もちろん、脱メタボ、という話ではない。
11月に行われた計測展における電気計測器工業会の会見では、計測工業会の売上げが2009年度には大幅な落ち込みが予想されているという。その落ち込み幅がどの程度になるかは、まだ今後の集計を待たなければならないが、各メーカーの状況は一様に厳しいものとなるということは、ほぼ確実だろう。その中で、同工業会が期待を寄せるのは、新エネルギー開発など、低炭素の変革に伴う新規需要と、スマートグリッドなどのエネルギー関連だとしている。
スマートグリッドは、現在のような発電所から需要家への一方的な電力供給の流れから、需要家が太陽光発電などで発生した電力を逆潮流したり、さらに小口需要家間での電気のやり取りを可能とするように、電力の流れで相互運用性必要性が生じてくることに対して、これを可能とするとともに、電力ネットワークの健全性を維持するための考え方である。
考え出された米国では、日本と違って送電ネットワークが脆弱であり、ここに大量の新エネルギーなどの分散型電源の電気が流れると、大規模停電などの問題が予想されることから、スマートグリッドによる、問題解決が提案されてきた。
しかし日本では、送電グリッドは充実している。そのため、「日本でのスマートグリッドは意味がない」と捉えられがちである。確かに、日本でのスマートグリッドにさほど大きな意味はないかも知れない。しかし、開発や標準化に「コミットしていくことで、米国に売り込める」(安井至氏@ENAAシンポ)。米国だけでなくアジアなど送電グリッドの脆弱な地域でのビジネスにつながる可能性もある。
一方、エンジニアリングシンポジウムで東京ガスの穴水氏は電力だけでなく、ガスや熱を含めた「スマートエネルギーネットワーク」を提唱した。これなら、日本でもかなり大きな意味を持つだろう。
最近のIBMのCMも「スマート」が売りだ。プラントでもデータの相互運用性が重要なテーマであり、データ標準化に注目が集まっていく。「スマート化」が次世代ビジネスのキーワードとなりそうだ。
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