○…原油価格(NYMEX WTI)が100ドルの大台に乗りそうだ(あるいは乗った)。最近における石油の構造変化を論じているのは、石井彰「石油もう一つの危機」だ。著者は21世紀に入って、藤和彦氏とともに(共著もしくは執筆協力)石油の地殻変動を分析し、わが国の行くべき方向−特に天然ガス重視−を論じたかなりの書籍を出している。そのいくつかを見ても、21世紀になってからの数年でも大きな変化が生じている。 今回の著書ではまず、価格高騰の原因を論ずる。中国などの需要増・産油国の政治混乱・ピークオイルなどが主原因ではなく、石油先物市場に世界の年金基金などが拠出する商品ファンドが登場して金融市場に飲みこまれ、金融商品化したことを指摘する。(年金基金ということは民衆の生涯サイクルにも関わる事象ということだ。また、食料の場合もエネルギーとして評価され、金融商品化が進んでいる。) 石井氏は最近のいくつか構造変化の指摘しているが、ここでは「石油コミュニティの大変貌」を紹介する。金融商品化とともに、エネルギーに関わる世論形成集団が専門家集団(スモールワールドネットワーク)から、金融機関や政治関係者が大量に参入、スケールフリー的なものに変貌して、石油のファンダメンタルとはかけ離れた現象が生まれる背景となっているという。
○…最近は、「荒れた学校」という言葉を以前ほど聞かなくなった。また、「いじめ」の問題も深く潜航しているのかも知れないが、以前ほど頻繁にニュースで報じられることもなくなったような気がする。 私が住むまちの学校も以前は、「荒れた学校」という部類に入っていたのかもしれない。ところが最近はそういう話をとんと聞かない。事実、学校で行われるある会合に何度か出席したおり、校長は「問題のある生徒は非常に少ない。挨拶をすればどんな生徒も返事を返す」と胸をはっていた。 どうしてそんなにおとなしくなったのだろう?その理由はよくわからないが、先生方の努力もあったのだろうか。どうも、教育基本法改正の成果とも思えない。 いま、全国の小中学校整備事業にPFIが盛んに導入されているのをご存知だろうか。その殆どが、生徒数の減少による統合校の建設だ。老朽化した校舎の建替え、耐震性の確保などが目的だが、新たな教育環境への対応、地域との交流を重視する施設の併設などで、民間の知恵を借りている。これをみていると、「荒れた学校」の少なくなった理由が解ったような気がした。生徒数の大幅な減少により先生の目が生徒に十分行き届くようになったこと、地域との交流をいままで以上に重視するようなったからではあるまいか?
|