○…空港、道路、上下水道など料金収入を伴うインフラ整備にコンセッション方式の導入を、という機運が高まっている。コンセッション方式とは何か。簡単にいうと、事業運営権を民間に付与するものだ。PFI方式で言えば、独立採算型の形態だ。これら公共事業の事業権を長期にわたって民間に売却し、公共は財政的な負担を軽くすることができる。フランスの水道事業、米国の高速道路などが有名だ。けれど、これら諸国ではいろいろな課題を解決しながら長い年月を経て整備を進めてきた。特にフランスでは、数世紀に及ぶ歴史を有する。
この方式をわが国で導入する場合、形態をそのままなぞるだけでは成功は覚束ない。課題が幾つかある。まず、果たしてプレイヤーが十分に存在するかだ。事業権獲得のために巨額の資金を投入できるところがどれだか存在するか。経験の多い外国企業にも積極的に門戸を開くべきだろう。
なによりもの課題は、公共サービスの受け手である利用者の十分な理解である。例えば、事業会社が利益を出したとき、「水道料、有料道路代を値下げしろ」という意見は必ず出てくる。逆に赤字になり、事業会社が破綻したときはどうするか。利用者が負担増になるケースもあるかもしれない。これらに対する合理的な対応と、解決策を事前に検討しなければならないだろう。
○…オバマの信任投票の性格も帯びる米国の中間選挙で、オバマの与党民主党が大敗した。その結果グリーンディールと称するオバマのエネルギー・環境政策は、共和党主導の下院という大きな障害に直面する。温暖ガス排出規制問題や再生エネルギー依存政策は変更を迫られる。ただし、上院では民主党が主導権を維持でき、大統領の拒否権もあり、共和党の主張が法案化するわけでもなく、オバマ政権は妥協を重ねながら政策運営すことになると見られている。
石油ガス・石炭産業はプラスに、再生・代替エネルギー産業にはマイナスという構図だ。石炭産業は、石炭火力プラントへの排出ガス規制は1月から発効するなどの環境保護庁の攻勢に対抗する手立てを得た。原子力にはプラス。風力プロジェクトは米国全土で盛んだが、輸入が多く米国の雇用につながらないとの批判がある。補助事業全般にバイアメリカンが強まる可能性がある。GEは米国製品への回帰を計画する。
共和党は、地球温暖化炭酸ガス説を唱え温暖化ガスを規制しようとしている環境保護庁や一部気候学者への議会による持続的な調査を計画している。
欧州でも気候サミットでの欧州の炭酸ガス削減目標が過大との声が出始めた。日本も現実的で国益に沿った地球環境政策と外交が必須である。
|