EnB22号 目次
詳細 のマークがついているものは記事の内容がご覧になれます。

 

■EYE詳細へ
技術開発にも世界戦略

■INTERVIEW
データの相互運用性のメリットを訴求
世界唯一の配管CAD・解析の統合性を実現
COADE代表取締役CEO トム・ヴァン・ラーン氏

■Report
日揮と三菱化学、新プロピレン技術を実証へ

ENAA、エンジニアリング白書刊行

■GLOBAL REPORT
・韓国、国際原子力発電市場に本格参入へ
・Siemens・Rosatom提携協議、最終段階?
・ABB、オートメーション事業組織を再編
・Areva T&D事業、フランス連合が獲得
・GE、メディア部門NBCUの経営から撤退
・RWE、American Water全株式を売却

■TOPICS
千代田〜日揮、パプアのLNGを受注

■NEWS Flash
・千代田シンガポール、脱硫装置基本設計を受注
・JFEエンジ、モンゴルで橋梁建設工事受注
・東芝・日立、東電からメガソーラー受注
・三菱重工、バイオエタノール設備を完成
・新日鉄エンジ、戸畑にゼロエミッションビル
…キッツ、独バルブメーカーを買収
…JBIC、ブラジルの環状道路にプロファイ供与

■Projects News
…Aramco、Wasea製油所で入札
…Posco、インドネシアで製鉄所建設
…カナダ、CCS計画を推進
…CNPC、スーダンで製油所拡張へ
…GE-日立、英国原発入札に参加へ
…オマーンで苛性ソーダプラント
…Repsol YPF、ボリビアでガス開発
…SembCorp、オマーンで造水発電事業
…Sinopec、イランで製油所建設へ
…Tecnip、Gascoからガス開発EPC受注
…WorleyPersons、中国ガス開発受注へ
…Chevron、Wheatstone LNGでエンジ業務発注
…Sasolワックス製造能力を倍増へ
…南アでガス火力発電計画

■フォーラム

■海外・国内主要プロジェクトの動向

■最近のプロジェクト受注・契約状況

■連載
しらないでは済まされない
海外プロジェクト建設法律のミソ

■エンジニアリングダイジェスト

■Editorial 詳細へ

EnB 22号 表紙

 

EYE
技術開発にも世界戦略

 民主党の事業仕分けでスーパーコンピュータの件が話題となった。少し資料をあたって見ると、スーパーコンピュータの世界もなかなか面白いので、ちょっとハマってしまった。

 理研が神戸で進めているスーパーコンピュータはスカラ型というもの。世界的にはクラスタ型と呼ばれるもの。しかし今年5月まではベクトル型との複合型ということで進められていた。この二つはアーキテクチャが異なり、それぞれに特長がある。その二つをどう融合させるつもりだったのかよくわからない。しかしクラウド型を供給するNECと日立製作所がプロジェクトから撤退したため、クラスタ型の単独アーキテクチャとなって再出発した。

 この時点で、本来はプロジェクトを見直すべきだったかも知れない。クラスタ型のスーパーコンピュータは既に世界で一般的となっており、米国製プロセッサを組み合わせ、演算速度を上げて使うのは普通のこととなっている。つまり、富士通のプロセッサを使ったとしても、アーキテキチャとしてはもう「常識」なのである。しかも富士通のプロセッサは基本設計が米SUNのもの。これで世界最速と言っても、本当に日本の技術といえるのかは疑問だし、これで最速を達成したとしても「次世代型」と言うのも恥ずかしい。

 原子力でも次世代型の開発を進めている。これは現在の軽水炉をベースとしておりアーキテクチャとしてはさほど変わらないかも知れないが、コスト面や安全性が向上し、世界標準を狙うという、世界戦略を持った技術開発である。

 それに比べ「次世代スーパーコンピュータ」なる開発プロジェクトには、世界戦略が全く見えない。現行アーキテクチャで最速を出したとしても、それが世界に売れるか?といえば、全くそうはならない。米国製プロセッサを使って組み上げるという今での形を打ち崩す力を持ちそうにはない。

 だからといってスーパーコンピュータに金をかけることが無駄だとは思わないが、米国プロセッサに無い特長を持つ、有用なプロセッサなりシステムなりの開発をしたほうがより良いだろう。

最新号目次へ

EDITORAL
編集後記

○…ポスト京都議定書の合意期限となっているCOP15がコペンハーゲンで開催されている。拘束力ある宣言を出せるか疑問で、政治宣言におわることになりそうだ。
 20年までの目標と各国がいっているのは日本が90年比25%、EUが20%、米国が95年比17%(90年比環境省換算5%、中国換算1%)である。地球環境産業技術研究所試算によると、CO2トン当りの費用負担では日本476ドル、EU48ドル、米国60ドルと日本は極端に突出している。日本の目標が「全ての主要国の参加による意欲的な目標の合意」という前提条件付きであることを忘れた合意は許されない。
 中国は20年までにGDPあたり05年比40〜45%減という国内行動目標が掲げた。国際的拘束力はない。これは現実的な考え方だ。対GDP比は、個々の産業の省エネ、産業構造高度化を反映する。日本のように削減余地の少ない国の行動目標としても現実的だ。
 COP15開催の直前、地球温暖化の原因が人間活動であると誘導するため、データを操作した疑惑が発覚した。世界各地の気温を測定収集する研究所である英国の気候研究所(CRU)のサーバーがハッキングされ、データがネット上に公開された。トリックを使って気温下落データを隠蔽した疑惑だ。詳細は田中宇氏のサイトを見てほしい。
http://tanakanews.com/091202warming.htm

○・・・今年最大のニュースは政権交代であろう。いまから年末年始のテレビ・新聞での報道ぶりの予測がつく。その内容も日ごろの報道からして大体予想がつこうというものだが、個人的には報道機関の劣化ぶりからして熱心にみたいと思っていない。もちろん異論は多いであろう。政権交代によってかつてないほど、政治の世界で議論が湧きあがっている。これまで政治に見向きもしなかった人々も含めてだ。多事争論、結構なことである。これこそが民意であったのではあるまいか。
 ところで、今回の政権交代を明治維新になぞらえるひともいるが、それより前の江戸時代の政変を振り返ってみたい。学校の教科書程度の知識ではあるが・・・。
 幕政改革といえば田沼意次が思い起こされる。江戸商人の権益確保に熱心で、後の世に汚職政治家と指弾されたが、今や全く逆の評価をする人も多い。重商主義政策をとり、幕府財政を豊かにした。しかし老中を失脚、その後が寛政の改革を担った白河藩主松平定信である。落首にこうある。「田や沼や、汚れた御世を、改めて、清くすすめる、白河の水」と期待された。ところが庶民は気まぐれなもの。寛政の改革があまりに窮屈だとしてこう読む。「白河の、流れに魚も、住みかねて、元の濁りの、田沼恋しき」。案外とそういうものかも知れない。

最新号目次へ

Copyright (C) 2002 ENGINEERING JOURNAL CO,.LTD. All Rights Reserved.