○…宮崎県を襲った口蹄疫は7月4日に終息宣言がなされた。28万8643頭の牛・豚など偶蹄類家畜が殺処分され、宮崎県の試算で畜産関連の損失1400億円、関連損失950億円という。年間426億円の損失が4−5年続くという地域経済の専門家の試算もあると聞く。人間の行動も制限され、高校野球やサッカーが無観客試合となったり、大変な事態であった。人間には全く無害、ただし人間社会・自然そのものが感染経路の病気が広範に流行した段階で、殺処分が意味があったのだろうか、莫大な損失・社会的ダメージは避けられなかったのだろうか。
この件に関して、厚生労働省のハグレ技官木村盛世が無意味な殺処分であったことを雑誌Will10月号で述べている。女史は先般の豚インフルエンザの水際封じ込めの無意味さをテレビなどで明らかにしたことで著名であるが、今回の口蹄疫殺処分も同様だという。いわば人間社会・自然全体が感染経路であるものに完全な防疫は不可能だ。農林水産省による口蹄疫に関する防疫指針に則った対策だが、世界的なトレンドに比べて、時代遅れだ。国連食糧機関などは殺処分に慎重な姿勢を呼びかけている。過去において英国のように殺処分した国もあるが、カナダのように自然治癒によった国もある。今回の日本の惨状をみて、オランダは口蹄疫で殺処分を行わないという声明を発したと言う。
○…人知の及ぶところではない、ということを身をもって知らされたのが最近の世界的な異常気象ではあるまいか。今夏、日本列島を襲った猛暑は半端ではなかった。確か、気象庁は長期予報で今年の夏は冷夏になると予報していたような気がする。しかし、日本列島に長いこと高気圧が停滞し、異常気象をもたらした。原因は、太平洋赤道域の海面水温が異常に低かったことによるラニーニャであると…。
確かに、気象、地震などを解明する地球科学技術は発達している。原因の解明技術も進んでいるのだろう。けれど、予知となるとまだまだ人知のおよぶところではないようだ。熱中症は別にして、猛暑はガマンすれば耐えられる。しかし、世界的な異常気象の中でハリケーン、大雨・洪水などはガマンできる話ではない。生活に多大な影響をもたらす。
では、原因に対して、我々はどのような対策がとれるのか。人知は及ばないとあきらめてよいものだろうか。正しい説かどうか分からないが、砂漠化現象にみられるような自然の破壊の進行も一因ということも?とすると、擬似自然でもいいから自然との共生をお題目ではなく、真剣に考えてみる必要がある。地球上にはまだまだ人類が理解できていない気象現象が数多くあるようだ。
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