EnB10号 目次
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韓国に広がる「危機感」

■Report
実証スタートするスマートグリッド

受注拡大を図るプラント各社

■GLOBAL Report
2009年のドイツプラント受注、3分の1減
金融危機が直撃、競争力維持に積極対処へ

■GLOBAL Business
・西オーストラリアのEPC大手Clough、Forgeと戦略提携
  …Clough、炭層ガス事業部門を設立
…AECOM、スペイン企業を買収
…Petrofac、CO2貯留事業を買収

■TOPICS
専業大手3社、今年度の重点施策

2009年度産業機械受注は大幅減

■NEWS Flash
・TEC〜日立製作、豪州で中規模電動LNGのFS
・IHI、米国初のABWR向け圧力容器を受注
・Hitz、韓国向けに流動床ガス化溶融炉受注
・三菱重工、日本原燃向けMOX工場を受注
・日立製作、カナダで環境技術開発に協力
・新日鉄エンジ、地下水硝酸性窒素浄化技術を開発
・ABB、湾岸大規模送電網第一期を完成
…TEC、キューバに尿素技術を供給
…富士電機、世界最大の地熱発電を完成
…東芝、米ユーゼックに出資
…川崎重工、30MWガスタービンを開発
…Hitz、津波対応フラップゲートを開発

■Projects News
…ヨルダン原発、三菱重工〜アレバが受注へ
…CNOOC〜TPAO、イラクMissan油田開発を獲得
…イラク、9月にガス田開発で入札
…三星エンジ、Sharガスのコーディネーターに
…Air Liquide、カタールのヘリウムプラント受注
…アゼルバイジャン、Bakuでガスコンプレックス計画
…中国NDRC、クウェート石油/Sinopecの計画を認可
…大宇建設、UAEで原油貯蔵設備
…Fluor、PG&Eの原発向けにサイトサービス
…Fluor、アブダビで海上設備受注
…FW、ADCOからPMC受注
…現代重工、バングラで発電プラント
…イラクBasraの石油輸出設備再建PJで入札
…Jacobs、インドで残油改質PJ受注
…KOC、5年間で240億ドルの投資計画
…ナイジェリア新規製油所を中国が受注
…Petrobras、ポルトガルで海上油田開発
…ポーランドでガス火力発電3基を建設へ
…比Limay発電所計画でJV構築へ
…SABIC、Celaneseとポリアセタル建設
…Saipem、PEMEXから脱硫装置など受注
…豪Gladstone LNGでFluorがEarly Works
…Shell、シンガポールでEOプラントを検討
…Shell、ロシアYamal LNG入札に参加
…カタールBarzan開発で入札
…チュニジアのIPPでPQへ
…サウジでEVAプラント入札
…シリアIPPでデベロッパーPQへ
…Gasco、Sharガスの硫黄プラントで入札

■海外・国内主要プロジェクトの動向

■データ・ファイル

■エンジニアリングダイジェスト

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EnB 10号 表紙

 

EYE
韓国に広がる「危機感」

 朝鮮日報に「海外大型受注獲得戦で黄信号」という記事が乗った。ヨルダンの原発商談で仏アレバと三菱重工が優先交渉権を獲得し、韓国の失注が明らかとなったことに加え、ブラジルの高速鉄道プロジェクトでも「中国と日本が攻撃的に参入しており、受注は容易ではない」としている。UAEの原子力発電の受注で韓国全体が大いに沸きあがってからわずか数ヶ月しかたっていないにも係わらず、そこには危機感すら感じられるようになっている。
 ヨルダンでは、研究用原子炉を韓国が受注しているにも係わらず、商業炉では日仏連合に敗退した。韓国ではこれに対して「採算の取れない案件だった」としているが、採算性については韓国側が提案したターンキー方式をヨルダンがとらなかったために韓国にとって有利ではなくなったことが大きいと見られる。また、ヨルダンはコントラクターにファイナンスアレンジを要求しているが、これに対応し切れなかったこと、さらに独自の炉の設計能力を韓国が有していないことを、その原因としてあげている。
 UAEの場合は原子力発電の建設から運営などの全体だけでなく、様々な経済支援などの「おまけ」をつけて韓国が受注したが、こうしたやり方を複数の国で展開するのは難しい。
 それに加えて、韓国の強みでもあった「コスト」の面でも、中国に追い上げられてきている。ブラジルの高速鉄道案件で中国は、入札価格を当初の半分程度まで引き下げて応札する可能性があるといい、日本も円借款という強力なツールを使って攻勢をかけるだろう、と見ている。中東のハイドロカーボンでも日本は今後、価格を下げて対応していく姿勢を見せており、韓国にとっては安穏としていられる状況ではなくなってきた。同記事では「韓国が大型プロジェクトの受注で苦戦を強いられているのは、中国の安値攻勢と先進国の資金力が要因だ」と分析する。
 オリジナルの技術が足りず、新興国の安値攻勢で悩む韓国は、かつての日本の姿とも重なって見える。この状況を打破していくために、韓国がやらなければならないのは、やはり技術の高度化が第一の課題だろう。

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EDITORAL
編集後記

○…道路など日本の公共インフラの整備方式が大きく変るかも知れない。
 5月末、内閣府PFI推進委員会は、PFI制度の見直しの検討を行った結果をまとめた「中間とりまとめ」を公表した。この中で、「民間投資の促進・インフラ整備」を進めるための方策として、「コンセッション方式」の導入を図ることを明記した。公物管理権の民間への部分開放を実現するため、制度改正などに取り組むとしている。
 コンセッション方式は、仏、英、韓国などで広く採用されている。料金収入をともなう交通インフラ、電力、水道などの分野で、コンセッション方式による整備・運営が行われている。この方式は、公共施設の所有権を民間に移転しないまま、インフラ等の事業運営・開発に関する権利を長期間にわたって民間に付与するものだ。英国でのハイウェー整備・運営はこの方式による。
 以前から、なぜ日本はこの方式を採用しないのか疑問に思っていたが、本当にこれが実現するとすれば、「従来の道路行政」が大きく変るかもしれない。ただし、この方式が広く普及したとすれば“変革が本当に実現するかも知れない”、ということだ。果たして、既得権益を跳ね返すことが貫けるのだろうか。見守るしかない。

○…2009年度の派遣労働者が230万人前年4割減となった。厚生労働省の労働者派遣事業報告によるものだが、2008年秋以降の景気低迷から、下落は予想されたものとはいえ、かなりショッキングな数値だ。製造業中心に契約打ち切りが増加しただけでなく、派遣労働規制の動きに対応した企業の派遣見直しの影響が大きいと見られる。
 2009年度の就業者数は前年108万人と過去最大の減少幅という厳しい雇用環境。政府は派遣労働規制によって正規雇用の増大を見込んだが、失業のさらなる増大につながっているのが現実だ。
 近年における労働市場は非正規雇用化が進んで、非正規比率が3割をこえている。非正規の中で、派遣の占める比率は低いがエンジニアなど専門分野から製造業が解禁され、従来の請負や臨時工に変わって、変動する製造業雇用の受皿となってきた。景気が回復しても、製造業派遣禁止で、コストの高い正規雇用を増やすことはない。元に戻って請負・臨時工より、労働コストの安い海外移転進展がもっとも可能性が高い。
 角を矯めて牛を殺す。製造業派遣の欠陥を理由に禁止することは、結局は日本の雇用機会を失うことになるのだ。近年における政府の経済政策が目指すべきは、雇用の実現であることは世界共通の課題なのだが、現政権は発足以来これに取組んでいない。

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