前号で既報の通り、韓国では2009年に海外プラント受注が462億ドル。海外建設受注が491億ドルに達した。今年はさらに拡大する見通しである。中国でも、海外コントラクトが受注額は1,200億ドルを超えるまでに成長している。対して日本は、プラント・エンジニアリングで今年度、150億ドル程度と見込まれる。建設受注も100億ドルを超える程度で減少傾向が見込まれている。
その受注内容を細かくみなければならないのは重々承知の上だが、受注ボリュームで日本が減退しているのは確かだ。確かに、日本が得意とする、資源関係の複雑・高度なプラントものでは、さほど追い上げられてきているわけではなく、当面、日本として優位性を保てる分野は確実にある。
だが、市場が回復しており、中国・韓国ともに受注拡大傾向にあるのに、日本の受注が低下傾向にあるのは、やはり問題といえる。特に中国では、全体的には拡大傾向であるものの、海外への海外労務派遣が減少傾向にあるということは注目すべき点でもある。中国ですら「海外出稼ぎ」で稼ぐことが難しくなってきているのだ。すなわち、全世界的に労務者の層は厚くなっており、海外からの技術労務者の導入が今までほど必要でなくなってきているということではないか。世界的に工事品質は徐々に高度化している。
そのなかで、日本の「高品質」「高価格」をいかにアピールしていくべきか。アジアや中南米のプロジェクトでは、さほど高い技術、品質を求めないプロジェクトも増えてきている。とりあえず、産業インフラ、社会インフラを整備していくことが重要なのであり、必要以上に高品質の提案をされても、資金の調達が厳しくなるだけだ、という案件も多い。
「必要なところに必要なだけ」というのはサービスの基本だ。それを日本のプラント産業は今、やれているのだろうか?カナダでは世界最大の風力・太陽光発電所の計画を韓国が受注した。日本は過去、米国の大規模ウィンドファームに大量の風車を供給した実績があるが、すでにそれだけでは選択されない。何が必要なのか、本気で韓国企業を分析する必要がある。
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