EnB09号 目次
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多様化がセキュリティのカギ

■Report
IHI、LNGプラントに参入

着々と進む北米のエネルギー開発

■GLOBAL Business
・米国エンジニアリング企業、不況回復に慎重な姿勢
・韓美グローバル、米国Otakを買収
…GE、Wood GroupのWell Support事業買収完了

■TOPICS
JFEエンジと横浜市が提携

ENAA、藻類利用CO2固定でFS

荏原、新中計「E-Plan2013」を策定

■NEWS Flash
・三井物産、モロッコの石炭火力発電所受注
・月島機械、韓国向けBPAプラントを受注
・丸紅、インドネシアで発電所受注
・伊藤忠、英国で廃棄物処理・発電PFI
・住友商事、イラクで移動変電設備受注
・東芝、B%&Wと火力発電でMOU
・日揮、新社長に川名氏を選任
…横河電機、韓国から火力向け制御システム受注
…清水建設、インドネシアでCDMを提案
…新興プランテック、タイに子会社
…神鋼環境、インド合弁が事業スタート
…重工・日立製作、福島第一原発を共同支援

■Projects News
…Linde、重慶市に水素プラント
…SNC Lavalin、アラムコからGES+サービス受注
…日揮、Sonatorachからイナメナスの最適化計画を受注
…Shipchemとハンファ化学が協業
…Sabicと旭化成、AN等でJV
…Aramcono-Dow PJ、6月にFIDへ
…Shaw、アブダビでタンクのFEED受注
…カナダ、CCSプロジェクトを認可
…SAIC、スマートグリッド構築を支援
…B&W、廃棄物発電設備を受注
…GE、ギリシャ向けにGTCCシステムを出荷
…ABB、中国から直流送電ユニット受注
…B&V、インドのGTCCプラント受注
…米国でNGLパイプライン計画
…タイPTT、LPGターミナルを拡張へ
…三星エンジとSaipem、Cupuブロックを受注
…豪Curtis Island LNG、中国へ供給
…独Ferrostaal、西パプアでDMEプラント
…米Cape Wind、連邦政府の建設認可取得
…Dow Chemicals、Freeportで新エチレン計画
…Aker、オハイオでパイプミル受注
…ハンファ、サウジ・マラフィクの淡水化プラント受注
…韓国勢、シンガポールで交通関連受注
…三星エンジ、サウジでアルミプラント受注
…STX重工、イラクにDE発電設備供給

■フォーラム

■海外・国内主要プロジェクトの動向

■最近のプロジェクト受注・契約状況

■データ・ファイル
・2011年3月の重電機器受注実績

■エンジニアリングダイジェスト

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EnB 09号 表紙

 

EYE
多様化がセキュリティのカギ

政府がエネルギー基本計画の見直しに言及している。そもそも、エネルギー供給の50%を原子力に依存するという目標は、計画を策定した側ですら、その実現を信じてはいなかっただろうが、それよりも原子力という一つの種類の電源に、半分を依存するという、極めてアンバランスな計画を立てたことに、問題がある。昔から政府も電力会社も「ベストミックス」といいながら、実際にはベストミックスからは遠ざかろうとしていたようにすら思える。
 エネルギー供給を一つのものに依存することは、エネルギーセキュリティの面からは危険が大きい、ということは誰でも判る。オイルショックがその良い実例だった。あれ以後、日本は石油への依存度を順次減らしてきた。今回、原子力の潜在的リスクの大きさが明らかになった以上、原子力依存度を増やしていくことは賢明ではないので、エネルギー基本計画の見直しは当然、行われなければならない。
 見直しの方向性として「再生可能エネルギーを基幹エネルギーの一つと位置づけていく」という。現状、再生可能エネルギーのシェアはわずか1%程度に過ぎない。これは、再生可能エネルギー技術の進展に比べ、とても低い数字だ。ある意味、原子力への傾注が再生可能エネルギーの普及を阻害してきた結果ともいえる。事実、日本の太陽光電池生産量はかつて世界一であったが、現状では中国やドイツに大きく引き離されている。これも国内市場の拡大を積極的に進めてこなかったことの現われともいえる。
 各種の再生可能エネルギーなどの分散型電源の一層の拡充、先進的省エネ技術の積極的な導入、その一方でバックアップあるいはベース用の大規模電源が、有機的に連係して、電力供給全体を構成するような、より柔軟で多様な供給形態への移行こそが、電力分野のセキュリティを結果的に高めていく事に繋がる。このためには個々の点でのインフラシステムを考えるだけではなく、より広範囲に面的に展開する多様なシステムの統合と最適化が求められるようになるはずだ。そして、こうした社会を形成していくには、プログラム・マネジメント力が重要なポイントとなるだろう。

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EDITORAL
編集後記

○…浜岡原発が首相の要請で停止することとなった。予測されている東海地震の震源域に位置することから、国民の安全を考えて停止を要請したと菅首相は言う。安全のためのキイワードから首相の決断を評価する声が少なくない。首相のこの決断は本当に国民の安全につながるものだろうか。
 中電の浜岡原発は老朽化した1・2号機廃炉決定、運転を終えており、3号機点検停止中。稼動中の4・5号機(362万KW)が近日中に停止される。間違えてはならないのはこれは廃炉ではなく、浜岡原発の安全対策が強化され、保安院の認可が得られれば、運転が再開されるものだ。
 原子炉の内部や貯蔵プールに核燃料がある限り、運転中の原子炉と危険性はさほど変わりないということは今回の福島1原発で学んだはずだ。浜岡原発は廃炉ではないので、移動困難な核燃料が運びだされれることはない。浜岡原発の危険性回避に運転停止は対応策ではない。早急で緊急な津波対策・電源喪失時の対策を急がせることこそが国民の安全を守る正しい対応ではないのか。
 政府は他の原発は浜岡原発ほど危険でないとして、停止を要請しないという。しかし他の原発には活断層に位置するものが少なくなく、予測困難な直下型地震の危険性が指摘されている。浜岡同様、早急な地震・津波対策が必要なのは変わりないはずだ。

○…東日本大震災とそれに伴う福島第一原子力発電所の問題が2ヵ月余りを経ても新聞を埋め尽くしている。もし、この問題がなければ必ずや大きな関心を引き起こしていたはずの話題が陰に隠れてしまっている。国家の根源にかかわる問題であるはずだ。
 その一つが連休中の朝日新聞によるスクープ記事と5月5日付の社説の衝撃である。朝日のスクープであるだけに他の新聞社の扱いはおざなりで、この事実を知らない国民は多いのではあるまいか。
 朝日が内部告発サイト「ウィキリークス」から提供を受けた7千点近い米外交公電は、主に2006年から10年初頭までの日米関係の裏面に光を当てている。自公政権時代には米海兵隊のグアム移転費用の水増しを認めていた。民主党の鳩山由紀夫政権時代には、米軍普天間飛行場移設先の「最低でも県外」との公約について、09年末から10年初めにかけ、代替案がうまくいかないなら現行案通り進めると米側にひそかに伝えていた。鳩山首相が方針撤回を明言する半年も前である。
 そして民主党政権の発足直後、外務・防衛官僚は、米側に「あまり早期に柔軟さを見せるべきではない」などと助言していた。あくまで対米追従外交を進めたい官僚のあからさまな対応にあいた口がふさがらない。

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