EnB12号 目次
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■EYE詳細へ
エコシステム開発は世界戦略

■REPORT
世界原子力市場、新たな動きへ

厳しい温暖化対策にエンジは応えられるか?

■GLOBAL Business
・B&W、小型・モジュラー型原子炉を開発
・カナダ原子力公社、事業再編へ

■GLOBAL Report
下降に向かうE&C企業の業績
長期の不況が始まるか
・石油精製・石化建設コスト指数、初めて低下

■TOPICS
米NEPE次期会長Grossman氏が来日
エンジニアリング功労者賞が決定
METI、原発推進強化策を公表

■NEWS Flash
・日揮、ラービグPJ第2期でPMC受注
・三菱重工等、ZeroGenからIGCC・CCSのFS受注
・ENAA、世界最大の海流発電システム開発へ
・IHI/JFEエンジ、シールド掘進機を統合
…カタールGTLサイトをオランダ外務大臣が訪問
…三菱重工、E.ONのCCS実証試験Pre-FEED
…IHI、米PWR向けに原子炉格納容器受注
…タクマ、浜松南部製造工場改修工事受注
…双日、韓KICと製鉄関連設備の国内販売代理店契約

■Projects News
…Aramco/Total、アロマコンプレックスのEPC発注へ
…米Aquatech、印で造水プラント受注
…豪州でバイオリファイナリー計画
…Boroge3、PMCにBechtel
…神華、7つの石炭化学を建設へ
…大林産業、イランからLNG
…PNG LNG、Early works開始
…Neste Oil、バイオマス液化で実証試験開始
…インドネシアDongiLNG、国内消費優先に?
…Total、CCS試験計画で認可取得
…Pemex、リインジェクション設備のメンテで入札へ
…Pemex、石化コンプレックスでスペインに発注
…PetroChina、製油所を拡張
…Petronas、デボトルネックでLNG増強
…Qafco、新尿素プラントを計画
…Qapco、LDPEをUhdeに発注
…GladstoneLNG、重要PJに指定
…Sibur、プロジェクト延期
…Toyo−Thai、宇部興産から受注
…FutureGenが復活、イリノイでプラント建設
…ABB、Sonatrachからコンプレッサーなど受注
…米Dupont、セルロース系バイオエタノール生産へ
…Sinopec、広西壮族自治区の製油所計画を復活
…台湾CPC、ルーブベースオイルプラント検討
…韓国S-Oil、アロマを建設

■海外・国内主要プロジェクトの動向
■データ・ファイル
■エンジニアリングダイジェスト

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EnB 12号 表紙

 

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エコシステム開発は世界戦略
 世界的に石炭の使用量が増加している。クリーンコール部会の報告によれば、世界の石炭消費は2006年から2030年で約60%も拡大するといわれており、特に中国では2倍、インドでも2.5倍に石炭使用量が拡大する。経済成長が続くことで、エネルギー需要が拡大するため、それを賄うには安価で供給安定性の高い石炭が選択されるという自然な流れである。

 その一方、地球温暖化対策は待ったなし。日本は2020年までに2005年比で15%の温暖化ガス削減目標を世界に公表。これを持って今後国際的な交渉にあたる。非常に達成の厳しい目標であるが、一部からはこれでも努力目標としてもの足りないと言われている。

 このような経済成長と、環境問題のトレードオフを解消するには技術しかない。特に今後飛躍的に使用量が拡大する石炭で二酸化炭素排出量を削減することは極めて重要だ。そのためにはCCSは有効な手段であるが、国連の議論の場では、その削減量をどう評価するかが問題となっている。技術的にもまだ多くのブレークスルーが必要とされてきたが、ここにきてCCSの実証プロジェクトが活発化してきた。米国ではFutuerGen計画が復活し、オバマ大統領の地元であるイリノイ州でIGCCとCCSを組み合わせた実証プラントを建設することが決まった。三菱重工は豪州のZeroGen、および英国のE.ONのCCS関連プロジェクトに協力するなど、本格的な計画が進んできた。

 CCSプロジェクトはこれまで欧米でいくつかチャレンジが行われてきたが、いずれもコスト面などで頓挫している。それが、再び活発化しているのは、世界が温暖化対策の次のステージに向かおうとしているためだ。ここで技術を早期に確立したものは、今後の世界の環境市場で優位に立つことができる。有効なるエコプラントシステムの構築により、将来予想される標準化戦略でもリードすることができる。
もはやCCSなどの新たなエコプラントシステムは構想段階のものではなく、具体的な市場戦略に乗りつつあるといえる。

 有効なるエコシステムの構築は、世界戦略的な視野のもとで進められるべきだ。
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編集後記
○…経済財政運営の指針骨太方針で社会保障費抑制が撤回され、事実上歳出削減が困難となった。現下の経済情勢から止むをえない面があるとはいえ、小泉政権が掲げた11年度に基礎的財政収支黒字化という財政再建目標が早くも放棄されたのである。

自民党を壊すとの意気込みと国民の支持のもとでなされた小泉改革としては、財政再建・道路公団改革・郵政改革あたりが象徴的だろう。しかし、財政再建にみるようにいずれも十分ともいえず、根付いているとはいえない。財政再建は改革・合理化なしで、増税路線になるのが懸念される。

道路公団改革は料金値下げという国民におもねった方向に進み、財政再建と両立する公共投資が可能な世界的な民営化の本流コンセッション方式に目をむけなかった。

改革ゆり戻しは郵政改革にも来ている。小泉改革は郵便事業ではなく金融事業を核として民営化しようとして、トップを運輸事業家から銀行家に変えた。銀行家主導の改革に内部が猛反発、銀行家社長を追放しようとしたのが今回の騒動のようだ。社長は留任したものの、改革を主導していた銀行から呼んだ4人組追放に、成功して、郵政幹部の奪権はひとまず成功したようだ。

国鉄民営化は内部の人間が主導して成功した。政治家主導の行政改革は失敗する。官僚自身の使命感による改革が、必須条件だ。


○…今から14〜5年前の1990年代の中ごろ、「マーフィーの法則」が流行ったのを覚えておられるだろうか。それがアメリカと日本でブームになった時期は、それぞれ景気が最悪の時だった。政治的にも不透明で、そこからの脱出方策も混沌としていた。

1年少し前、また「21世紀版」が出たらしい。政治・経済状況はさらに混沌としてきた。また、その法則が流行るに違いない。とはいっても、日本では「サラリーマン川柳」というのがある。現状の閉塞感を笑い飛ばしてしまおう、というこころみだ。

法則といい、川柳といい、どこにぶつけていいのか分からない状況を、「所詮こんなもんだよ」という諦念で乗り切ろうとする庶民の知恵でもあると思う。

マーフイーの法則は、「起こる可能性のあることは、いつか実際に起こる」→「うまく行かなくなりうるものは何でも、うまく行かなくなる」→「何か失敗に至る方法があれば、それをやっちまう」と三段論法、そして「選択肢が複数あって、その内破局に至るものがあるなら、誰かがそれを実行」となる。まるで、今の日本の状況を表しているようだ。

ここで、自作を一つ。「“やるやる絶対に俺はやる”と広言する奴ほど、絶対にやらない」。実は何もやらないのも、破局の選択と同種なのだ。
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