EnB04号 目次
詳細 のマークがついているものは記事の内容がご覧になれます。

 

■EYE詳細へ
原子力と水、重なる課題

■Report
海外水ビジネス、「運営」に拘るな

低迷続くも回復の兆候

■GLOBAL Business
・M&A取引が復活へ Air Products vs Airgas/Babcock vs VT
・Schlumberger、同業Smithを買収
…WorleyParsons、ブラジル企業を買収
…Jacobs、米国水エンジニアリング企業を買収
…大宇建設買収、米国グループ再挑戦を表明
…Foster Wheeler、サウジで合弁企業
・Technip、第4半期でナイジェリア損金を計上
・Areva、太陽熱発電分野に進出

■TOPICS
2009年の産業機械受注、5年ぶり減少

■NEWS Flash
・IHI、リオティントからGT発電整備工事受注
・日立製作、カナダでCCSに参加−発電設備受注
・横河電機、ShellからMACに選定
・三井グループ、米シェールガスPJに参画
・伊藤忠と東洋紡、サウジにRO膜製造会社設立
・日立製作所、8MWGTを九州電力に納入

■Projects News
…アブダビ、Shuweihat3で入札へ
…エジプト、DarutIPPでRFP
…ShtokmanLNG、3年先送り
…BG、豪CurtisLNGで能力を上方修正
…Borouge、第4期拡張を計画
…豪BrowseLNG、設計フェーズへ
…KBR、ナイジェリアのエチレンリバンプ受注
…現代重工、ノルウェーからFPSO
…AMEC、FPSOトップサイドモジュール受注
…PoliskieLNG計画、3グループが応札
…三星物産、シンガポールLNGを受注
…三星物産、太陽光発電事業を米国で実施
…STX重工、メキシコのLNGターミナル受注
…STX重工、イラクで発電・鉄鋼プラント
…POSCO、印カルナタカで製鉄所建設構想
…SantosLNG、前進へ
…中国、三つの原子力でAP1000採用へ
…斗山重工、エジプトでボイラ受注
…Ain SokhnaのPEプラントでUnivation採用
…ONGC〜GAIL、ミャンマーでガス開発
…印Dahej石化PJでIneosプロセス
…オマーンSoharでPTAプラント
…KBR、インド肥料プラント受注
…サウジIbn Rushd、Yanbuプラント拡張
…英国、天然ガス地下備蓄基地建設へ
…サウジMarafiq、Ynabu発電所でRFP

■海外・国内主要プロジェクトの動向

■データ・ファイル

■エンジニアリングダイジェスト

■Editorial 詳細へ

EnB 03号 表紙

 

EYE
原子力と水、重なる課題

 アブダビにおける原子力発電商談の敗退が大きな反響を呼んでいる。前号で示したとおり、軍事協力まで求められるような商談を日本が受注するわけにも行かないのであるが、そういう点についてはあまり注目されておらず、「トップセールスが不在だ」「国の姿勢が明確ではない」などの批判の声が高い。確かに国の原子力輸出に対する姿勢が定まっていないのは課題ではあるが、トップセールスがあったとしても今回のプロジェクトを受注できた訳でもない。「むしろ市場の方が未熟なのだ」という論調もあってしかるべきだ。

 とはいえ、確かにいくつかの課題は明確になった。ひとつにはやはり電力会社の姿が見えなかったということ。原子力発電のオペレートはプラントメーカーには出来ない。GE日立はエクセロンを運転支援サポートに据えたが、コンソーシアムには入っていなかった。原子力に関する法整備や人材育成といった準備段階を経た国であれば、GE日立の対応は決して間違ったものではないが、相手は原子力未熟国である。その点はもう少し対応を考える余地はあった。

 もうひとつは、プラントのスペックの問題だ。日本は地震国だし反対運動も強い。従って高いスペックが常に要求される。保安基準も高い。それが稼働率の低さにつながっている。しかし相手国は必ずしも、そこまでのスペック、保安基準を求めていないということも考慮し、コストに反映させていく努力をしてこなかったという反省はありうる。そして、こうした軍事協力まで求められるような商談には対応しない、というターゲットの絞込みも重要だ。

 実は、水ビジネスにおいても同様のことが言える。日本が運営ノウハウがないのは水道局の海外への姿勢が弱いということに加え、国もこれを統合的に支援する体制の構築がまだ整っていない。さらにメジャーと同じ土俵に立つのか、それとも優位性を活かし段階的に展開するのか、対象地域は?などターゲットが定まっていないのである。

 どこぞの副知事は「アンタイドがいかん」と訳の分からない説を唱えているが、そんな暢気なことを言っている場合ではない。

最新号目次へ

EDITORAL
編集後記

○…2009年秋以降、どうやら世界経済は予想以上のペースで回復しているようだ。しかし、日本はその世界経済の回復の波に乗れておらず、最悪の状態が継続している。大幅赤字の財政、ほとんど緩和の余地のない金融と、政府も日銀も有効な景気浮揚策・デフレ脱却策が手詰まり状態だ。
 世界経済の浮揚は中国など新興国経済の復活・成長によるところが大きい。世界の成長市場は中国・中東など新興国市場に移っている。これら市場が求める商品で日本の企業は中国・韓国などの企業との競争力があるのだろうか。90年代・2000年代日本は「ものづくり」が日本の生きる道だとして、追いすがる新興国企業より高品質・高価格の商品を供給する国となってきた。
 米国など先進国市場が大きく、日本国内市場に期待できれば、かなりの期間通用する戦略であった。しかし先進国市場は崩壊し成長市場は新興国・途上国になり、安価な商品に需要は移った。その分野で日本企業が新興国企業に比べて、競争力があるとはいえない。電機がその典型であり、自動車も電気自動車化が進めば日本企業の優位性は失われる。プラント輸出も量的には韓国に大差をあけられている。
 早大の野口教授がドル安に対応できる経済への転換が重要とする。そのとおりだが、日本企業にとって道は極めて険しい。

○…地元の町内会で「さくらまつり」を計画している。身近に咲く桜の樹の下にシートを敷き、飲めや歌えの宴を繰り広げる。飲料、つまみなどはある程度、町内会で無料配布、焼き鳥などは格安で提供する。これが毎年好評で、早くから「今年はいつやるの?」と聞かれるのだ。それは、楽しいはずで、昼間からおおぴっらに飲める。しかも無料だ。
 けれど、まつり担当者としては大きな悩みが二つ。一つは近所の苦情である。一日だけ、しかも昼間の4〜5時間のみだから我慢してほしいと思っても、やはり我慢できない人は出てくる。そして、もう一つの大きな悩みが、まつり開催を何日にするかということ。いろいろな準備をしても当日、桜の開花がまだちらほらとか、もう散ってしまったでは主催者に恨みが集中するのだ。
 気象庁は今年から開花予想をやめ、民間3社による予想にまかせた。それによると、現時点で東京では早い予想で3月21日、遅い予想は25日となっている。満開はそれから数日〜1週間程度だろう。
 けれども、腹をくくって開催日を決めた。いろいろ準備があり、日にちを決めざるを得ない。もし、3月上旬が気温が高くなり、さらに開花が早まると苦情が殺到するのは必至だ。我々は遊びだからまだいい。開花時期で商売が左右される方はたまらないだろう。その悩みが分かるような気がする。

最新号目次へ

Copyright (C) 2002 ENGINEERING JOURNAL CO,.LTD. All Rights Reserved.