EnB03号 目次
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■EYE詳細へ
韓国に教わろう

■Report
韓国原発輸出のインパクト

市場期待高まるスマートグリッド
-JFEエンジがAIで参加-

■GLOBAL Report
09年中国海外コントラクト受注、1200億ドル超
2010年も2桁増を予想

■TOPICS
アヴィバ、ユーザー会を開催

LNG受入、貯蔵設備投資が加速化

PFI事業はどこへ

燃料電池市場、2020年以後急拡大

■NEWS Flash
・JFEエンジ、中部電力LNG増強工事を受注
・川崎重工、印ONGC向けにコンプレッサー受注
・東芝、インドの火力発電設備工場に着工
・日揮、ユニファイド・コミュニケーションを構築
…三菱重工、PBMRとMOU
…富士電機、中国にイノベーションセンター
…丸紅、中国向けに液晶露光装置受注
…JBIC、韓国IPPに融資

■Projects News
…日揮、サウジで硫黄低減ユニット受注
…クウェート石油、メンテ入札を延期
…韓国、カナダで世界最大の風力・太陽光を受注
…斗山重工、チャッティスガル石炭火力を受注
…Husky、オイルサンドPJでFEED完了
…Saudi Kayan、アミンをCTCIに発注
…現代建設、GASCOのIGD向けでGEガスタービン選定
…印IOC、PTAを増強へ
…Pertamina、LNGターミナルで入札
…オマーン・印JBF、PTAでJV
…クウェートでLNGプラント計画
…PetroChina、吉林EB/SMでLummus採用
…韓国、リビアとブラジルの鉄道受注狙う

■フォーラム

■海外・国内主要プロジェクトの動向

■最近のプロジェクト受注・契約状況

■エンジニアリングダイジェスト

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EnB 03号 表紙

 

EYE
韓国に教わろう

 前号で既報の通り、韓国では2009年に海外プラント受注が462億ドル。海外建設受注が491億ドルに達した。今年はさらに拡大する見通しである。中国でも、海外コントラクトが受注額は1,200億ドルを超えるまでに成長している。対して日本は、プラント・エンジニアリングで今年度、150億ドル程度と見込まれる。建設受注も100億ドルを超える程度で減少傾向が見込まれている。

 その受注内容を細かくみなければならないのは重々承知の上だが、受注ボリュームで日本が減退しているのは確かだ。確かに、日本が得意とする、資源関係の複雑・高度なプラントものでは、さほど追い上げられてきているわけではなく、当面、日本として優位性を保てる分野は確実にある。

 だが、市場が回復しており、中国・韓国ともに受注拡大傾向にあるのに、日本の受注が低下傾向にあるのは、やはり問題といえる。特に中国では、全体的には拡大傾向であるものの、海外への海外労務派遣が減少傾向にあるということは注目すべき点でもある。中国ですら「海外出稼ぎ」で稼ぐことが難しくなってきているのだ。すなわち、全世界的に労務者の層は厚くなっており、海外からの技術労務者の導入が今までほど必要でなくなってきているということではないか。世界的に工事品質は徐々に高度化している。

 そのなかで、日本の「高品質」「高価格」をいかにアピールしていくべきか。アジアや中南米のプロジェクトでは、さほど高い技術、品質を求めないプロジェクトも増えてきている。とりあえず、産業インフラ、社会インフラを整備していくことが重要なのであり、必要以上に高品質の提案をされても、資金の調達が厳しくなるだけだ、という案件も多い。

 「必要なところに必要なだけ」というのはサービスの基本だ。それを日本のプラント産業は今、やれているのだろうか?カナダでは世界最大の風力・太陽光発電所の計画を韓国が受注した。日本は過去、米国の大規模ウィンドファームに大量の風車を供給した実績があるが、すでにそれだけでは選択されない。何が必要なのか、本気で韓国企業を分析する必要がある。

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EDITORAL
編集後記

○…2000年代の欧米エンジニアリング業界のM&A動向をまとめてみた。世界のエンジニアリング産業は2000年代初頭の不況から、200年代半ばには回復し、未曾有のブームを迎えた。そのブームのなかとくに2006−2008年に大型合併が多発した。KBRの独立とBE&K買収、CB&IによるLummus買収、AirLiquideによるLurgi買収、URSによるWashington Group買収などなどだ。
 不況の期間にノンコア事業となっていたエンジニアリング事業が再び成長事業となって、M&Aの対象となり、M&Aにより事業を拡大していった過程といえよう。
 欧米企業の多角化・事業戦略転換は多くがM&Aによりなされる。米国の大手エンジニアリング企業はエンジニアリングコントラクター・デザインファーム・サービスコントラクターという3分野にわたる企業グループになった。欧州企業では、上下流分野にわたる企業体が多くなった。またPPP分野をコア事業とするなど建設企業のサービス産業化が進んだ。これらの動きは欧米エンジニアリング業界で一貫して続いているものであるが、今回の大型M&Aの動きのなかで、一段と明確になった。
 一方日本のエンジニアリング産業は大手専業企業が世界的プレゼンスを確立しているものの、全般的には韓国など新興国企業の追い上げに対処しきれているとはいえない。

○…時々、「こんなことを言っても“ごまめの歯ぎしり”にしか過ぎない」という諦念を耳にする。力の弱いものが大きな力を持つものに対して、どんな主張を言おうが所詮、小魚の歯ぎしり程度でしかない、といった意味あいであろうか。「ごまめ」とは、むかしお正月のお節で食べたカタクチイワシの稚魚のことだ。いいえて妙だ。そのような小魚の歯ぎしりなど誰にも聞こえはしない。
 だが、「ごまめ」を馬鹿にしてはいけない。それこそ、歯ぎしりしている「ごまめ」が思いもかけず大量になって大きな声になることもあるのだ。その歯ぎしりがいろいろなことで大きな影響を及ぼすこともある。例えば、前回の衆議院議員選挙結果がそれまでの長期政権にノーをつきつけ、政権交代を果たしてしまったこともそうだ。それが良いことだったのか、後世あまりいい結果をもたらさなかったと評価されるのか、それは分からない。だが、「ごまめの歯ぎしり」が頂点に達した結果だと言えなくもない。
 いま、このごまめの歯ぎしりがもれ聞こえて、異常な速さで伝播して瞬く間に広がる手段がある。インターネット、携帯などITを媒体とする手段だ。これまでのマスコミ媒体と違って双方向性を有する。その歯ぎしりに賛同して意思表示することも可能だ。現在のマスコミ媒体はこれを理解しているようで、分かっていないのではなかろうか。

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