○…日経の社説が政府・電力業界から独立した事故調査委員会の設置を主張している。事故の経過を公表するのが世界に対する日本の責務という。いや、一義的に日本国民に対する責務だ。ただし、メンバーには米国など海外専門家の参加が不可欠だ。日本人だけでは結果は期待できない。
米国の経済紙Wall Streat Journalが、福島原発の初動段階でのVent遅れ問題を分析している(4月23日Reactor Team Let Pressure Soar)。米国と比較して特殊な、東電ないし日本の原子力の方式がVent遅れの要因としている。より大事故を防ぐための手段であるVentを、日本の事業者は最終手段と位置づけている。
こうした原子炉は設計圧力の2倍に耐えられるよう作られていることから、日本の事業者が放射能ガスの放出をこの基準で行っていることを発見する。設計したGEの預かり知らぬことで、同タイプの韓国・台湾ではこんなことはないという。(設計者・製作者が安全のためとった余裕2倍が何の意味もなくなる犯罪的運転だ)。
Ventの決定プロセスも問題だ。米国の場合危機的状況となったとき、現場の判断が優先されるのに対し、日本の場合、社長の判断、さらに規制当局が決定する仕組みとなっている。これが今回の事故の場合のVent遅れ、大事故につながったことになる。
○…大震災の復興にあわせ東北地方に首都機能を移転することは夢物語だろうか。首都機能移転の海外例では、ニューヨーク→フィラデルフィア→ワシントンD.C. 、リオデジャネイロ→ブラジリアが有名だろう。
遷都と違って、国会、中央省庁など主要官公庁などを対象とする首都機能の移転は、財源さえあれば実現できないわけではない。事実、1990年には衆参両院で「国会等の移転に関する決議」を議決し、「首都機能移転を検討する」という基本方針を確認、92年には法律も制定され、99年に「国会等移転審議会」が候補地として3地域を選定している。候補地は「栃木・福島地域」、「岐阜・愛知地域」と「三重・畿央地域」。3地域の誘致合戦は熱を帯びたが、その後、何故か移転論議は下火だ。
今回の東日本大震災をうけて、首都の代替機能を完備した「副首都」を設置すべきとの議論が勢いを増し、具体的な候補地として大阪・伊丹空港跡地を上げた。
だが、副首都は生ぬるい。移転地域は東北にすべきでは。多分、反対論として「栃木・福島」は地震の恐れが…とくるだろう。けれど、3候補地とも地震の恐れは同じだ。そして、05年に政府中央防災会議に提出された「首都直下地震対策について」をみて欲しい。世界で一番恐ろしいのは首都東京だ。やはり今、首都は東北に移転すべきだ。 |