○…2007年の世界のエンジニアリング産業界は、大型事業再編の実施、大型M&Aなど業界再編に沸いた1年であった。数年前の世界的エンジニアリング産業の不況下で、立ち往生状態にあった問題企業・事業の再編が一転、ブーム下の好転した財務状況を背景に有望事業としてのエンジニアリング事業・企業が売買されたといえよう。 米国ではKBRがHalliburtonから独立し、上場に成功した。アスベスト訴訟問題解決も大きい。同じくアスベスト訴訟問題解決により懸案のABBのLummus売却が実現、CB&Iが新たな大手プレーヤーとして登場した。デザインファーム最大手URSがEC企業Washington Groupを買収、米国4位の総合エンジニアリング企業が成立した。欧州ではGEA傘下にあって継子状態にあったLurgiがガス大手のAir Liquideにより買収された。AMECがエネルギー分野などに事業を集中する事業再編を実施した。これらが本年の大型業界再編の事例だろう。 翻ってわが国の場合、エンジニアリング・プラント関係では原子力で東芝がWestinghouseを買収、それに対する三菱重工の対応が大きい動きだ。それ以外では大きな動きは見受けられなかったが、秋になってIHIの海外プラント事業の巨額損失問題が判明し、一部事業の縮小再編に追い込まれている。
○…大相撲は「国技」と言われている。「国技」であるから他のスポーツとは一線を画す。しかも、相撲でなく「大」がつくから、アマチュアスポーツの相撲とも違うのであろう。大相撲は「興行をうつ」というくらいだから、観客に見せることを主眼においている。 何を見せるかといえば、勝ち、負けだけではない。様式美、形を見せることもあると思う。多くのスポーツが「心技体」を重視するが、特に相撲は「心技体」が重要視されていたはずだ。ところが、大相撲が「心技体」を逸脱しているとしか思えない事態が続いている。 2007年は大相撲にとって受難の年だった。危機的な局面が何度かあり、相撲からファンが逃げ出すような出来事が続いた。いずれも、勝負だけに拘っている現在の状況から発生した出来事ではあるまいか。「心技体」などを置き忘れた結果であろう。相撲協会の対応のまずさも際立っていた。 いつごろから、こうなってしまったのか。強ければ誰でもいいとばかり、外国人力士を積極的に受入れたころからでは?そして、横綱までもが引退後にプロレスに転向するという事態が続いたころからだ。こういうことを続けていけば、大相撲は単なる格闘技でしかなくなり、「国技」を返上しなければならないことになる。
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