○…東京都渋谷区の温泉施設シェスパの爆発事故、関係者の無責任ぶりが非難されている。施設運営会社ユニマットビューティーアンドスパの社長が温泉湧出に天然ガスが副生することも知らず、設備管理業者に全面委託することで済むという無知・無責任を露呈した。この温泉の掘削業者は天然ガス情報をユニマット不動産に伝えていた。近隣には天然ガス監視を約束したのにもかかわらず、実際の工事では分離装置はつけたが、メーターはつけなかった。ユニマットグループに大きな責任があるわけだが、グループの別の温泉施設会社は十分な天然ガス管理体制がとられているという。 この施設の設備管理業者は日立ビルシステム、天然ガス関連は全く契約になく、メンテ・管理の対象外としている。主たる責任が運営会社やオーナー会社にあるのは当然だが、契約外とはいえ、設備管理業者に責任はないのだろうか。設備管理会社は顧客に対して専門家の立場にあることを忘れてはならない。日比谷総合設備は当初無知であった温泉施設のノウハウを蓄積して管理しているという。エレベーター管理をスタートとするこの会社は温泉施設のノウハウはあったのか。あった場合には無知・無謀な顧客に十分な提案をしたのだろうか。今回の場合、設備管理業者、そして工事業者もまた、専門家としての責任がある。
○…昨年7月に「公共サービス改革法」が施行され、まもなく1年を迎えようとしている。官と民が公共サービスの担い手として競う「市場化テスト」を推進しようとする法律だ。これまで落札者が決まったのは科学技術研究調査、ハローワーク関連事業、職業訓練など6事業。いずれの事業にも官は入札に参加しなかった。民民競争のみ。もともと民間に委託してもいい事業ばかりを上げてきたことは歴然だ。中央省庁が中核業務の予算と人間を減らすことに熱心に取り組むわけがない。 この6月、「官民競争入札等監理委員会」が市場化テストに関する「スコアカード」を公表した。A〜Eの5段階評価で導入等の実績は各省庁とも軒並みDかE、僅かに法務省と厚生労働省がCであった。委員会の審議への対応に関する委員の評価に至っては、法務省のみがCで[普通」という評価。先が知れている。 ところがこういう事業もある。07年6月に入札公告、同10月から落札者による事業実施となっているのが「国民年金保険料収納業務」だ。内容は「社会保険事務所で実施している国民年金保険料の滞納者に対する納付の勧奨および請求、納付の受託等の業務」となっている。現在の状況では社会保険庁もやりたくない業務だろうし、もし民間で手を上げるところがあれば万々歳では?
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