○…浜岡原発が首相の要請で停止することとなった。予測されている東海地震の震源域に位置することから、国民の安全を考えて停止を要請したと菅首相は言う。安全のためのキイワードから首相の決断を評価する声が少なくない。首相のこの決断は本当に国民の安全につながるものだろうか。
中電の浜岡原発は老朽化した1・2号機廃炉決定、運転を終えており、3号機点検停止中。稼動中の4・5号機(362万KW)が近日中に停止される。間違えてはならないのはこれは廃炉ではなく、浜岡原発の安全対策が強化され、保安院の認可が得られれば、運転が再開されるものだ。
原子炉の内部や貯蔵プールに核燃料がある限り、運転中の原子炉と危険性はさほど変わりないということは今回の福島1原発で学んだはずだ。浜岡原発は廃炉ではないので、移動困難な核燃料が運びだされれることはない。浜岡原発の危険性回避に運転停止は対応策ではない。早急で緊急な津波対策・電源喪失時の対策を急がせることこそが国民の安全を守る正しい対応ではないのか。
政府は他の原発は浜岡原発ほど危険でないとして、停止を要請しないという。しかし他の原発には活断層に位置するものが少なくなく、予測困難な直下型地震の危険性が指摘されている。浜岡同様、早急な地震・津波対策が必要なのは変わりないはずだ。
○…東日本大震災とそれに伴う福島第一原子力発電所の問題が2ヵ月余りを経ても新聞を埋め尽くしている。もし、この問題がなければ必ずや大きな関心を引き起こしていたはずの話題が陰に隠れてしまっている。国家の根源にかかわる問題であるはずだ。
その一つが連休中の朝日新聞によるスクープ記事と5月5日付の社説の衝撃である。朝日のスクープであるだけに他の新聞社の扱いはおざなりで、この事実を知らない国民は多いのではあるまいか。
朝日が内部告発サイト「ウィキリークス」から提供を受けた7千点近い米外交公電は、主に2006年から10年初頭までの日米関係の裏面に光を当てている。自公政権時代には米海兵隊のグアム移転費用の水増しを認めていた。民主党の鳩山由紀夫政権時代には、米軍普天間飛行場移設先の「最低でも県外」との公約について、09年末から10年初めにかけ、代替案がうまくいかないなら現行案通り進めると米側にひそかに伝えていた。鳩山首相が方針撤回を明言する半年も前である。
そして民主党政権の発足直後、外務・防衛官僚は、米側に「あまり早期に柔軟さを見せるべきではない」などと助言していた。あくまで対米追従外交を進めたい官僚のあからさまな対応にあいた口がふさがらない。 |