EnB04号 目次
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何が悪いのか?かんぽの宿入札

■REPORT
ChAS、仙台市下水道でアセットマネジメント
公共事業にエンジの力

急速に不透明感ますプラント市場
エンジニアリング業界の第3四半期

2008年産機受注は高水準もプラント半減

■GLOBAL Report
世界電力プラント大手の10-12月期、受注が減少

■TOPICS
アヴィバ・ジャパンが設立10周年

エネルギー上流開発の投資は継続

■NEWS Flash
・米原子力関連設備で相次ぎ実績
・日立製作所、英高速鉄道車両製造・保守で優先権
・スチールプランテック等、韓国でエコアーク受注
・三菱重工、米NEIから原子力プラント設計社認証
・バイオエタノール革新技術研究組合が発足
・ヤマハ、掛川工場でコージェネ導入
…ベトナム、ズンクアット製油所が完成
…JOGMEC、洋上LNGで安全性検討委員会設置
…旭メディカル、米バイオプロセス関連企業買収
…JBIC、インドネシアに金融支援

■Projects News
…Shell、ナツナDアルファ開発のパートナーに
…Darwinコンデンセートスプリッター計画、進展か?
…印Dahejの石化計画でJV設立へ
…Gasco、IGDで入札
…Takreer、Ruwais製油所でPQへ
…Ras Tanura製油所PQに50社以上参加
…Adco、油田開発でEPC入札告知へ
…エジプト初の石炭火力発電計画
…三菱商事、イラクのガス開発に参加へ
…Aker、深海へのCCSでFEED受注
…E.ONとSiemens、CO2捕集設備を建設へ
…モーリタニア、パイプラインを検討
…Outotecがチリの硫酸プラント受注
…Pemexが脱硫プラント2件で入札へ
…Technip、エジプトで製油所設備受注
…Technip、イラクでFEED受注

■海外・国内主要プロジェクトの動向

■データ・ファイル

■エンジニアリングダイジェスト

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EnB 04号 表紙

 

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何が悪いのか?かんぽの宿入札
かんぽの宿の一括売却入札が社会問題になっている。ところが、問題にはなっているのだが、では一体何が問題なのかというと、具体的な問題点が全く明確になっていない。実に不思議な状況だ。

日本郵政がかんぽの宿70施設を一括で売却する契約をオリックスと交わした。最初の問題はその金額である。全部で約109億円。これに対して鳩山総務相が文句をつけた。建設費で総額2,400億円かかっているものを、投売りにした、と言うわけだ。しかし2400億円かけて作ったかんぽの宿は、減価償却と減損会計導入に伴う減損処理によって、帳簿価格が129億円に減ってしまう。これはまったく事業として成り立っていないということを示している。さらに郵政公社から日本郵政への民営化の時点で、日本郵政は2012年までに売却することを条件にかんぽの宿を承継した。そのときの総務省の評価委員会の評価額が126億円。さらにその後の減価償却もあるが、昨年行われた事業譲渡の入札において、優先交渉権を得たオリックスが負債および従業員雇用を引き次ぐ条件で、提示した価格が109億円ということだ。

日本郵政のHPではこの間の経緯がもう少し詳しく紹介されているが、入札の常識から言って、不審な点は見当たらない。しかし、鳩山総務相は「一般競争入札でなかった」「最終的に1社のみでは入札と言えない」と、批判を繰り返している。だが、事業権の譲渡であり、もともと公共事業であったものを一般競争入札で単純に価格だけで売却先を決定することなど、それこそ「非常識」である。事業譲渡の条件を引き受けることができるのが1社のみなら、単独交渉となるのも当然であり、そのことを批判するのであれば、公共事業は「安かろう悪かろう」の世界になる。従ってこれも非常識だ。最近では「契約書の但し書きにオリックスの判断で人員・施設の整備ができると書いてある」というが、契約書本文が優先されるものであり、その本文を公開せずに批判するのはフェアではない。

この問題の本質は、多額の金を投じて繰り返されてきたハコモノ行政そのものにあり、入札の問題ではない。政治家の入札制度批判が正しかった試しがない。
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編集後記
○…ObamaのGreen NewDealをはじめとして、各国の景気刺激策には「環境」とくに地球環境保全が謳われている。当面の絶対命題である経済の復活と、持続可能経済社会の発展が同時目標、というより後者が前者の手段となる、Green Growthというイメージが横行している。果してこれは正しい方法なのだろうか。

CO2など温暖化ガスの排出権需要が低落、排出権価格が崩落している。景気の低迷から減産を進める企業の排出量が減り余剰分の排出権の売却が増えたためだ。温暖化ガス削減を目標とする排出権システムは世界経済が順調に発展していればこそ有効に働くものであることを改めて知らされる。

ObamaのGreen NewDealが注力する風力・太陽光など再生可能エネルギー振興策はすでに欧州で実施され、莫大な補助金に関わらず、自立はできなかった。高石油価格下にあってもこうであったのだから、石油価格下落の現在では、一時的な公的資金の投下におわる可能性が見えている。

Obamaはエネルギーについてもっと現実的な選択肢をとるべきという声が関連産業・専門家の間で高い。Green NewDealでいうClean Coalもその一つだ。米国で近年新たな国内天然ガス資源として注目されているものにShale Gasがある。将来にも有効な成果の得られる選択肢だ。


○・・・最近、老朽化したごみ焼却施設建替えの計画、建設が活発になってきたようだ。耐用年数を経たと想定される築後20〜30年を経た焼却施設が全国各地に散在する。その数は数百に及ぶのではあるまいか?

しかし、建替え実現に漕ぎつけるまでには相当の時間と労力が費やされている。建設・運営コスト低減を狙ってDBOやPFIなど民活手法が多く取り入れられているが、問題は施設建設地を巡って住民理解を得られるかどうかということだ。建替えだから既存用地に建設すればいいではないかとはならない。これまで迷惑を蒙ってきたきたのだからとか、中には既存施設建設時の約束した期限が迫っているなどの問題を抱えているところもある。これを迷惑施設建設につきものの住民エゴだと決め付けるわけにはいかない。「必要性は認めるが、自分の近辺にはゴメン」という主張を住民エゴと批判するのはやさしい。しかし、その批判をする人の近辺にとなったら多分同じことを言い出すだろう。

広域組合、衛生組合などを設立するなど複数の市町村にまたがって処理を行うケースが増えてきた。搬入費用の問題、どこに建設するかなど様々な問題はあるが、広域化することで対象用地は減少するかもしれない。しかし、それでも「うちの市ではなく、他の市に」という主張は相変らず残される。
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