○…産業界がカーボンニュートラルを要求されて、苦闘している。カーボンニュートラルというのは、その活動において炭酸ガス総量の増減に影響を与えないということで、平たくいえば、排出炭酸ガスの削減を求められているということだ。産業活動で必然的に炭酸ガスが生ずる(炭化水素を多量につかう)産業−電力・鉄鋼・石油・石化といった産業だ。経済的に有効な対策は排出権を買うことぐらいだ。 カーボンニュートラルでは炭酸ガス分離回収技術が注目され、地球環境対応のための石炭火力の切り札のようにいわれているが、コスト的に商業化のハードルは高いようだ。石炭は公害対策を含めても固体で燃焼するのが最もコストが安く、IGCC発電がせいぜいだろう。 原子力はまさにカーボンニュートラルの切り札だが、原発建設は核拡散と裏腹の関係にあることを忘れてならない。 カーボンニュートラルで当然脚光を浴びているのがバイオ燃料。世界各国の国内外での思惑、炭酸ガス排出産業の思惑などなどで、急拡大を見せている。しかし、食料産業との強烈な競合を引き起こした。 地球環境保全が省資源・省エネルギーのの大義であるうちは問題はなかった。しかしカーボンニュートラルを声高に叫ぶようになると、これは人類史上の愚挙だ。
○…団塊の世代の退職者が最も多く発生する年といわれた「2007年」が問題視されて久しい。その2007年もどうやら半ばを過ぎた。企業ごとに問題への対応は異なろうが、企業としてそれぞれ何らかの手は打っているはずだ。そして、当の個々人も第二の人生を考えて何らかの目標をたて、満ち足りた生活を夢見ているに違いない。 ところが、この問題に戸惑うばかりで、何ら対応を考えていないとしか思えないところがある。「地域」である。地域は、個々人が好むと好まざるにかかわらず、これまでになく密接なかかわりを持たざるを得ない対象であるはずだ。地域と言っても、何も隣近所とのかかわりだけを言っている訳ではない。市町村など行政が、住民がかかわるこの問題にどう取り組んでいるかさっぱり見えてこない。問題に先進的に取組む自治体があるかも知れないが、あいにくと聞いたことがない。当の本人の意欲の問題とばかりに、地域として活動の受け皿をどう構築していくか、全く考えていないところが殆どでは? 400戸程度が居住するわがマンションでも定年退職された方が急速に増えている。聞けば大企業勤務だった方が多い。昼間何をしているかと聞けばテレビ、散歩程度だ。地域活動に積極的に係わる人はまれ。実は、2007年問題は地域の大きな課題であるはずだ。
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