EnB08号 目次
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体系化できなければ通用しない

■REPORT
エネルギー関連PJ、一部で復活の動き

着実に進む世界の原子力開発

■GLOBAL Report
Bechtel、2008年アニュアルレポート発表
2008年の受注高、2.6%の微増におわる

■GLOBAL Business
・韓国第1四半期、建設輸出・プラント輸出が大幅減
…中国第1四半期の建設関連輸出、労務提供が減少

■TOPICS
Japan-GTL実証プラントが完成

地球温暖化中期目標、最大導入ケースが限界

■NEWS Flash
・WH、中国の原子力関連設備で事業展開
・住化、ラービグ第二期計画でFSへ
・日立プラント、原発用ポンプでASME Nを取得
・中国で相次ぎ舶用DE工場完成
…東芝プラント、「OHSAS18001:2007」認証を取得
…日立製作所、リチウム電池事業を推進
…伊藤忠、日米で太陽光システム販売会社を買収
…JOGMEC等3社、オリノコ重質油で共同スタディへ

■Projects News
…Pemex、91億ドルで製油所建設へ
…UAE、Ruwais製油所拡張計画で入札作業開始
…クウェート、造水発電プラントで入札へ
…ヨルダンの原子力計画で6つのサイトスタディ
…英国政府、原子力サイトのリストを公表
…Jacobs、英Crossrail計画のProject Representativeに
…Air Liquid、豪州でCO2回収ユニット建設へ
…コロンビアでバイオディーゼル
…Fluor、CCS実証PJのFEEDを受注
…Tecnimont、ロシアでPEプラント受注
…オイルサンドで拡張計画の動き
…アラムコ、Safaniya油田開発で設備発注
…Shaw、サウジのABSプラントでFEED受注
…Siemens、英国で風力タービン受注
…Areva、中国で原子炉ポンプ受注
…AlbertaでCO2地下貯蔵パイロットPJ
…英国がCCS技術開発へ
…三菱ガス化学、中国のプラント建設計画を復活
…豪Origin、LNG建設で350億豪ドルを予定
…Shell、中国の石炭液化PJから撤退へ
…ベネズエラで日本の商社などがMOU
…Petorobras、イラクの製油所計画に招聘される
…イラク石油開発でShellと中国が協業へ

■海外・国内主要プロジェクトの動向
■データ・ファイル

■エンジニアリングダイジェスト

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EnB 07号 表紙

 

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体系化できなければ通用しない
よく「日本には技術がある」ということが言われる。確かに、日本の技術力はなかなかのものがある。しかし独自の技術は以外に少ない。世界でオンリーワン技術というのもあるにはあるが、それは世界標準ではなく、日本というローカルでのみ評価されているものが多い。携帯電話の通信システムは、最近でこそ日本方式の導入国が増えてきたが、数年前までは日本ローカルの技術だった。鉄道にしても、世界的な仕様とはならず、日本独自のものとなっている。世界で認められた日本発の技術といえば、ハイブリッド自動車ぐらいではないか?

環境関連の技術水準は高いものの、基本的にそれらの技術はすべて欧米も持っている。どこに特徴を出すかというところで競争してきている。石油をはじめとする資源開発に関する技術は殆ど持っていない。こうして考えると、日本が誇る日本の技術というのは、既に世の中にあるものを、より高度化していくというものに限られていくように感じる。

一方、企業や組織のマネジメントという面では、もはや日本は欧米に全く太刀打ちできなくなってきている。MBAがどうのという話ではない。日本は自分達がやっている仕事を体系化することができないという欠点を持っている。それは、概念形成をきちんとすることが出来ないということである。例えばリストラクチャリングは本来、業務構造を変換するという話だったが、日本では単に人減らして終わってしまった。基本概念・基本原則を経営側が理解できないため、このような、「単純化」が起こってしまう。

エンジニアリング産業は日本では珍しく、業務の体系化が得意な業種である。それはプロジェクト組織におけるWBSなどで、常日頃から鍛えられているためだろう。業務を体系化することは、業務をITシステムに乗せる、効率的に運用することが可能となる。これができていなければ、世界で通用しない。従って体系化できない、あるいは体系化することの意味を理解できない経営陣に支配される企業は世界市場で競争力を維持することはできない。技術力だけでは世界には勝てなくなっていく。
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編集後記
○…日本の温出効果ガスの2020年までの中期削減目標として6案が政府の中期目標検討委員会に提示された。現状の技術の延長線に加え、米欧と同程度の費用投入や先進国全体の削減率にあわせるなど5案、排出量増減などとともに経済への影響を試算したものだ。CO2削減は現状技術のままでは4%増となるが、他の案では最高25%減となる。しかし、GDPで2020年までの累積で最高6%押し下げられ、家計の所得減や失業率上昇を齎す。日本の限界削減費用が欧米に比べていかに高いかがわかるものとなっている。

オバマは気候変動問題で排出量取引の導入などで対応、国際的リーダーシップをとることを選挙公約とした。オバマ政権がこれをどう実現するのか、産業界は戦々恐々としている。炭酸ガス規制の影響がどうなるか、この規制による勝者と敗者はだれなのか。炭酸ガス規制が排出量取引を導入されれば、GDPや失業率へのマイナスの影響はさらに大きいと研究機関や産業界はみている。

明白なことは、温室効果ガス削減と経済成長とは相反するということだ。世界的な不況のなかで、産業に過重なコスト負担を求める政策なのだ。オバマの主張=経済と温暖化対策との両立は幻想にすぎない。省エネ・省資源こそ世界が目指すべき目標だ。日本は現行の省エネ中心を維持すべきであり、米国も日本を見習うのがベストだろう。

○…WBC優勝の話題も最近下火になった。けれど、閉塞感漂う経済状況の中で一服の清涼剤となったことは確か。日米とも長いシーズンが始まったが、一発勝負ではないリーグ戦の覇者になるのは並大抵ではない。
少し古い話題だが、「マネーボール理論」を思い出した。「マネーボール」という本(邦訳:2004年講談社文庫)が土台。あるジャーナリストが、「メジャーの中でも極めて資金力の乏しいオークランド・アスレチックスが、なぜこんなに強いのか?」という疑問から書いたものだ。ヤンキースのような金満球団が、資金力にモノをいわせて、優秀な選手を片っ端から集めて強くなるのなら分かる。けれど、なぜ貧乏球団がというのだ。簡単に言えば、「アスレチックスがドラフトやトレードで獲得した選手の大半は、古い野球観のせいで過小評価されていた選手」ばかりだ。だから少ない金額で獲得できた。例えば、足が遅い、太っちょだ、メジャーリーガーとしては小さい、肩が良くない、等々の欠点があっても「ある評価基準」で獲得に乗り出す。偶然に左右される「打率」、「打点」は無視する。目をつけるのはただ一点、「出塁率」だ。勝つのには出塁しなければ始まらないというのだ。
金をかけて大砲ばかり集めても勝てない。企業経営にも一脈通じる理論のような気がする。
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