○…参議院選挙が終わった。民主党の大敗となった。昨夏の衆議院選挙の大躍進・政権交代からまったくの様変わり。
わが国財政状況を無視したバラマキ施策や実現不可能な沖縄基地移転などの公約を実行することが責務と勘違いした前首相の迷走を首相・幹事長交代で新しいイメージで参院選に望んだ。財政再建の必要性そのための消費税増税を打ち出す。増税の前に行革などやるべきことがあるのではないかというのが参院選に示された民意だろう。
しかし、これほどの敗北は消費税などの個々のイッシューやリーダーの問題もさることながら、1年足らずの民主党政権全般に落第点が国民から突きつけられたといってよい。財政再建はわが国の必緊のテーマであることに気がついたのは評価できるが、その戦略・手順をきちんと構築し、民意のコンセンサスが必要だ。衆参ねじれ状態のなかで、現政権が取組むことができるか疑問で、早くも解散総選挙の声さえでている。
民主党は公約を実現することが国民の要望に応えることであり、政権交代て何でもできると勘違いしていたとしか思えない。選挙民はベターな選択をしただけで、全ての公約の実現を投票した人間が望んでいるわけではない。今回の参院選もベターな選択がなされたのであり、敗者はいても勝者はいない。政党は慢心するなかれ。
○…口蹄疫騒動がどうやら一段落したようだ。しかし、油断がならないという。有蹄家畜のおそろしい伝染病であるこのウイルスは伝染力が極めて強いという。実は、今回の宮崎での騒動で、初めて「口蹄疫」という家畜の病気を知った。日本では約92年ぶりの2000年に宮崎県と北海道で感染が確認されているが、それほど広がずに終息したそうだ。だが、畜産業にとっては大打撃となる伝染病で、治療はせずに殺処分が行われる。初期の対応が蔓延を左右し、今回の宮崎での数十万頭といいう殺処分は初期対応の遅れだという。
知り合いのある専門家に、「ヒトには伝染しないのなら焼却処分にするのはもったいない。食べてしまったらどうだ」と言ったら、「不謹慎だ。実態をしらないからそういうことが言えるのだ」と怒られてしまった。
外国にはもっと酷い例がある。台湾では1997年に380万頭の豚が殺され、これにより輸出国であった台湾の豚肉産業が崩壊した。2001年の英国、政府の危機管理の遅れもあって殺傷された家畜の総数は1,100万頭、被害総額は日本円に換算して1兆4千億円の経済被害が生じたそうだ。中国では2005年に山東省と江蘇省で報告され、河北省、新疆ウイグル族自治区などに広がり、感染は現在まで断続的に続いているという。知らないということは恐ろしいことだ
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