EnB 5号 目次
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■EYE
地球環境問題は結構、実用的詳細へ

■REPORT
高付加価値化を進める住友金属鹿島製鉄所
Cool Earth50へ向け新エネが再び脚光

■GLOBAL Business
・米国エンジニアリング大手の2007年業績
・産業ガス大手とエンジニアリングビシネス

■TOPICS
流動化する造船業界
市場の創出へ向かう燃料電池
注目集めた国際P2Mシンポジウム

■NEWS Flash
・日立製作所、南アで石炭火力ボイラー6基を受注
・丸紅、スララヤ火力リハビリPJ受注
・三井物産、メキシコのLNG受入基地を内定
・東芝グループ、米国の原子力事業を強化へ
・三菱重工のUS-APWRのDC審査が開始
・三井造船、新型ガスエンジンの販売を開始
・METI、エネルギー革新技術計画まとむ
・日立プラント、デュアルミキサーが審査証明取得
…東芝、社会インフラ事業を再編
…Jパワー、カエンコイ2火力2号系列運開
…JFEスチール、TransCanadaからUOE鋼管受注
…住友金属、インドから鉄道用車輪を大量受注
…日立製作、GMからハイブリッド車用電池受注

■Projects News
…Alstom、南アで石炭火力受注
…韓POSCO E&C、エルサルバドルから発電所受注
…CB&I、タイでジェット燃料プラント受注
…パプアのLNGプロジェクト、BechtelがEPC
…タイ初のLNGターミナル、GS建設受注
…三星エンジニアリング、サウジで追加業務受注
…アルジェリア、肥料プラント建設へ
…AMEC、インドネシアでガス開発PJ受注
…Pertamina、リビアと製油所建設で協業
…SINO Steel、インドに一貫製鉄所建設へ
…彭州クラッカー、着工へ
…PetroChina、大慶でPPプラントを計画
…カタール、DukhanでIWPPを計画
…AMEC、クウェートでPMC受託
…Borouge、Ruwaisにメラミンプラント
…Fluor、KOCのプログラムマネジメント受注
…Sohar製油所、ナフサ能力拡張へ
…Alstom等、アンモニアのCO2捕集技術でパイロット試験
…各地で原発計画が進展
…旭化成ケミカル、S-SBR増強

■フォーラム

■海外・国内主要プロジェクトの動向

■最近のプロジェクト受注・契約状況

■連載
しらないでは済まされない
海外プロジェクト建設法律のミソ

■エンジニアリングダイジェスト

■EDITORIAL 詳細へ

EnB 5号 表紙

 

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地球環境問題は結構、実用的
 いまさらではあるが、今年から京都議定書の第一約束期間が始まった。だが政治の舞台では、既に京都議定書の先に向けた取り組みが始まっている。そのために相対的に京都議定書がそれほど重視されなくなってきているように感じる。
 昨年発表された「クールアース50」は世界全体の温室効果ガス排出量を現状に対して2050年までに半減する、という長期目標である。これがサミットで採択されたことで、米国を温暖化ガス削減の枠組みの中に引き込むとともに、より積極的な数値目標の設定に拘っていた欧州のメンツも立ったのである。事実、この後、COPでは全ての国が参加する枠組みの合意ができた。これは非常に大きな前進といえる。すなわち、京都議定書が環境問題における、日本の政治的な敗北の結果であるのに対して「クールアース50」はむしろ、温暖化問題における国際政治の舞台で、一気に日本の存在感を示したという点では画期的である。
 この「クールアース50」の仕掛けの一つ目は、目標年が40年以上先であるということ。今これにコミットメントした人間は、目標年度には既に引退しており、責任を問われる立場にない。かつてBOTプロジェクトが流行った時に「どんどんやればいい、どうせプロジェクトが終わるときには推進した人は会社を引退している」といっていたが、それと同じである。
 もう一つの仕掛けは「現状に対して」という文言である。京都議定書では基準年を1990年に設定しているため、その実現は欧州以外は非常に難しいものとなってしまった。しかし「現状」−つまり2007〜2008年が基準年ならば、日本は既に人口減少社会に入っているため、他国に比べてメリットが大きいという点も魅力である。
 それでも「半減」とは非常にハードルが高い。そこで政府は「エネルギー革新技術計画」という案を出してきた。これは半減達成というよりも、世界に冠たる技術の開発を通じて、日本の産業の競争力を高めるという意味合いの方が強いと言える。環境問題を文言通りに受け取らず、少し斜めに読み込んでいくと政治的な意味がわかりやすい。
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編集後記

○…過疎化は伝統的な集落の崩壊を招いている。また都市においては人間関係の希薄化が叫ばれている。一方、市町村の平成の大合併がほぼ終了、市町村の規模が巨大化、地方財政悪化もあって、自治体は従来のきめ細かいサービスが困難になっている。住民の自治組織の見直しや新たに公的役割をになうNPOが必要となっているという。
 いま崩壊に瀕している伝統的集落=村は一定の自治組織の役割を果してきたが、その姿を整えたのは戦国時代だという。江戸時代は村が年貢を引請け(村請)、明治以降は自治体の基盤となってきた。
 戦国時代を題材とする時代小説や読み物は数多いが、それらは個別の大名の英雄史譚だ。しかし彼ら大名が領国の民衆=百姓に支えられた存在であり、民衆の具体的社会組織が村であったことが歴史学者により明らかされつつある。戦国時代は飢饉と戦争が日常化した時代であり、村が百姓による自治組織として、そして自衛組織として形成され機能していたのだという。
 武田信玄が父親を放逐して家督を継承したことは著名だが、それは武田家臣のみならず、百姓など国内の人々から喝采されたという。親子の不和ではなく、世論の動向なのだ。平和的な代替わりでも世直しが求められている。すなわち施政者は現代と同様、民衆の支持が必要だったのは興味深い。

○…3月10日夜に放映された「東京大空襲語られなかった33枚の真実」と題するドラマをみた。正直に言うと、昭和20年3月10日未明に現在の墨田区、江東区、台東区一帯を焼け尽くした東京大空襲の実態をよく知らなかった。犠牲者数は後の広島、長崎に匹敵するというのにだ。なぜか記録が少なく、63年を経て記憶は薄れる。だが、344機のB29によって2時間余の間に約32万発の焼夷弾が投下され、約10万人の人が一瞬のうちに命を落とした。資料によると縁者によって引き取られた犠牲者2万人、無縁仏・行方不明者8万8千人ともいわれる。
 ドラマは唯一地上からその惨状を撮影した警視庁写真係の石川光陽を主人公にしたものだ。彼は占領軍の写真提出命令を断る。そのうちの一枚の写真に目を奪われた。黒焦げになった親子の写真だ。母親が背負っていた子どもは、日付を考えると多分私と同年代であろう。
 そしてもう一つ。約1千人の避難者が押し寄せて焼死した場所、横川国民学校の教員であった著名な書道家石川有一の書である。その激烈な書の最後にこう記してある、「右昭和二十年三月十日未明 米機東京夜間大空襲を記す 当夜下町一帯無差別傷痍弾爆撃 死者実に十万 我前夜横川国民学校宿直にて奇跡生残 倉庫内にて聞きし親子断末魔の声 終生忘るなし」と。

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