○…原子力発電のコストは、発電ソース別でもっとも安いことになっている。実際電力会社ベースでは事実で、最新の例でいえば、原発再開の遅れで赤字決算を予想している。しかし、国民経済的には原子力発電が負うべきコストは、電力会社負担分以外にも相当にあり、またいわゆるバックエンドコストにおりこまれていない、今回の大事故の費用などなどを考慮すれば、決して安いとはいえないといわれていた。
政府も試算を外部に依頼したようだが、会計評論家細野氏が有価証券報告書と政府の予算を合算したことでコストの優位性がないことを示している(ZAITEN8月号)。東電の22年3月期でキロワット時水力7.86円・火力9.08円・原子力6.09円だが、これは民間企業の負担分にすぎない。これに政府一般会計・エネルギー特別会計の原子力関連予算を加算すると、原子力のコストは8.33円となる。火力よりこの時点では若干安いが、原油高騰以前の20年3月期では火力発電より高くなる。このベースでも原子力のコストは火力と大して変わらない。今後必要な安全強化コストを考えれば、原子力にコスト優位性は考えらないと思われる。
反原発・原発撤退の動きは避けられそうにない。日本の社会経済にビルトインされた原発から撤退するには、冷静・緻密・総合的かつ長期的戦略が不可欠である。
○…7月上旬に早くも梅雨が明けた。明けたと同時に暑い夏がやってきた。今年も昨年と同じく熱中症が多発する酷暑が予想されている。今年はさらに節電が暑さを一層促進させることになる。こうなると、暑い夏をいかに過ごすか考えざるを得ない。
まず、こう考えた。家にいるときは、窓を開け放して風とおしを良くする。さらにはくだらない番組が多いテレビなどは絶対につけない。身体を動かすと汗が吹き出るので、じっとしているのがいい。たまには、水風呂につかる。風呂から上がったら、団扇をあおぎつつ読書するのもいいかも知れない。
この暑い夏に読んでみようと思う本がいくつかある。「3.11」あの日の被災地に行ってもいない私は、その惨状を想像するしかないが、被災地の惨状を経験、目の当たりにしたルポを読んでみようと思う。編集された映像では窺い知ることができないものがあるのではなかろうかと想像する。きっとその現実に背筋が冷たくなるに違いない。
厄介なのは原発だ。これまで深く考えもせずに電気を使ってきた。まして被爆する可能性などは全く考慮してこなかった。たとえ自分が内部被爆したとしても、先行きはそう永くないのだから…とは思いつつ、では福島の子供達はどうなるのかと思う。暗澹たる思いだ。 |