EnB09号 目次
詳細 のマークがついているものは記事の内容がご覧になれます。

 

■EYE詳細へ
外資撤退続く中東案件

■Report
日本型「システム輸出」の課題

■GLOBAL Report
米国デザインファーム、回復の時期が不明
2009年の米国のエンジニアリング企業の動向(1)−デザインファーム編−

■TOPICS
鉄道システム輸出拡大へ

新規中計はインフラ重視

■NEWS Flash
・商事・日揮等、豪州水道事業会社を買収
・三菱重工、インドからボイラ・タービン受注
・双日、サウジアラビアのPP11に事業参加
・川崎重工、NY市から地下鉄車両受注
・三菱重工、US-ABWR3基目の採用決定
・Hitz、水平式MED造水装置1号機を建設へ
…伊藤忠、中国からリニア地下鉄車両受注
…JFEエンジ、焼却炉建設・運営業務を受注
・新日鉄エンジ、新任役員の横顔
…新日鉄エンジ、高減衰ゴム制振ダンパー商品化

■Projects News
…Saipem、Shahガス田開発を受注
…AMEC、EdFの英原子力計画を受注
…AMEC、Angolaで洋上油田のFEED受注
…Petrobras、Tecintにコーカーユニット
…CB&I、Kashagan油田開発でFEED受注
…CB&I、Yamal LNGで開発関連サービス
…珠海LNG第2期がスタートヘ
…Gorgon-Jansz LNGで中国企業にファブ発注
…アマゾン・ダム計画で9社コンソーシアムが優先権
…大宇建設、ナイジェリアのガスパイプライン受注
…Fluor、PG&Eから原子力のサイトサービス受注
…Fluor、カタールガスでBOG回収を受注
…アブダビUmm Lulu開発でFEED
…湖南石化、カタールPJから撤退
…現代重工、バングラデシュの発電プラント受注
…IOC、SBRでJV形成
…Dongi LNGに暗雲
…クウェート、製油所建設を決定へ
…ナブコパイプライン、資機材調達でPQ実施
…印NHPC、ミャンマーに水力発電建設へ
…Aramco、石油輸出能力を増強へ
…豪Sunrise、FLNGを採用
…Toyoタイ、ベトナムでバイオエタノールプラント
…バーレーン、原子力で技術コンサル入札へ
…チュニジアのIPPでPQ参加要請
…UAEでミニミルEPC入札

■フォーラム

■海外・国内主要プロジェクトの動向

■最近のプロジェクト受注・契約状況

■エンジニアリングダイジェスト

■Editorial 詳細へ

EnB 09号 表紙

 

EYE
外資撤退続く中東案件

 中東の案件で不穏な動きが続いている。コノコ・フィリップスがサウジアラビアのヤンブー製油所から撤退し、さらにアブダビのShahガス田開発からも撤退した。これだけならば、コノコ・フィリップスだけの問題といえるが、さらにカタールの石化プロジェクトから韓国の湖南石化が撤退したのである。
 コノコ・フィリップスは、自身がリストラを進めており、資産および投資額の100億ドル規模の削減を実施中だ。そのためか投資決定の条件を厳しくしているようでもある。しかしそれにしてもこれまで進めてきた中東のプロジェクトからの相次ぐ撤退は、今後世界経済の持ち直しが期待されているこの時期にしては、ちょっと唐突すぎるように感じる。
 コノコ・フィリップス自身は撤退の理由は明らかにしていない。Yanbu製油所に関しては、建設コストが高くなったため、石油精製事業の収益が当初見込みより低下することとなり、そのためより付加価値の高いダウンストリームの見直しにより、石化事業の規模が縮小されたことが撤退の理由と目されている。一方、アブダビのShahガス田開発では、ガスの埋蔵量は199TCFと大規模で、生産量も10億cf/dと大型の開発であり、決して悪くないプロジェクトである。しかしShahガス田から採掘されるガスは硫化水素を多く含むサワーガスであり、サルファー・リカバリーに多くのコストがかかる。アブダビはそれでも、UAEのガス需要の伸びに対応するために開発は必須だが、輸出用としては米国でのガス価格が低水準であるなど、価格面で競争力がでないと判断したと見られている。
 さらに湖南石化は、経済危機で石化製品の需要がシュリンクしたことと、建設コストの高騰、さらにはプロジェクト・ファイナンスのアエラビリティの低下により撤退したとしている。
 現在、石油価格は上昇を続けている。また鉄鉱石価格は四半期毎の改定方式となり、今後の鋼材価格の推移の予想も難しくなってきている。プラントのコスト上昇がこういった要因で進み、市場はギリシャ問題などで欧州があまり期待できない。中東のプロジェクトの成立が難しくなってきているようだ。

最新号目次へ

EDITORAL
編集後記

○…「学びて思わざれば罔し、思ひて学ばざれば殆し」−論語の一節である。学問や芸術における学習と独創性の問題のように見えるが、本来の意味は異なる。孔子は仁道政治を実践しようとしたが、機会に恵まれず、弟子育成に努めた。従って孔子の語録=論語は士大夫(為政者)の政治の心構えに関わるものだ。
 最近の政権首脳の言動は、上記一節の後半「思ひて学ばざれば殆し」そのままだ。秀れた政治目標があっても、学んでいなければ、国を危うくする。
 その例として第一に挙げられるのは、普天間問題だ。沖縄の負担を軽減する、普天間の危険を解消する。その目的やよし。しかしこれまでの日米間交渉の経緯に無知、安全保障を研究した形跡はない。ゼロからのスタート、首相自身、米海兵隊の抑止力を最近になって学んだという。日本、さらには東アジアの安全保障を危うくしている。
 もう一つは経済政策。政権幹部の経済オンチぶりは救いようがない。財務大臣がいま勉強しているのは、サミュエルソン−60年代に大きな影響を与えたが、70年代のスタグフレーションに対応できず過去の理論となった。
 グローバル経済の中で日本経済の凋落は著しい。日本が現実の変化を受け入れることができていない結果だ。その変化に対応する経済政策を現政権に求めるのは「木に縁りて魚を求むが如き」か。

○…今年の5月連休は、それまで連日寒い日が続いた気候がウソのように晴れわたる日が続いた。連休中、毎日のように晴れわたったというのは50年前以来のことだという。その50年前、5月初旬が連日晴れわたったことを憶えている人はあまりいないだろう。
 しかも、当時は文化の日、こどもの日はあったろうが、4日の中日は祝日であろうはずがない。ましてや祝日が日曜日であれば、翌月曜日が休みになることもなく、土曜日も大人は働いていた。従って、大型連休などあるはずもない。家族そろって行楽に行った記憶もない。
 当時子供だったからあまり記憶にないが、お盆の帰省ラッシュもなかった筈だ。帰省ラッシュは一家に車が1台という按配になったころから起きた現象であろう。高速道路の発達による車社会が私たちの生活を変えた。
 こう考えてくると、気候変動が続いているから迂闊にはいえないが、今後50年間で5月初旬が連日晴れわたる確率は小さいはずだ。その50年後の気候はどうなっているのか。祝祭日は果たして増えているのか、減っているのか。交通網はどのように。家族そろっての帰省、行楽などは続いているのだろうか。
 そんなことを考えてもどうしようもないのは分かっているのだが、なにやら騒がしい5月、日本の未来は?

最新号目次へ

Copyright (C) 2002 ENGINEERING JOURNAL CO,.LTD. All Rights Reserved.