EnB08号 目次
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■EYE詳細へ
国と民間との役割分担を明確に

■Report
最先端を走る日立の医薬品プラント事業

日揮、全方位展開の海外水ビジネス

■GLOBAL Business
・中国海外コントラクト、第1四半期受注が21%減
…中国2009年海外コントラクト内訳
・Petronas、エンジニアリング子会社などを上場へ
…韓国大宇建設、戦略的投資家選定が難航
・KBR、M&Aで上流部門子会社を強化
・Areva資金調達−30億ユーロ増資は近々最終決定か
…EU、Alstom/SchneiderのArevaT&D買収承認
・Halliburton、Boots & Cootsを買収

■TOPICS
世界の原子力新規計画は8基増

神戸製鋼、グローバル戦略を加速

■NEWS Flash
・Hitz日立造船、相次ぎごみ処理設備を受注
・IHI、ボイラプラントEPC受注を再開
・三菱重工、LNG-FPSO開発を完了
・新日鉄エンジ、食品廃棄物エタノール技術完成
…東芝〜IHI、原発用タービン機器製造でJV
…千代田、サハリンLNGの設計業務受注
…三菱重工、レイキャビクエナジーと地熱発電で協業
…新日鉄エンジ、静岡市のガス化溶融炉を完成
…JFEエンジ、バラストエースが最終承認
…三井造船、NGH陸上輸送実証研究を完了

■Projects News
…アラムコ、石化PJをリロケート
…中国銀行、高速鉄道に約60億元
…武漢石化PJ、着工
…イタリアの原子力でEdFなどがMOU
…Fluor、台州石油・石化計画でFS
…Foster Wheeler、Nghi Son製油所で技術サポート
…ArzewのMEGでSDが技術供与
…インドネシア、PPPで発電と有料道路建設へ
…Pertamina、製油所・石化プラント拡張
…Jacobs、Wasitガス開発で硫黄回収の基本設計
…KBR、BrowseLNGで基本設計
…サウジでポリシリコンプラント計画
…ベトナムとAramcoが投資協定
…アブダビShahガス開発、2014年に操業開始へ
…南アの石炭火力に世銀ローン
…三星物産、シンガポールLNG受注
…ConocoPhillips、Yanbu製油所計画から離脱
…TotalとのJubail製油所はコスト上昇
…ブラジル大規模水力で入札再中断
…BP、カナダのオイルサンドを前進
…Chart Energy、インドでアンモニアプラント受注
…Conoco、POSCOのSNGに技術供与

■海外・国内主要プロジェクトの動向

■データ・ファイル

■エンジニアリングダイジェスト

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EnB 07号 表紙

 

EYE
国と民間との役割分担を明確に

過去、プラント輸出は政治のサポートなしに展開されてきた。それが今、原子力、水、鉄道などのシステム輸出で、国が主導して輸出を拡大しようとしている。その意味でアブダビ・ショックは、日本の政官業の意識を大きく変えた、重要な出来事だったのだ、と言えるだろう。
 原子力発電の輸出は、核物質の移動を伴うものなので、特に新興国向けではどうしても国のサポートが必要となる。従って、国が輸出に前向きになっていることは大変、歓迎すべきことだ。水ビジネスでも、飲料水の供給に関しては、その事業は日本では自治体しかやってきていない。従って自治体のサポート、あるいは水道局の海外事業展開の中でハードを含めたシステム輸出が出来るというのも、方向性としては悪くない。
 だが、ここにきて若干の違和感も感じ始めている。
 国が音頭をとって日本の電力会社とプラントメーカーをまとめ、売り込みを図る、という図式は、どうも日本のプラントビジネスには馴染まないように思う。これまで日本のプラントビジネスは「日本」を背負って海外で事業展開してきた訳ではない。あくまで、顧客の利益の最大化のためにプラントビジネスを継続してきたことが重要なのである。「日本」という枠組みを掛けられると、プラント・ビジネスはやりにくいのだ、中国の三峡ダムや、台湾新幹線、古くはIJPCもそうだが、「日本」に拘って上手くいった例はあまり無いのだ。
 国がプラント輸出に関心を持ってもらうのは有難いのだが、あんまりシャシャリ出てきてもらってもチト困る。民間との役割分担を理解していて欲しい。
 国にやってもらいたいのは、必要な時の必要なだけの支援である。極端に言えば、原子力では核不拡散条約、関連制度の整備、人材育成支援、それから、余計な付帯条件の排除を促すことである。水ビジネスはコンセッション契約を最終目標とするのは良いが、そのためには国内の各自治体に水事業の中核業務を民間委託するよう促して行かなければならならい。東京都が海外水事業展開を開始するというが、役人が直接海外に出て行って上手くいくとは限らないのである。

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EDITORAL
編集後記

○…恒例の米国のENRランキングの第一弾として設計売上高を対象としたENR500が発表された。2009年の合計売上高800億ドル前年11%減、国内592億ドル13%減、海外208億ドル7%減となった。またドイツのVDMAのプラント受注統計では2009年の受注高は221億ユーロ、前年33%減、国内39億ユーロ40%減、海外183億ユーロ31%減となっている。なお、以上2統計の内容は次号以降で紹介する。わが国は経済産業省エンジニアリング業統計によると、2009年暦年で受注高7.86兆円前年21%減、国内5.75兆円12%減、海外2.1兆円38%減となった。
 このように先進国の2009年の業況が不振になっているの対し、韓国は2009年の海外プラント受注は463億ドル0.2%増、中国の海外コントラクト売上高777億ドル37%増、受注高21%増と高水準を維持している。韓国はアブダビ原発受注があって、前年の6倍となるなど本年第1四半期に入っても好調を維持している。一方中国は売上は上昇を維持したが、受注が前年減となった。
 中国は、援助プロジェクトが多い、国内外資向けが算入されている可能性があるなど特殊な状況があるようだが、韓国の好調は本物だ。今回の不況をいち早く脱して、唯一の大型プラント・インフラの好況市場となった中東産油地域でのプレゼンスがこの好調の唯一最大の要因だ。

○…「第三セクター」と聞くと、イメージは悪い。やれ「住民の税金を無駄食いしている法人だ」、やれ「殆どが赤字経営だ」。あるいは、「経営幹部はほとんど天下った公務員であり、余剰人材の受け入れ先だ」等々、あまりいい評判は聞かない。巨大な債務を抱え、その処理に苦慮する地方自治体の話題がメディアを賑わす。これではイメージが悪いはずだ。
 だが、これは日本で言われている第三セクターの話だ。
 公企業でもなく、私企業でもない「サードセクター」とは、国際的には「NPO、市民団体その他の非営利団体を示し、イギリス等では、NPOや慈善団体など、公共サービスを提供する民間団体のことを指す」とされている。つまり、公共サービスを市民レベル、「民」が担うという方式である。
 公共サービス・公共事業を「民」が担うと聞くと、民間資金とその経営ノウハウを活用した「PFI」を想起させる。今はやりの「PPP」もその範疇に入るかもしれない。PPPの形態も取り入れるなど工夫次第では日本の第三セクターは、まだまだ有意義な方式ではあるまいか。
 現在、事業仕分けなどで目の敵にされている公務員。その人材活用という点では大きな意味を持つのでは…。彼らも我々と同じ国民なのだから。

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