EnB16号 目次
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再びコスト上昇局面か?

■Report
2009年度プラント受注、海外先行で回復へ

エンジニアリング大手の“人財開発”
「自律」を助ける日揮の人材開発

NCEES 2009 Annual Meetingに出席して
日本PE・FE試験協議会会長 廣瀬 仁志

■GLOBAL Report
E&C企業、中東プロジェクトが好材料

■GLOBAL Business
・中東最大手EC企業CCC、フロンティアを目指す
・Mustang、サウジのエンジニアリング事業に投資

■GLOBAL REPORT
米国環境ビジネス、不況から回復に向け推進

■TOPICS
経産省、離島新エネ導入を促進へ

■NEWS Flash
・TEC、三菱ガス化などの中国PCプラントを受注
・川崎重工、新型GT「M7A-03D」を初納入
・三菱重工、プラント子会社を統合
・NSエコパイル、道路橋台の斜杭に初採用
…三菱重工、UAE事業統合推進室を新設
…日立造船、米国に脱硝触媒工場
…JFEエンジ、地熱発電推進室を設置
…IHI、米国に製鉄アフターサービス会社

■Projects News
…Aramco、Jubail製油所低硫黄軽油で入札へ
…Aramco、Wasea石油プラントで入札へ
…Aramco、Shaybah製油所を拡張へ
…アブダビRuwais製油所、入札延期か
…イランLNG、10億ドルを投資へ
…豪州GorgonLNG、連邦政府の環境認可取得
…DOE、CCSで19プロジェクトを推進
…KBR、アンゴラでFCC受注
…カタール〜トルコ間でLNGパイプライン
…ベトナムDung Quat製油所、費用高騰
…Saipem、Qafcoの肥料プラント受注
…RasTanura石油石化統合計画、総生産量800万t/y
…Sinopec〜KPC、サイトを湛江市東海島に移転

■フォーラム
■海外・国内主要プロジェクトの動向
■最近のプロジェクト受注・契約状況
■連載しらないでは済まされない海外プロジェクト建設法律のミソ

■エンジニアリングダイジェスト

■Editorial 詳細へ

EnB 16号 表紙

 

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再びコスト上昇局面か?
リーマンショックから1年が過ぎた。金融関係ではCDSやサブプライムローン債権の処理が進んできており、30ドルまで下落した原油も70ドル前後まで回復している。プロジェクトが一斉にとまったことで、問題となっていたワーカーのコストも下落。鋼材価格はなかなか下落しないが、機器メーカーの操業度は低下してきており、価格の低下は始まっているようだ。

米国では近々、プロジェクトファイナンスが組成できるようになるとの見方がある。それに伴い、各種のプラントプロジェクトが動き出すという、若干期待を込めた見方も聞かれる。特に米国の地熱発電は、オバマ政権の再生可能エネルギー導入拡大策を受けて、動き易くなってきており、期待がかけられている。

中東地域では大型の製油所案件やガス処理設備が動き出し、すでに日本のエンジニアリング会社も受注を獲得。年内から来年初頭には、サウジアラビアのYanbu製油所の発注が行われる見通しとなっている。中東での資材価格も元に戻っており、プロジェクトが動き出す環境が整いつつある。

中東の動きは、コストの低下とともに動き出すものと、昨年末から予想されていた。ある意味、予定通りの動きである。しかしその一方で、コントラクター側には、中東のプロジェクトが一斉に動き出すことで、再びコストの高騰が起きるのではないかという不安もある。そのために価格札の延期が事業者に要請されている案件もある。コントラクターとしては、もう以前のような、見積もりを上回るコストの高騰は真っ平御免である。そのため、より慎重にコスト分析行っていきたいところだ。しかし中東の事業者側は、いわば先陣争いをしているようなものなので、一刻も早くプラントを稼働させたい。ここにギャップが生じている。

先日、鋼材価格が再び上昇してきたという報道があった。国内の形鋼や棒鋼など建築用鉄製品が中心の話だが、プラントや造船で使われる厚板の値下げ交渉で折り合いがつかないうちから、薄板や形鋼で価格が上昇しているのだ。プロジェクトが活発化すれば、他のコストも再び上昇する。プロジェクトコストは高騰以前の水準には戻らないようだ。
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編集後記
○…新政権による公共事業の扱いがクローズアップされている。巨費を投じる大規模公共事業の存続が焦点だ。進んでしまった事業を途中で止めるにも巨大なエネルギーと費用が必要になる。悩ましいところだ。例え、その事業が無駄であると断じられてもだ。進むのも地獄、止めるのも地獄だったらいっそうのこと…。

確かに、これまで多額の税金が投じられて完成はしたが、誰も利用せず閑古鳥が鳴いていたハコモノは全国に数多くあった。けれど誰も責任をとらず、いつのまにやら消えていく。ハコモノに限らず、「どうして」と首を傾げたくなる公共事業も皆無とはいえない。

だが、全ての公共事業が不必要なわけがない。「公共サービスの向上」は、国民の「生活が第一」に必要不可欠な視点である。要は、その事業が本当に必要な事業かどうかを精査するプロセスが組み込まれているかどうか、フィージビリティースタディを担う組織が信頼するに足りるかどうかだ。

そして、事業発注にあたっても改善すべき点がある。明治以来連綿と続いてきた会計法の存在だ。なにやら「一般競争入札」が至上のごとく言われている。安かろう悪かろうが跋扈する。「公共サービスの質の向上」を損なうばかりでなく、民間事業者も疲弊させる。考えるべきではなかろうか。


○…政権交代が実現する。民主党マニフェストは大胆な政策転換を実現しようとしている。一方景気の方は芳しくない。完全失業率が過去最悪の5.7%と雇用は危機的状態にある。前内閣の景気対策が息切れしてきた。ところが後継の民主党政権に短期の景気対策・雇用増加対策が見えない。マニフェストには「製造業派遣禁止」など企業の雇用の足かせとなるものを謳っている。公共投資をムダとして、工事差し止めまでして方向転換を図ろうとしている。短期的な景気より政策転換を優先する姿勢だ。民主党政権下では短期的には景気は悪化するとのエコノミストの観測がでている。国民の生活を守り雇用を維持するのは政府の最優先課題である。国民・失業者の現在の苦境を中長期の経済成長戦略で救うことはできない。

民主党が公約実現の第一弾として、温暖化ガス削減の2020年までの中期目標1990年比25%削減を発表したのには仰天した。実現には過大なコストが必要となるのはすでに試算されている。産業界・国民が不況に苦しんでいるときに産業界・国民に負担を強いる政策を発表する新政権の現状認識を疑わざる得ない。マニフェストに見る限り民主党政策スタッフの情報収集能力・分析能力は貧弱だ。長期戦略はあっても具体的実現の道筋は見えない。マニフェストは政権交代後に具体的実現性と影響を考慮して再検討すべきなのだ。
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