EnB10号 目次
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■EYE詳細へ
原発ビジネスは消えるか?

■GLOBAL Report
2010年のドイツ・プラント受注上向く
構造変化で不況前水準の早期回復は望み薄

■GLOBAL Business
・中国の海外プロジェクト第1四半期受注、17%増
・AMEC、米国のMACTECを買収

■Report
再び海外へ目を向けるプラント業界
2011年3月期の決算状況

エネルギー、インフラ市場が成長領域に

■TOPICS
水島のHS-FCC実証プラントが完成

東芝、「脱原発ビジネス」を強化?

2010年の世界の原発は300万kW増加

■NEWS Flash
・Toyo-India、SBRプラント受注
・月島機械、中国から下水汚泥乾燥・焼却炉受注
・日立プラントと前川製作所、ブラジルで圧縮機協業
・東芝、韓国の超臨界圧火力向け蒸気タービン発電機受注
…横河電機、インドネシアで受注
…川重、アブダビ向けシールド掘進機受注
…Hitz、米国に環境事業会社
…三菱重工、J形GTで1600℃を達成
…日立製作所、中国で発電設備の生産体制強化

■Projects News
…Shell、プレリュードFLNGを推進
…米インディアナで、CBM発電建設へ
…ExxonMobile、CO2-EORをスタート
…FW、シラチャ製油所改造工事受注
…三星重工、Statoilからトップサイド受注
…GE、ロシア向けGT受注
…オハイオ州でウィンドファーム計画
…Iberdrola、STECと風力のPPAを拡張
…アラスカで水力発電計画
…ウィスコンシンでバイオマスPJ
…テキサスの高速鉄道が前進
…住友金属鉱山、Sierra Gorda 銅鉱山開発に参加
…SABIC-Sinopec、PCでJV
…Petronas、石油石化コンプレックスを計画
…Sabic、旭化成等、ANでJV
…Total、ベルギーで次世代EPS生産へ
…伊M&G、米でPET・PTAプラントを建設
…Gazprom子会社、ナフサクラッカーを計画
…Badger Licensing、エジプトのEB-SMを受注
…Technip、中国でメチオニン設備受注
…Uhde、PETプラント受注
…米FERC、風力送電ラインのインセンティブを承認
…GAMESA、インドで風車受注
…大宇国際、パキスタンから変電所受注
…POSCO、ブラジルで一貫製鉄所
…Jacobs、ラスタヌーラ製油所向上計画を受注
…Pertronas、JohorにLNGターミナル計画

■海外・国内主要プロジェクトの動向

■データ・ファイル

■エンジニアリングダイジェスト

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EnB 10号 表紙

 

EYE
原発ビジネスは消えるか?

 福島第一原発で世界の原子力プラント市場は縮小傾向にある。地震および津波による原子力の経済的潜在リスクの大きさが証明されてしまったことで、原子力発電が民間のビジネススキームの中では成立し得ない、という認識が共有化されつつある。世界最大の電力会社が一回のシビアアクシデントで吹っ飛びそうになっているのだから、電力会社だけで原子力を導入することはもはや出来ないだろう。そうでなくとも、災害に対する脆弱性が露見したのであるから、新設・既設を問わず、原子炉の安全性の見直しの必要性があることは、全世界の共通認識となっている。当初、東京電力は福島第一原発の事故を津波のみが原因であるかのように述べていたが、最近では津波以前の地震動で機器が破壊されていた形跡が見つかってきている。耐震基準の見直し、地震動での建屋、配管、補機類のダメージの検証など、津波以外でもやる事は多く積み残されている。ただ、放射線量が落ち着くまで本格的な調査は不可能であるので、これにも相当の時間が掛かるだろう。新規原子力発電計画は数年、もしかしたら10年程度、遅れることになるかも知れない。従って、現状では原子力ビジネスから、脱原子力ビジネスへとシフトしていくことが企業にとって重要な課題だ。
 しかしその一方で、中国やインドのように急激に成長する新興国では、電力供給力を急ピッチで積み上げていかなくてはならず、原子力発電に対する期待は失われてはいない。日本が原子力発電を輸出するチャンスはまだまだ、ありそうだ。問題は国内の体制。機器製造はどうにかなっても、原子力のオペレーションに関するサポートでは電力会社が必要だが、東京電力にそれを請け負う余力がない。他の電力会社も批判を恐れて、拒否する可能性もある。そうなれば実質、日本が輸出する機会は失われるだろう。
 こう見てくると原子力ビジネスは消えそうに見える。しかし良く考えてみれば、破壊の要因分析、脆弱性への対応策の提案などは原子力プラント関係者でなければ出来ない。脱原発でエンジニアリングのビジネス領域を広げていくチャンスだが、同時に廃炉や改良を含めた原発ビジネスもまだ、需要はありそうだ。

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EDITORAL
編集後記

○…1979年のスリーマイル島・1986年のチェルノブイリ以来原子力は長い冬の時代をすごし、ようやくここ数年原子力ルネッサンスを迎えた。米国はじめとする先進国案件が徐々に進行しているのに対し、中国をはじめとして新興国案件が急進している。
 福島事故は未曾有の地震・津波とはいえ、適切な事業運営・リスク対策・事故処理対策がなされていなかった人災と内外から見られている。しかし、日本をはじめとする先進国の輿論は反原発の動きを強めており、先進国案件がスローダウンし、特に日本では今後何十年は少なくとも原発冬の時代は避けられまい。
 菅内閣は原子力重視のエネルギー政策を見直し、再生可能・自然エネルギー振興を、先ごろのG8でも主張している。自然エネルギーは欧米が近年大いに進めてきたが、コスト的に自立できず主エネルギーとはなり得ない。原子力にかわるエネルギー源は当然天然ガス・石油・石炭しかない。
 少なくと東電管内で、大型火力新増設の余地はほとんどない。一方、鉄鋼・化学などの重化学企業はいまでも自家発余力があるという。休止中の工場用地も少なくない。電力自由化を進め、これら企業の電力事業参入は電力増強の有望な手段だ。その例として阪神大震災復興プロジェクトであった神戸製鋼所の石炭火力発電所がある。

○…4月末の連休初日に慶事があり、北海道に向かった。東日本大震災の影響が冷めやらぬとはいえ、ゴールデンウイークである。ある程度の混雑を予想して恐る恐る家を出た。ところがである。拍子抜けするほどの余裕であった。
 折角の北海道であるからと称して観光地、親戚の家などで4泊して各地を巡った。大げさに言えば、どこも人影はない。通常のゴールデンウイークであればこんなことはないはずである。やはり、大震災が影を落とし自粛ムードが浸透しているのだろうか。これから観光シーズンを迎える北海道の観光産業はどうなってしまうのか、他人事ながら心配してしまった。もし、この傾向が全国に及んでいるのだとしたら、寂しいものがある。
 北海道から帰って、残り少ないゴールデンウイークをのんびり過ごそうと考えていた。ところが今度は、弔事である。それも2つの訃報で静岡と、神奈川に行き参列してきた。このため、今年の連休9日間は殆ど家の蒲団にもぐれなかった。これまで連休中は一切旅行しないと決めていた私としては、今年は異例の事態である。
 しかし考えてみれば、慶事と弔事は人生につきものである。連休中にしてくれたのは、配慮だったのかも知れない。

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