EnB08号 目次
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■EYE詳細へ
やっぱり電力自由化は必要だ

■Report
原発・震災対応に動くプラント業界

活発化する世界のLNG計画

■GLOBAL Report
韓国プラント・建設輸出、前年半減も順調に推移

■TOPICS
進展する新エネルギー技術開発

見直し必至の電力供給計画

■NEWS Flash
・JGCインドネシア、潤滑油工場受注
・三菱重工相次ぎGT受注
・伊藤忠-ササクラ、シュアイバ海淡リハビリを受注
・韓国向け発電設備続く
・神鋼環境、西秋川衛生組合DBO事業を受注
・Hitz、リサイクルセンター整備運営事業受注
・三造環境エンジ、汚泥再生処理施設を受注
…NEC、大型海底ケーブルプロジェクトを受注
…神戸製鋼、米の非汎用圧縮機の能力増強
…富士フォイトハイドロ、荏原の水車事業を譲り受け
…伊藤忠商事、世界最大の風力発電事業に参加

■Projects News
…ABB、中国で直流送電機器受注
…Alstom、ロシア向けにGT発電設備受注
…Areva Solar、豪州で太陽熱発電PJ受注
…豪CSG-LNG計画、コスト上昇に直面
…BASF、PetronasのJVを拡大
…CNOOC、恵州でクラッカー建設
…DOW、中国でPCEのJV合意
…EJPC、世界最大のメタノールコンプレックス建設へ
…DOE、カリフォルニアの太陽熱PJを融資保証
…Google、太陽エネルギーに1億6,800万ドル投資
…イラン、ビチューメン生産能力を増強
…John Wood、豪でサブシーを受注
…韓国企業、イラクで25の発電所受注
…チリで大規模石炭火力計画
…伊、世界初の商業規模セルロースエタノール設備
…三菱重工、米原発の発電機更新を受注
…Parsons-AECOM、UAE鉄道PJでPM業務
…Sempra、150MW太陽光発電所を計画
…SABIC、HDPEプラントを検討中
…ナイジェリアでガス開発と肥料計画
…Sempra、ハワイで風力発電
…Petrofac、イラクMajnoon生産設備を受注
…Shell、Wheatstone LNGプロジェクトに参加
…Gladstone、2016年末に生産開始へ
…Sinopec、Atyrau製油所のアロマユニットを着工
…Rabigh II、今年末にFIDへ
…Total、天津で潤滑油プラント
…ベトナムでLNG輸入ターミナル計画
…SWCC、Yanbu3の入札を延期

■海外・国内主要プロジェクトの動向

■データ・ファイル

■エンジニアリングダイジェスト

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EnB 08号 表紙

 

EYE
やっぱり電力自由化は必要だ

 福島原発事故は、世界最大の電力会社である東京電力でさえ、原発事故を単独で補償することが出来ない、という事実を示した。また、いわゆる「計画停電」では電力会社の最大の責務である供給責任を果たせなくなったことを示した。震災の影響とは言え、かつての電力自由化議論に抵抗した際の決め文句「安定供給責任」を自ら放棄してしまったのだ。
 このため、産業界は大きな影響を受けた。これに懲りた産業界は今、自家発電能力の増強に躍起であり、自家発電設備メーカーへの問い合わせが非常に多いという。問い合わせの中味は、非常用発電設備の常用化に関するものから、新設の相談まである。非常用の常用化であれば、多少の改造が必要なだけで、この夏には十分間に合うが、新設となると、今からでは夏には間に合いそうにはない。メーカーの生産体制は近年、縮小傾向だったからだ。
 それも、自由化への電力会社の抵抗が背景にある。大口需要家への自由化が決まった後、新規電気事業者の参入拡大を阻むべく、電力各社は大口需要家への電気料金を引き下げた。その結果、自家発電のコストが高くなり、企業は必要最低限の非常用発電のみを設置するようになったのである。国内の自家発電設備市場は、電力会社の電気料金値下げによって、急激に縮小してしまい、メーカー側も生産体制を縮小せざるを得なかった。さらに、石油と連動するガス価格の上昇が追い討ちをかけ、CO2削減に繋がる技術として期待されていたガスエンジンの販売も殆ど停止してしまっていた。本来、企業が自身の企業活動を守るべき自家発電能力が十分に設備形成されてこなかった。しかも、自由化市場では電気料金は低減されたが、一般家庭は自由化されなかったため、寧ろ燃料調整制度で自動的に電気料金は引き上げられてきた。
 今後、ソーラーセルは国際間での価格競争の時代に入っていくものと思われる。電力供給を電力会社に全面的に依存しなければならない時代は終わりつつある。再生可能エネルギーへのシフトを促し、電力供給のバックアップを保有しておくためにも、やはり電力事業の自由化は必要だ。

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EDITORAL
編集後記

○…日経の社説が政府・電力業界から独立した事故調査委員会の設置を主張している。事故の経過を公表するのが世界に対する日本の責務という。いや、一義的に日本国民に対する責務だ。ただし、メンバーには米国など海外専門家の参加が不可欠だ。日本人だけでは結果は期待できない。
 米国の経済紙Wall Streat Journalが、福島原発の初動段階でのVent遅れ問題を分析している(4月23日Reactor Team Let Pressure Soar)。米国と比較して特殊な、東電ないし日本の原子力の方式がVent遅れの要因としている。より大事故を防ぐための手段であるVentを、日本の事業者は最終手段と位置づけている。
 こうした原子炉は設計圧力の2倍に耐えられるよう作られていることから、日本の事業者が放射能ガスの放出をこの基準で行っていることを発見する。設計したGEの預かり知らぬことで、同タイプの韓国・台湾ではこんなことはないという。(設計者・製作者が安全のためとった余裕2倍が何の意味もなくなる犯罪的運転だ)。
 Ventの決定プロセスも問題だ。米国の場合危機的状況となったとき、現場の判断が優先されるのに対し、日本の場合、社長の判断、さらに規制当局が決定する仕組みとなっている。これが今回の事故の場合のVent遅れ、大事故につながったことになる。

○…大震災の復興にあわせ東北地方に首都機能を移転することは夢物語だろうか。首都機能移転の海外例では、ニューヨーク→フィラデルフィア→ワシントンD.C. 、リオデジャネイロ→ブラジリアが有名だろう。
 遷都と違って、国会、中央省庁など主要官公庁などを対象とする首都機能の移転は、財源さえあれば実現できないわけではない。事実、1990年には衆参両院で「国会等の移転に関する決議」を議決し、「首都機能移転を検討する」という基本方針を確認、92年には法律も制定され、99年に「国会等移転審議会」が候補地として3地域を選定している。候補地は「栃木・福島地域」、「岐阜・愛知地域」と「三重・畿央地域」。3地域の誘致合戦は熱を帯びたが、その後、何故か移転論議は下火だ。
 今回の東日本大震災をうけて、首都の代替機能を完備した「副首都」を設置すべきとの議論が勢いを増し、具体的な候補地として大阪・伊丹空港跡地を上げた。
 だが、副首都は生ぬるい。移転地域は東北にすべきでは。多分、反対論として「栃木・福島」は地震の恐れが…とくるだろう。けれど、3候補地とも地震の恐れは同じだ。そして、05年に政府中央防災会議に提出された「首都直下地震対策について」をみて欲しい。世界で一番恐ろしいのは首都東京だ。やはり今、首都は東北に移転すべきだ。

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