EnB 11号 目次
詳細 のマークがついているものは記事の内容がご覧になれます。

 

■EYE
45兆ドルを支払えるか?
詳細へ

■REPORT
回復の兆しを見せる国内焼却炉市場

■GLOBAL Report
米国コントラクター、市場は失速の兆候を示す
2007年の米国エンジニアリング企業の動向(2)
-コントラクター編-
ドイツ・プラント受注、史上最高の拡大期に

■TOPICS
TEC、資源開発でのバリューを向上
受注活発化する原子力メーカー
2050年までのCO2半減には45兆ドルが必要
国内最大のバイオマス発電が稼動開始

■NEWS Flash
・三菱重工、M701Fガスタービンを連続受注
・双日、米国向け鉄道車両を受注
・丸紅、カタールから送電線敷設工事を受注
・新日鉄エンジ、ITER向けに超伝導コイル用導体を受注
・神戸製鋼、圧縮機の試運転設備能力を増強
・三井物産、新興国対象のインフラファンドを組成
・JSPE、地球規模の問題へ対応に注力
・東西貿易通信、「ロシアのエネルギー戦略」を刊行
…三菱重工、ラービグ海水淡水化を納入
…カワサキプラント、東京都に焼却炉納入
…JFE環境、福山RPF工場を稼動

■Projects News
…SK、中国でエチレン建設
…ExxonMobil、パプア政府と合意
…QP-湖南のクラッカーで入札実施
…UAEでCCSのFEED入札実施
…Borouge3のFSを開始
…Axens、カタールShaheen製油所で基本設計業務
…Axens、サウジでも技術供与
…Sonatrach、Arzew LNGで入札
…南アSuez、ブラジルのJirauダムを建設へ
…サウジRas al-Zour IWPP、進まず
…大宇建設、オマーンからドック受注
…斗山重工、タイで石炭火力受注
…韓KOLON建設、ヨルダンの排水処理場受注

■フォーラム

■海外・国内主要プロジェクトの動向

■最近のプロジェクト受注・契約状況

■連載
…しらないでは済まされない
海外プロジェクト建設法律のミソ

■エンジニアリングダイジェスト

■EDITORIAL 詳細へ

EnB 11号 表紙

 

ここに代替テキストを入れて下さい
45兆ドルを支払えるか?
 「毎年32基の原子力発電を建設する。かつて世界で原子力発電所が急速に伸びたときには、同様の規模での建設があった。しかしこれを数十年間継続しなければならない」。
  2050年までにCO2排出量を現在の半分以下に削減する。このシナリオに対してIEAが報告書をまとめたが、そのための追加コストは、2050年までに45兆ドルにも達するという。炭素1トン当たりの削減コストは200ドル。最悪の場合500ドルに達するという。一体誰がこれを負担できるというのだろうか?
  IEAの田中信男理事長は「2050年までの毎年の全世界のGDPの1.1%に相当する。これは大した金額ではない」と会見で述べたが、とてもじゃないが「大した金額ではない」とは思えない。
  しかも「全世界、全セクターの参加が必要」という。全ての国が参加して初めて、この目標は達成されるという話だ。確かに、全世界の各国、各セクターに負担を分担し、長期間に亘って支払うのだから不可能ではないかも知れない。しかし誰がどれだけ支払うのかをどう決められるのだろう?
  国によって色々と事情は異なる。一律にGDPの1.1%を全世界の各国がそれぞれ負担するというのも手だが、GDPの1.1%を環境に振り分けられる国がそれほど多いとは思えない。炭素を減らすためにお金を使うより先に、食料の確保、安全な水の確保の方が大事というところも多い。産業インフラをまず整備したいというところも多い。中には軍事費の方が優先という国もあるかも知れない。
  そもそも、2050年までにCO2排出量を半減するという目標にどれほどの意味があるのだろうか?50年先のことをコミットメントすることに、何の意味があるのか?世界の先進国の責任逃れのためのロジックなのではないのだろうか。
  最近、地球温暖化対策の話が非常に多く、国民の環境意識が極端に高まりつつあるように見える。しかし環境問題に意識が集中することは、それだけ国家の権限強化に繋がるという懸念もある。どこかで歯止めが必要なのではないのだろうか。
最新号目次へ

 

ここに代替テキストを入れて下さい
編集後記

○…原油価格の急激な高騰は我々の家計をジリジリとむしばんでいる。さらに、一服したかにみえた米国の金融危機はさらに不気味な様相を呈しているとの報道がある。金融危機、不況、インフレ、ドル不安という4重苦で米国経済はあえいでいる。それが日本にも及ぶ。
 そして穀物価格の高騰だ。バイオ燃料の生産・輸出国である米国、ブラジルなどの反対で食料サミットの宣言は大幅に後退した内容となった。洞爺湖サミットにも大きな期待は持てない。
 いずれも我われ庶民のあずかり知らないところで、世界経済は失速の道を歩んでいるのではないかと思えてしかたがない。インフレ、不況は我われの目の前にあるのではあるまいか?このような状況は当然のことながら、政治の世界にも大きな影響を及ぼすに違いない。ドル不安は米国の威信をさらに低下させ、しばらくは混沌とした世界情勢が続くのではあるまいか?
 ここ当分は、我われは車にも乗らず、ガソリンを使わず、買いたいものも控え耐乏生活を送るしかあるまい。そして、企業業績は落ち込む。派遣労働者は不安におびえ、失業者、ワーキングプア―は増大する。そして人心はさらに荒廃する。
な〜んていうことにはならないよう願う

○…東南アジアにアモックと呼ばれる人を無差別に殺傷する精神症があった。悲しい出来事や侮蔑された人間とくに若者が鬱状態におちいり、突然武器をとって遭遇した人間を片っ端から殺戮する。悪霊が乗り移ったことによると解釈されていた。文化人類学者や精神医学者によると、東南アジアの近代化以前の部族社会特有のもので、厳格な規律の下にあった部族社会において、大人になった若者が社会に窒息感を覚えるなどが背景にあるとされ、文化依存症・風土病とされ、近代化とともに減少したという。
 当編集部から数キロの秋葉原の殺傷事件、ここ数年をみても大阪・土浦・長崎・加古川などの事件がある。米国では昨年のバージニア工科大学、90年代にはハイスクールシューティング事件がかなりあった。若者が強い社会的ストレスを抱えたことが背景にあるものが多く、アモックと通ずるものがある。わが国でも悪霊が乗り移った狂気の発作は歌舞伎となった吉原百人切りや八つ墓村のモデルとなった津山30人殺しのような著名なものだけでなく、昔からあったと思われる。
 この種の狂気の発作は人類社会共通のものと思った方がよい。ただ現代社会では犯行場所の広域化、犯行手段の伝播など情報社会特有の状況がある。長期の地道な努力が必要で、防止の即効手段はない。

最新号目次へ

Copyright (C) 2002 ENGINEERING JOURNAL CO,.LTD. All Rights Reserved.