EnB 01号 目次
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■EYE
リスク再認識の年に詳細へ

■INTERVIEW
変化した事業環境、課題はリソース不足
東洋エンジニアリング取締役社長 山田 豊氏
多様性持って攻めの年に
千代田化工建設代表取締役社長  久保田 隆氏
政府全額出資会社で貿易保険機能を継承
独立行政法人日本貿易保険理事長 今野 秀洋氏

■REPORT
2008年、リスク高まるプラントビジネス
IHI、プラント事業を再構築
2008プロジェクト市場は依然活発

■GLOBAL Report
欧米エンジ業界、2008年新体制で始動
転換型契約が顧客に受け入れられる
石精・石化プラント建設コスト、高値を記録

■TOPICS
2008年、原油価格の年間平均は80$
2008年東アジア経済、8.7%成長へ

■NEWS Flash
・日揮、サウジからエチレンプラント受注
・東レ、豪州から逆浸透膜を受注
・住友商事、チュニジア向けに鉄道車両76両受注
・川重、インドからコンプレッサーモジュール
・三菱重工、バーレーンにCO2回収技術を供与
・日立造船、岐阜県向けストーカ炉受注
・千代田、プラント総合コンサルでシェルと提携
・三菱、US-APWRで型式認定を申請
…ジャパンエナジー鹿島のアロマ、脱硫装置が完成
…JFEエンジと川鉄橋梁鉄構を合併

■Projects News
…アンゴラLNGが前進
…双日、豪州でLNG計画
…中国、南沙石化計画で認可
…CNPC、石油石化統合計画を推進
…FW、豪州PlutoのLNGプラントを受注
…Dongi LNG計画、2割のコストアップに
…Sibur、2012年までに55億ドルを投資
…TotalとSonatorachが石化コンプレックス計画
…ShtokmanLNG、サイト決定
…Fujairah IWPPが前進
…韓GS建設、UAE・Ruwaisの軽油PJで優勢

■NEW YEARS MESSAGE
2008年 トップの年頭所感

■連載
しらないでは済まされない
海外プロジェクト建設法律のミソ

■海外・国内主要プロジェクトの動向

■データファイル

■エンジニアリングダイジェスト

■フォーラム

■EDITORIAL 詳細へ

EnB 21号 表紙

 

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リスク再認識の年に
 世界的にプラントプロジェクトは活況を維持している。原油価格が高値を維持していることが、ガソリンなど製油製品価格を押し上げ、事業採算性が良くなってきている。ユーロ3への対応ができれば、欧州市場への販売が可能となり、供給先の確保には困らない。石油化学製品も人口の増加や新興国の急速な経済発展にともない、作れば作るだけ売れるというような状況となっている。従って、様々な地域・国で石油および石油化学関連のプロジェクトが多数動いており、この傾向は今後数年間つづくものと見られている。
  日本の国内経済も、様々な問題はあるものの、全体的には堅調であり、特にプラントプロジェクト分野では積極的な投資が続いている。年末に発生した三菱化学の事故を契機として、再び高経年化プラントの問題が浮上し、高度メンテナンスの必要性が再度強調されることになろう。国内では顧客の懐深く入り込むことで、アセットマネジメントへの展開が期待されそうだ。
  こうしてみると、プラントエンジニアリング業界はまさにわが世の春を謳歌しているように見える。だが、そこはかとない不安感も漂い始めているのだ。
  プラントプロジェクトを支えてきた原油価格は実勢を超えて急騰しており、年初にはいきなり100ドルの値をつけた。これにより今後のコストの高騰への懸念が生じる可能性がある。ただでさえ、プラントコストはここ数年で2倍になっている。さらに原料コストや輸送コストが上昇する懸念が生まれれば投資マインドにはマイナスとなりかねない。国内の株式市場は大幅な下げで始まった。
  また金融面での不安感もある。2008年は20年間の長期にわたる制度金融サイクルが終わり、新たなサイクルに入るという。リスケとなった債務の返済が原油価格の高騰で前倒しで支払われてきたが、それも無くなった。貿易保険にとっては回収金という大きな収入が無くなるわけで、単年度赤字の時代となってくる。サブプライム問題による金融不安の懸念もある。
  昨年までの数年間、リスクは過小評価されてきた。ECAでもリスクプレミアムが殆どないという異常事態だった。だが今後はリスクが再認識されていくだろう。
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編集後記

○…薬害C型肝炎被害者一律救済法案が成立する。一律救済というのがキーワードだ。政府責任範囲の被害者に和解金、範囲外については救済金という裁判所の和解案を原告団は蹴って、あくまで一律救済を求めて政治決着でかち得たものだ。とはいってもフィブリノゲン製剤など2種類の血液製剤投与被害者であり、対象は1000名程度、B・C型ウィルス肝炎患者350万人のほんの一部にすぎない。薬害患者でも血友病など先天性血液凝固異常の患者は除外されており、抗議の声を挙げている。官の責任があり、大きな患者数が潜在しているのは予防注射の際の使いまわしによる感染者だそうだ。こちらはカルテなどによる証明もできないし、本人に予防注射の記憶がないので証明が困難で訴訟も容易でない。肝炎全体を対象とする基本法案は与野党の調整がつかず、継続審議となるが、その内容に期待されるところ大である。
 一律救済というのは官がいままで避けてきたやり方だ。政治決断で踏み込んだことは、他の各種被害−原爆被害・水俣病被害・各種公害関連被害など多様な広がりをもって、一律救済が課題となってくると思われる。健康被害にとどまらない、例えば小沢民主党は年金記録被害者には証拠に関わらぬ一律救済を唱えている。官だけでなく企業にも大きく影響する課題だ。

○…あちらこちらで取り上げられていたが、昨年の特徴は「謝罪会見」が大はやりであったこと。企業のトップが「偽」で逃げ回ったが、逃げ切りず仕方なしに「謝る」というパターンだ。逃げ回ったのは何も企業トップに限らない。ボクシング、相撲、官僚、政治家までもが大いに「逃げ回った」のだ。
 そして、「世間をお騒がせ致しました」と謝るのだが、誰に対して、何について謝ったのかよく分からないという会見が続出した。どこかで、「謝るということはどういことか、これを子供達に教えなければならないのでは?」と書かれていたが、全くそのとおりだと思う。
 「謝る」と同時に、責任をどうとるかが全く見えてこない。その責任のとり方があいまい、不十分であれば責任をとったことにはならない。ただ、「申し訳なかった」では単に許しを乞うだけだ。企業の謝罪会見では役員、担当者が並び、頭を下げる。ところが、頭を下げただけでは謝罪にならない。特にひどかったのが、創業者一族出身の経営者が、隣の母親から発言を教えてもらっていたことだ。社内や組織の不祥事は、例えそれをトップが知らなかったとしても、社会的にはトップの責任だ。その自覚のない人にリーダーの資格はない。そのことをまず子供達に教えよう。

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