○…本号Global Businessで報じたように、Akerがプロセスエンジニアリング事業を売却撤退した。96年企業買収により進出して苦闘のすえ、もとの石油上流企業にほぼ戻ってしまった。HalliburtonからのKBR分離もHalliburtonの石油上流専業への回帰だ。
本文で述べたGE・Wood Groupの買収した企業は旧Halliburtonからの独立企業だ。前副大統領チェイニーがHalliburton CEO時代に行ったDresser買収がアップストリーム・エンジニアリングの広範な事業分野にわたったことが分かる。石油上流・下流、機器・サービスなど事業モデルの違いを克服できず、株主の圧力もあり、石油上流企業に回帰したといえる。Akerもほぼ同様だ。この問題は欧州の他の石油上流・下流兼業企業などにも波及するかも知れない。
長年グループ事業であった大手プロセスエンジニアリング企業の売却は、結構ある。ABBのLummus売却、これはエンジニアリング事業全般からの撤退で、石油上流分野売却が先に行われた。GEA GroupのLurgi売却、傘下となった企業がグループ主事業となり、Lurgiなどプラントエンジニアリング事業を追い出した。やや古いケースだが、Raytheonが、多くのエンジニアリング企業を買収、エンジニアリング事業を構築したが失敗、Washington Groupを経て、現URSの一部となっていることなどが挙げられよう。
○…「あけましておめでとうございます」という言葉を聞くと、若い頃は何がめでたいんだ、単に一つ歳を経た、1年が過ぎただけではないか。という天邪鬼らしい感慨をもったものだ。だが、老齢に達した現在の考えは違う。年が明けたことを互いに喜び合う区切りとして新年の挨拶は大切だと思うようになってきた。まがりなりにも、無事1年を過ごせたことを喜ぶべきだろう。たとえ、足腰が痛み、身体のあちらこちらに異変が起きるようになったとしてもだ。
そして、この挨拶にもう一つの意味を込めている。明けた年が、文字通り明るい年になるようにという期待を込めている。もちろん、「そんなことは当たり前の話だ。今更何を言うか」という方も多いだろう。迂闊ながら、そう認識したのは最近のことだ。たとえ苦難に満ちた1年であったにしても、明けて心機一転したいものだという願いも込められているはずだ。
とすれば、明けた本年に大いなる期待を持ちたい。しかし、今年の先行きを考えると決して社会全体が明るくなるとは思えないのだ。個人的には政治、経済の日本の現状はとても期待を持てるような状況にないような気がしている。なぜ、こんなことになってしまったのだろうか。せめて、明るい話をかき集めて気持ちを明るくするほかない。 |