○…ホッキョクグマは地球温暖化のキャンペーンのシンボルとなっている。ホッキョクグマは海氷が生活圏、その海氷が温暖化で解けてホッキョクグマが減るという議論だ。海氷が減ることは確かに種の減少の大きな要因だが、石油ガスなどの開発、汚染化学物質の到達などによる人間による北極圏の環境の悪化も大きい要因だ。また温暖化対策はホッキョクグマの保全には役立たない、北極圏の自然そのものの保全が必要だ。 国際自然保護連合はホッキョクグマを2006年に絶滅危惧種に指定、今回はマレーグマを絶滅の危機にあると発表、これでクマ科8種のうち、6種が絶滅の恐れがあるという。ジャイアントパンダが絶滅に瀕しており厳重な保護下にあることはよく知られている。その他はナマケグマ、そして日本にもいるツキノワグマだ。残るヒグマ・アメリカクロクマにしてもカナダなどでは絶滅の恐れがある動物としている。 ホッキョクグマ以外はいずれも森林の開発や破壊が大きな要因だ。パンダを除けば雑食性が強く、人里に出てきて人間との共存が困難な動物なのは、昨年の日本各地におけるクマ騒動が如実にあらわしている。 クマに限らず生物の絶滅は、温暖化よりも、人間の開発によるところが大きい。具体的に人間活動とどう共存できるかが保全の鍵であることを熟視してほしい。
○…日本でもPPP(パブリックプライベートパートナーシップ)という概念が徐々に広がりつつある。公設民営、指定管理者制度、市場化テスト、PFIなどもこの範疇に入るのであろう。地方自治体においてPPP導入機運が高まっている背景には、言うまでもなく財政の悪化がある。従来、行政が担ってきたあらゆる分野の公共サービスにおいて、今後も民間の協力を仰ぐことが検討されていくであろう。行政の担当者からすれば背に腹は代えられないかも知れない。 ところが、この分野のビジネスに多くの実績を持つある民間企業担当者に聞くと、「パートナーシップとは名ばかり。対等の立場などとんでない。相変らずお上意識丸だしの担当者が多い」という。公共事業削減が続く中で、新たなビジネスチャンスとばかりにこの分野に打って出たが、現状では事業としての魅力を殆ど感じられないと言う。公共の姿勢は、従来と何ら変わることがなく、官民協力でなく民利用になっているようだ。 長い歴史を持ち、社会に根付いている「官尊民卑」は、PPPを謳っても容易に変えられない。何よりも「天下り」という言葉の多用がそれを物語っている。実は、その方が仕事をしやすいと考え、それを利用している民間側にも大きな責任がある?
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