○…最近の東洋経済誌のゼネコン特集は、日本の建設産業の厳しい現況−談合禁止からダンピング競争、現場事故の多発、デベロッパーなどの新勢力の勢力拡大などなど、制度疲労が進むゼネコンの事業構造、法規にしばられ、動きたくとも動けない建設業の呪縛を報告している。 この記事は若干の方向性も提示している。大和ハウスの流通店舗建築、長谷工のマンション建築といった特定分野への特化・深耕、Bovis Lend LeaseやデベロッパーのCM、スーパーゼネコンの海外や開発事業への展開。さらにPFIなど官の仕事の民間への移管が建設業の収益力をたかめ、大型M&Aなど業界再編の可能性を示している。これらはまさに欧米エンジニアリング建設業で多発する諸現象だ。 欧米との比較で注目すべき点の一つは官から民への仕事の移管だ。イギリスをはじめとする欧州諸国ではPFIやコンセッションなどPPP事業が普及、建設企業の主事業となり建設からサービス企業となっている。わが国のPFI事業は分野が限定されるなど、今後の発展には課題が少なくない。一方米国ではPPP事業は発展段階だが、連邦政府からのアウトソーシングビジネスの発展が著しい。テクニカルサービス提供がエンジニアリング企業の新たなビジネスモデルとなっている。
○…昨年も事件や不祥事が相次いだ。個人的な感触としてはますます不可解、理解不能の事件、不祥事が増えているような気がしてならない。これは何も、社会だけに限らない。政治の世界、官公庁、企業などにもいえるが、さらにスポーツの世界までこの気配が及んでいるのではあるまいか。 新たな年を迎えて早々、またもやスポーツの世界で信じがたいことが話題となっている。北京オリンピック出場をかけてハンドボールのアジア予選がやりなおしされる。中東が参加せず、日韓のみによる代表決定戦だ。この号が発刊されるころには決着がついている。クウェートの王族が実質的に支配するアジア・ハンドボール連盟の不公正な姿勢に、国際ハンドボール連盟も動かざるを得なかったのだ。 「不公正な姿勢」とは、審判の判定のことを指している。ゆえに「中東の笛」と呼ばれる。国際スポーツでは俄かに信じがたいことだが、金満国家よりの判定がなされているという。もとよりスポーツから公正さを取り除けば単なる見世物になってしまう。あるスポーツの審判をやっている立場からすると、信じられないことだ。しかし、昨年来の一連の不祥事をみると、いずれも公正さなどは微塵もない。国威発揚のためにあるスポーツ。どこかで聞いたことがあるような気がする。
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