○…1979年のスリーマイル島・1986年のチェルノブイリ以来原子力は長い冬の時代をすごし、ようやくここ数年原子力ルネッサンスを迎えた。米国はじめとする先進国案件が徐々に進行しているのに対し、中国をはじめとして新興国案件が急進している。
福島事故は未曾有の地震・津波とはいえ、適切な事業運営・リスク対策・事故処理対策がなされていなかった人災と内外から見られている。しかし、日本をはじめとする先進国の輿論は反原発の動きを強めており、先進国案件がスローダウンし、特に日本では今後何十年は少なくとも原発冬の時代は避けられまい。
菅内閣は原子力重視のエネルギー政策を見直し、再生可能・自然エネルギー振興を、先ごろのG8でも主張している。自然エネルギーは欧米が近年大いに進めてきたが、コスト的に自立できず主エネルギーとはなり得ない。原子力にかわるエネルギー源は当然天然ガス・石油・石炭しかない。
少なくと東電管内で、大型火力新増設の余地はほとんどない。一方、鉄鋼・化学などの重化学企業はいまでも自家発余力があるという。休止中の工場用地も少なくない。電力自由化を進め、これら企業の電力事業参入は電力増強の有望な手段だ。その例として阪神大震災復興プロジェクトであった神戸製鋼所の石炭火力発電所がある。
○…4月末の連休初日に慶事があり、北海道に向かった。東日本大震災の影響が冷めやらぬとはいえ、ゴールデンウイークである。ある程度の混雑を予想して恐る恐る家を出た。ところがである。拍子抜けするほどの余裕であった。
折角の北海道であるからと称して観光地、親戚の家などで4泊して各地を巡った。大げさに言えば、どこも人影はない。通常のゴールデンウイークであればこんなことはないはずである。やはり、大震災が影を落とし自粛ムードが浸透しているのだろうか。これから観光シーズンを迎える北海道の観光産業はどうなってしまうのか、他人事ながら心配してしまった。もし、この傾向が全国に及んでいるのだとしたら、寂しいものがある。
北海道から帰って、残り少ないゴールデンウイークをのんびり過ごそうと考えていた。ところが今度は、弔事である。それも2つの訃報で静岡と、神奈川に行き参列してきた。このため、今年の連休9日間は殆ど家の蒲団にもぐれなかった。これまで連休中は一切旅行しないと決めていた私としては、今年は異例の事態である。
しかし考えてみれば、慶事と弔事は人生につきものである。連休中にしてくれたのは、配慮だったのかも知れない。 |