はヒグラシの生息樹。ヒグラシは鳴く時間が比較的決まっているが、群生すると時間に関わりなく鳴くのだそうだ。カナカナという鳴声に情緒など感じられなかった。
○…わが町の納涼祭開催の準備から実行までのボランティアとも言うべき活動に携わって十数年になる。その納涼祭がここ数年、大きな変化をみせている。わが町だけの現象ではなく、どうも近隣の町も同じような変遷を辿っているのではあるまいか?
まず、第一が祭りの実行に欠かせない寄付金収入の大幅な減少だ。近隣店舗・企業に寄付金の要請を行ってきたが、年を経るごとに減少し続けている。小さな商店などは売り上げの減少に四苦八苦している。逆に増えたのが大型店舗であり、外食店舗を中心としたチェーン店、コンビニ店などだ。これらの店は「本部の了解が得られないと出せない」と断るところが多い。近所の酒屋にお願いに行くと「普段は安売り店舗に行き、こういうときだけ来る」と嫌味を言われる。無理もない、本音だろう。
もう一つの変化が、盆踊りへの参加者の高齢化である。子どもの参加は目に見えて少なくなってきた。それでも参加者総数はそれほど減少していないので、年令層が高くなっているのであろう。例年のごとく今年も納涼祭をお盆期間中に実施する。それでも帰省しないのか、時期をずらしているのか、参加者の増加が見込まれる。
予算の減少でヤグラなどは小さくなり、規模は年々貧弱になってきてはいるが、周辺住民の期待は大きい。 |