○…道路など日本の公共インフラの整備方式が大きく変るかも知れない。
5月末、内閣府PFI推進委員会は、PFI制度の見直しの検討を行った結果をまとめた「中間とりまとめ」を公表した。この中で、「民間投資の促進・インフラ整備」を進めるための方策として、「コンセッション方式」の導入を図ることを明記した。公物管理権の民間への部分開放を実現するため、制度改正などに取り組むとしている。
コンセッション方式は、仏、英、韓国などで広く採用されている。料金収入をともなう交通インフラ、電力、水道などの分野で、コンセッション方式による整備・運営が行われている。この方式は、公共施設の所有権を民間に移転しないまま、インフラ等の事業運営・開発に関する権利を長期間にわたって民間に付与するものだ。英国でのハイウェー整備・運営はこの方式による。
以前から、なぜ日本はこの方式を採用しないのか疑問に思っていたが、本当にこれが実現するとすれば、「従来の道路行政」が大きく変るかもしれない。ただし、この方式が広く普及したとすれば“変革が本当に実現するかも知れない”、ということだ。果たして、既得権益を跳ね返すことが貫けるのだろうか。見守るしかない。
○…2009年度の派遣労働者が230万人前年4割減となった。厚生労働省の労働者派遣事業報告によるものだが、2008年秋以降の景気低迷から、下落は予想されたものとはいえ、かなりショッキングな数値だ。製造業中心に契約打ち切りが増加しただけでなく、派遣労働規制の動きに対応した企業の派遣見直しの影響が大きいと見られる。
2009年度の就業者数は前年108万人と過去最大の減少幅という厳しい雇用環境。政府は派遣労働規制によって正規雇用の増大を見込んだが、失業のさらなる増大につながっているのが現実だ。
近年における労働市場は非正規雇用化が進んで、非正規比率が3割をこえている。非正規の中で、派遣の占める比率は低いがエンジニアなど専門分野から製造業が解禁され、従来の請負や臨時工に変わって、変動する製造業雇用の受皿となってきた。景気が回復しても、製造業派遣禁止で、コストの高い正規雇用を増やすことはない。元に戻って請負・臨時工より、労働コストの安い海外移転進展がもっとも可能性が高い。
角を矯めて牛を殺す。製造業派遣の欠陥を理由に禁止することは、結局は日本の雇用機会を失うことになるのだ。近年における政府の経済政策が目指すべきは、雇用の実現であることは世界共通の課題なのだが、現政権は発足以来これに取組んでいない。
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