EnB 21号 目次
詳細 のマークがついているものは記事の内容がご覧になれます。

 

■EYE
母国を離れなければ生きていけない詳細へ

■REPORT
本格化する!?プラントのワイヤレス計装
工事リスクが顕在化したエンジニアリング産業
−エンジニアリング各社の2008年3月期中間決算−
ENAA、エンジニアリング産業白書を発刊
上半期の産業機械受注、過去最高水準もプラントは減少

■GLOBAL Business
・URS、Washington Group(WGI)の買収が発効
…GlobalSantafe・Transoceanの合併が成立
…AECOM、中国の建築設計企業CityMarkを買収
…Willbros、Inserve合併が完了
…John Wood Group、カナダのIMV Corp.を買収

■TOPICS
上流部門で業績伸び悩むオイルメジャー

■NEWS Flash
・日立製作所、南アで石炭ボイラ6基受注
・千代田シンガポール、タンクターミナル受注
・三菱重工、チリから石炭火力受注
・Jパワー/住商、UAEで地域冷暖房
・新日鉄エンジニアリング、電解・還元分離工場受注
・三菱重工、世界最大級のターボ冷凍機受注
・TEC等3社、洋上GTLプラントをJ共同開発
・神戸製鋼、ITmk3を商業化へ
・日立プラント、製薬封じ込め性能検証施設を

■Projects News
…Exxonmobile、シンガポール第2エチレン着工
…パナマ運河拡張計画で4グループ形成
…米LNGターミナル計画、西側は全滅
…ベトナムで石炭原料の肥料プラント
…アブダビRuwais製油所を改良
…米Exelon、GE−日立のESBWRを採用
…Duke、IGCCで認可取得
…サウジNCPエチレンで近く発注へ
…ADWEA、ShuweihatでRFP
…サウジAl-Zour発電PJで入札
…アルゼンチンで製油所改良計画

■海外・国内主要プロジェクトの動向

■データ・ファイル

■エンジニアリングダイジェスト

■EDITORIAL 詳細へ

EnB 21号 表紙

 

ここに代替テキストを入れて下さい
母国を離れなければ生きていけない
  先日、韓国の建設業界団体の訪問を受けた。日本のプラント輸出について色々と聞かれたが、何故かカザフスタンなど中央アジアに対する日本企業の輸出戦略に関心を寄せていた。「何故、今中央アジアなんですか?」逆に聞いてみたところ、韓国の建設会社が中央アジアを海外の主要マーケットとして捉えているということであった。韓国国内での建設需要は既に低迷を続けており、建設業は海外に市場を求めるしかなくなってきている。しかし、海外市場といっても自国の建設業が有力な市場では進出が難しい。中東は建設ラッシュだが、先進国のコントラクターが一杯だ。そこで目をつけたのが中央アジア地域というわけだ。
韓国のプラント輸出、および建設輸出は今年、実に350億ドルにも達するという。これも国内市場で生きていけなくなった韓国企業の生き残りのための必死の企業努力の成果と言える。これに比べると日本はまだまだ、国内で大半の建設業者が食っていけている。それだけ楽な経営ができるというものだ。
だがそれも長くは続かなくなってきている。国内の公共投資は縮小傾向を続け、土木の大規模プロジェクトは途切れている。ハコモノは批判の対象となり、空港建設も、新幹線(駅)の建設も国民は白けている。道路建設も結局、政治家の利権でしかなくなったし、オリンピックでも誘致できれば、少しは潤うかもしれないがそれもなかなか難しそうだ。いずれにしろ、税金に頼った事業継続はもう無理である。
民需については今後もしばらくは活況が続くと見られているが、これだけストックが積みあがってきている以上、大きな伸びはさほど見込めないと考えたほうがよさそうだ。
エンジニアリング白書の報告では総合建設業の半分が今後のビジネスとして建設請負を第一に生きていくことは考えておらず、国内外のEPCなどにシフトしていくと回答している。
いずれにしろ、建設業という仕事は母国を離れて活動していかなければ、成長を持続していくことはできない業種なのである。より積極的に海外展開を進めていかなければならないのだ。
最新号目次へ

 

ここに代替テキストを入れて下さい
編集後記

○…ホッキョクグマは地球温暖化のキャンペーンのシンボルとなっている。ホッキョクグマは海氷が生活圏、その海氷が温暖化で解けてホッキョクグマが減るという議論だ。海氷が減ることは確かに種の減少の大きな要因だが、石油ガスなどの開発、汚染化学物質の到達などによる人間による北極圏の環境の悪化も大きい要因だ。また温暖化対策はホッキョクグマの保全には役立たない、北極圏の自然そのものの保全が必要だ。
国際自然保護連合はホッキョクグマを2006年に絶滅危惧種に指定、今回はマレーグマを絶滅の危機にあると発表、これでクマ科8種のうち、6種が絶滅の恐れがあるという。ジャイアントパンダが絶滅に瀕しており厳重な保護下にあることはよく知られている。その他はナマケグマ、そして日本にもいるツキノワグマだ。残るヒグマ・アメリカクロクマにしてもカナダなどでは絶滅の恐れがある動物としている。
ホッキョクグマ以外はいずれも森林の開発や破壊が大きな要因だ。パンダを除けば雑食性が強く、人里に出てきて人間との共存が困難な動物なのは、昨年の日本各地におけるクマ騒動が如実にあらわしている。
クマに限らず生物の絶滅は、温暖化よりも、人間の開発によるところが大きい。具体的に人間活動とどう共存できるかが保全の鍵であることを熟視してほしい。

○…日本でもPPP(パブリックプライベートパートナーシップ)という概念が徐々に広がりつつある。公設民営、指定管理者制度、市場化テスト、PFIなどもこの範疇に入るのであろう。地方自治体においてPPP導入機運が高まっている背景には、言うまでもなく財政の悪化がある。従来、行政が担ってきたあらゆる分野の公共サービスにおいて、今後も民間の協力を仰ぐことが検討されていくであろう。行政の担当者からすれば背に腹は代えられないかも知れない。
ところが、この分野のビジネスに多くの実績を持つある民間企業担当者に聞くと、「パートナーシップとは名ばかり。対等の立場などとんでない。相変らずお上意識丸だしの担当者が多い」という。公共事業削減が続く中で、新たなビジネスチャンスとばかりにこの分野に打って出たが、現状では事業としての魅力を殆ど感じられないと言う。公共の姿勢は、従来と何ら変わることがなく、官民協力でなく民利用になっているようだ。
長い歴史を持ち、社会に根付いている「官尊民卑」は、PPPを謳っても容易に変えられない。何よりも「天下り」という言葉の多用がそれを物語っている。実は、その方が仕事をしやすいと考え、それを利用している民間側にも大きな責任がある?

最新号目次へ

Copyright (C) 2002 ENGINEERING JOURNAL CO,.LTD. All Rights Reserved.